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第17回 注目すべき「Apple Watch」の健康・フィットネス機能“ウェアラブル”の今

先日The Wall Street Journalが伝えたところでは、初回出荷が500万台以上になるともいわれるApple Watch。その注目機能は健康・フィットネス関連アプリになりそうだ。

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Apple Watch

 欧米のテクノロジーメディアを中心に2月上旬にうわさになった、2月24日の発表会の案内は行われていないようだが、今回は「Apple Watch」がどんな機能にフォーカスしていくかについて考える。

 本題に入る前に、ここ最近Apple Watchに関してメディアで報道された話題について振り返ってみたい。

Apple Watchは“かなり少なく”スタートする?

 Appleについての最近の話題は、奇しくも第15回で触れたApple Watchとクルマに関係するものだった。しかも、Appleが電気自動車を計画しているという、よりスケールの大きな話になってはいたが。

 それから、出荷台数の予測も出てきた。4月の登場時からApple Watchを試せるiPhoneユーザーは、ごくわずかになりそうだ、という予測についてだ。Apple Watchの初回出荷については、500万台以上になるという予測を、The Wall Street Journalが伝えている。

 iPhoneの直近の四半期の販売台数は、世界で7000万台以上。もちろん、それ以前からiPhoneを利用しているユーザーもたくさんいる。この売れ行きと、15%を下回ることがない購入意向から考えると、かなり少ない台数しか出回らないことを意味する。4月時点で販売が始まるのはかなり限られた地域、あるいは米国のみになってしまうかもしれない。

 ただ、先行している競合のAndroid Wear搭載デバイスは2014年に80万台に満たない販売台数だったことを考えると十分大きな数字であり、また時計として考えてみても、1社が3カ月に生産する数としては非常に多い台数と言える。

 また、価格については、最も安いモデルは349ドルから、と発表されており、これはApple Watch Sportモデルのものとみられるが、Apple Watch Editionについては50万円とも100万円とも指摘されている。現在のAppleの製品ラインアップで最も高額な設定が可能なMac Proよりも高くなるとの見方もある。

 販売方法のアイデアについても議論が進んでいる。時計本体はスポーツバンドを中心とした基本の組み合わせで販売され、交換可能なバンドは個別に販売されるのではないか、という見方だ。

 台数の少なさ、組み合わせの多さから、これまでと異なる販売方式が採られることも予測できる。

イチオシの機能はスポーツ計測機能か

 さて、前回もご紹介した、Goldman Sachsのイベントでのディム・クック氏によるApple Watchについてのコメントをもう少し紐解くと、AppleがApple Watchの初期の魅力をどのように作っていこうとしているのか、考える事ができる。

 クック氏は「Apple Watchは人々の生活を変える最初の製品になる」と自信を見せると同時に、Apple Watchが多様な人々の興味に答えられる製品であると指摘した。

 この中で自身の話として、ジムでApple Watchを使っているストーリーを紹介した。クック氏は活動量を計測しており、また長時間椅子に座っていると立ち上がって動くよう、手首をタップしてくれる機能について話をした。「多くの医者が信じるように、座っていることは新たなガンだ」とのコメントもしている。

 数あるさまざまな機能の中から、クック氏がスポーツに関する機能を紹介した点、またAppleがApple Watch向けに新たに用意した仕組みがスポーツ計測である点から、Apple Watchの初期の魅力を作るのは、スポーツ関連になると考えられる。

Apple Watch向けに用意した新機能とiOSの「ヘルスケア」

 Apple Watchには、すでにAppleのWebサイト等で紹介されている通り、スポーツ計測と健康管理に関する機能が搭載される。

Apple Watch
Apple Watchに搭載される「アクティビティ」

 「アクティビティ」アプリケーションでの計測は、1日の消費カロリーの目標を自動的に設定する「ムーブ」、早歩き以上の運動を計測し1日30分を目標にする「エクササイズ」、そして座っている時間を短くするための「スタンド」。これらを自動的に計測してくれる仕組みだ。

 加えて、「ワークアウトアプリケーション」には、ランニング、ウォーキング、サイクリングについて、時間・距離・消費カロリー・ペース・スピードなどのデータを表示・記録することができる。

 時間や距離、消費カロリーを目標に設定する機能もある。ワークアウトの結果は、自動的にアクティビティのデータとして記録される。また、自己ベストなどの記録が出ると、時計が手首をタップし、バッジを画面に表示する仕組みもある。

 これらのデータは、iPhoneアプリとして用意される「フィットネス」にも表示され、日々のデータを詳しく見たり、カレンダーに進ちょくの円グラフを一覧表示し、傾向を見ることもできる仕組みだ。

 さらに、こうしたデータはiOSのアプリ「ヘルスケア」に統合され、他の健康系のアプリから利用することもできる。

 振り返ってみると、Apple Watchを登場させる以前に発表したiOS 8は、Appleが健康・フィットネス分野に本格的に取り組むためのプラットフォームをそろえる重要なアップデートであることが分かる。

 動機をスポーツ計測にすれば、他の専用デバイスもたくさんリリースされている。しかし汎用ウェアラブルデバイスとしてのApple Watchが、本格的なフィットネス機能を盛り込んでくると、スポーツに熱中していない人にも、「健康やスポーツを計測する楽しさ」に触れるチャンスを作り出す可能性がある。

フィットネスアプリは今後も増える

 筆者は「UP by Jawbone」を使っていたが、最近アプリだけで計測が可能となったNike+ Fuelアプリも使い始めた。

 これまで、Nikeがリリースしてきた「FuelBand」「FuelBand SE」がなければデータを採ることができなかったが、バージョンアップしてiPhoneのモーションセンサーのみでフィットネス計測ができるようになった。実はJawboneも、バンドなしで計測するアプリをリリースしている。

 このように、デバイスそのものを販売してトラッキングをする、というトレンドから、iPhoneあるいはApple Watchで計測すれば良い、というアイディアへと変化はじめている様子が見て取れる。

 トラッキングやデバイスが重要ではない、ということだ。Nikeはフィットネスギアやアパレルが重要であり、Jawboneはセンサーからの入力を解析するアルゴリズムと蓄積されるデータが競争領域になるだろう。

 Apple Watchにはない睡眠計測について、Jawboneが例えば「Sleep」という名前のApple Watchアプリをリリースすれば良いわけだ。

 Apple Watchは毎日充電が必要そうで、寝る前に充電を済ませて寝て、朝も起きたらすぐ充電、という習慣付けを、手首のタップで指導してくれると便利そうだ。

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