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快適に眠りたいなら、寝室は「真っ暗」にしない方がいい?

寝室にも眠りやすいとされる明るさがあります。眠りの深さや熟眠感が高まる寝室環境について、今週もお届けします。

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どんな光の中で過ごすかで眠りの快適さが変わります

 就寝中、部屋の明るさはどうしているでしょうか。

 真っ暗が好き、豆電球は欠かせないなど好みで語られることが多いのですが、実は寝室にも眠りやすいとされる明るさがあります。それは「0.3ルクス以上、30ルクス未満」。いったいどれくらいかというと、常夜灯よりも暗いけれど真っ暗ではない、室内のものの色や形がぼんやりと分かる程度です。

 なぜかというと、そのあたりで眠りの深さや熟眠感がいいという結果が得られているから。逆に30ルクス以上になると、深い眠りやレム睡眠が減少してしまうのだそうです。逆に完全に真っ暗にしてしまうと、心理的な不安感が生じて、やはり深い眠りが減ってしまうのだそう。気づかないうちに、微妙な明るさの違いが眠りの深さに影響しているということなんですね。

寝る前の明かりにも注意しよう

 気持ちよく入眠したいなら、“寝る前の明かり”にも気を配りましょう。

 眠くなるメカニズムの1つに「メラトニン」という睡眠ホルモンの分泌があります。メラトニンは、目覚めてから約15〜16時間後に脳の松果体から分泌されはじめます。いつも寝ている時間の1〜2時間前から分泌されていると思っていいでしょう。分泌から1時間ほど経過すると、自然と眠気が生じます。メラトニンは寝ている間も分泌され続けますが、分泌から21〜22時間が経過すると減少しはじめ、体は起床の準備を始めます。

 このメラトニンは光の影響を強く受けるため、太陽の光を浴びる日中は分泌されません。しかし、一般家庭の住宅照明(150〜500ルクス)程度の光でも、浴びると分泌が抑制されてしまうことが分かっています。特に約440-490nmの短波長光(青白い光)で、より強く抑制されます。

 つまり、夜会社帰りにコンビニに入って昼間のような光(2500ルクス以上)を浴びたり、帰宅後も青白い蛍光灯の下で、テレビを見たり、PCやスマホを操作することは、メラトニンの分泌を抑制し、寝るタイミングを遅らせていることになるのです。「眠くないから」とPCやスマホをいじることも多いかと思いますが、眠くならない環境にしているわけですね。

 メラトニンの分泌を抑制しない明るさとは、50ルクス程度の光だそう。バーの間接照明程度をイメージしてください。寝る1時間ほど前から、そのような暗めの暖色系の光の中に身を置くことで、自然と眠くなってくるはずです。ベッドサイドにライトを置く場合も、柔らかい暖色系の光がおすすめです。

朝はカーテンを開けて光を浴びると、気持ちよく切り換えられる

 ちなみに、一定量の光で分泌が抑制されるということは、朝日でも抑制されるということです。「朝目覚めたら、カーテンを開けて光を浴びて」とよく言われますが、これは朝日(2500〜3000ルクス)を浴びることで分泌を止め、体をきちんと目覚めに導く大切な行為なのです。

 また、これは体内時計のリセットでもあります。カーテンを閉め切った部屋にいつまでもいると、ついうとうとダラダラしがち。特に春は辛いですね。思い切って明るい光を浴びてみましょう。また、日中も積極的に明るい太陽光を浴びておくと、快眠につながりやすくなります。

 「寝る前は薄暗く、目覚めは明るく」で快眠習慣を目指してください。

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