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時期で分かる花粉症の種類とその特徴

花粉症を引き起こす花粉には、スギやヒノキ、イネ、ブタクサなどさまざまな種類があります。時期や地域によって種類を特定し、適切な対策をしていきましょう。

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花粉症の種類とその特徴
耳鼻咽喉科医師
耳鼻咽喉科医師

 花粉の飛散時期に症状が出ていれば、自分が花粉症であることが疑われます。さらに同じ季節にその症状が繰り返されていれば、花粉症である確率は高いと判断できるでしょう。そうなれば、同時期に飛散していると考えられる花粉に対する特異的IgE抗体を測定して、原因花粉を突き止めていくことになります。

 このように花粉症の疑いが高まった場合、何の花粉による症状なのかを時期や地域によってある程度しぼり込み、確定診断へと進めていきます。そのため花粉の飛散時期を知っておくことは、原因花粉の推測はもちろんのこと、花粉対策や薬の服用においても重要なことなのです。

 花粉症の予防・治療に用いられる抗アレルギー作用を持った第二世代抗ヒスタミン薬は、花粉の飛散1〜2週間前に飲み始めると効果的と言われます。自分がどの花粉に対してアレルギーなのか、そしてその花粉はいつ頃から飛散を始めるのかを掴んでおけば、薬の服用時期の決定にも役立つでしょう。

日本で飛散が多いスギとヒノキを中心とした木本の花粉

 スギは飛散数が多く、日本で最も多い花粉症の原因です。例年では関西〜九州にかけて1月から飛散が始まり、2月中下旬〜3月中旬にかけてピークを迎え、ゴールデンウィークの頃まで飛散しています。東北では若干遅く、1月下旬頃から飛散し始めて3月にピークを迎え、5月いっぱいまで続きます。北海道は3〜5月にわずかながら飛散しますが、沖縄にはスギがないので飛散は起こりません。

 スギ花粉で忘れてはならないのが、秋の花粉飛散です。それほど多くはないものの、11〜12月にかけて若干の飛散があり、これによって花粉症の症状が出る人もいます。秋はブタクサというようなイメージがあるかもしれませんが、スギが原因となっているケースも少なくないのです。スギ花粉による症状は鼻アレルギー症状の他、目・咽・喉頭から皮膚や胃腸にまで及ぶ可能性があります。

 スギと同時期に花粉を飛散し、量も多いとされているのがヒノキです。特に関西では、ヒノキの植林面積が多く飛散が多くなっています。中部〜九州は3〜4月を中心とし、関東は2月から、東北は4月を中心に飛散があります。北海道は5〜6月に若干飛散しますが、沖縄では見られません。症状は、スギ花粉とよく似ています。

 スギ・ヒノキ以外に木本の花粉といえば、全国的にカバノキ(ハンノキ属)が有名です。2〜4月を中心として、関東では3月〜4月、関西では3月にピークを迎えます。北海道は3月中旬〜5月初旬に飛散が起きるようです。なお、シラカバは西日本には見られず、主に北海道・東北を中心に5月前後に花粉の飛散があります。

日本で飛散が多いイネを中心とした草本の花粉

 草本花粉には、イネ科、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ等があります。その中でイネ科は、他の花粉に比べて飛散期間が長いことが特徴です。スギ花粉に次いで多く見られ、5月と8月に二度のピークがあり、4〜10月にかけて飛散しています。沖縄でも飛散が見られ、北海道・東北では5〜9月頃と若干飛散の時期が短くなっています。イネ科の症状は鼻を中心に、目や咽頭に症状が強く出る傾向があるようです。

 ブタクサは北海道から沖縄まで広く飛散しますが、期間は9〜10月と長くありません。ブタクサは河川敷や道端の溝などで見かける野草です。秋に風邪のようなくしゃみが止まらない場合には、ブタクサによる花粉症の可能性があるでしょう。

 また、ヨモギは同じキク科のブタクサと似ており、飛散時期もブタクサと前後しています。ただしブタクサ・ヨモギともに、飛散時期は長くありません。咽頭に症状が強く現れ、北日本に多く見られます。なお、カナムグラも9月〜10月に飛散し、長崎に多く見られる花粉源です。

スギ花粉以外の花粉症も認識し、しっかりとした花粉症対策を

 木本類はスギ・ヒノキを中心に春(2〜5月)の飛散が多く、草本類はカモガヤなどのイネ科の花粉症が多くなっています。また、イネ科の場合は初夏に、ブタクサやヨモギなどのキク科は夏から秋にかけて花粉を飛ばします。その他にアレルギーの原因となり得る花粉とその飛散時期は、次の通りです。

  • マツ属:4〜6月
  • ケヤキ、イチョウ:4〜5月
  • ブナ科:4〜6月
  • ネズ:3〜6月中旬

 なお、花粉の飛散時期については年によっても異なります。また、測定場所によっても変わってきますが、大きくずれることはありません。該当する季節に鼻がムズムズするような症状が毎年続く場合は、花粉症を疑ってみましょう。

(医師:耳鼻咽喉科、42歳、女性)

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