人が健康な生活を送るうえで、「睡眠」はもっとも重要なことの1つです。だからこそ人間は、1日のうち3分の1近くを睡眠の時間に当てています。そんな中、以下のような睡眠障害で悩む人がいるでしょう。
- 寝つくまで30分以上かかってしまう「入眠障害」
- 夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」
- 熟睡感がない「熟眠障害」
- 早朝に目覚めて眠れなくなる「早朝覚醒」
なかなか寝つけない入眠障害は、想像している以上に辛いものです。
睡眠の質に影響する入眠障害は原因を取り除け
睡眠障害のうち特に悩ましいのが、夜床に入ってもなかなか眠れないという入眠障害です。これは、睡眠の質を悪くしてしまいます。質の良い睡眠は就寝して30分も経たないうちにスーっと自然と深い眠りに入り、その後、レム睡眠とノンレム睡眠の二相を約1.5時間の周期で繰り返す睡眠です。
私たちが眠れない原因としては、いろいろなものがあります。精神的にうつ病や精神不安などの精神科領域の疾患があれば、それが原因でなかなか眠れません。こうした病的なもの以外でも、「騒音がうるさい」「家族のいびきが気になる」「熱帯夜で暑くて眠れない」といった環境的問題に起因する場合があるでしょう。
あるいは会社や学校でのストレスや悩みごと、考えごとといった心理的要因、仕事が夜勤あるいはシフト勤務であるなどの生理的問題などが考えられます。しかし対策の基本は、その原因を取り除くことになるでしょう。
精神科領域の疾患の場合は、その疾患の治療を行わなければいけません。また環境的問題の場合は、その環境を改善する必要があります。防音処置をするといったことが、対策の一つになるでしょう。夜勤やシフト勤務は短期間で睡眠パターンが変わるため、人間の睡眠時間の日内リズムを考えると対応がしにくくなります。できればシフトの周期などを考えてもらうなど、勤務状況に働きかけるしかありません。
心理的要因に関しては、上手いストレス発散法を見つけ出す工夫が必要です。その他に、音楽療法というのも有効な手段の一つとなります。音楽を聴くことによって心を落ち着かせ、眠るための準備を整えるというものです。
モーツァルトを聴くと眠れるようになる?
モーツァルトに代表されるバロック音楽を聴くと、脳波が覚醒時に多いとされるβ(ベータ)波から、リラックス状態で多く見られるミッドα(アルファ)波が多くなってくると言われています。これは集中リラックスした状態で、α波は睡眠時にも現れます。さらにウトウトしてくると、これがθ(シータ)波になるのです。
バロック音楽を聴くとα波が増えてリラックス状態になることが分かっています。そのため直接睡眠にならなくても、覚醒時のβ波から睡眠時のθ波へ変わる中間のリラックス状態であるα波になっており、入眠準備のリラックス状態であることから、入眠をサポートしていると考えることができるでしょう。
行進曲のように賑やかでテンポが速い曲を聴くと、交感神経が刺激されて元気が出てきます。また、リラックスモードの音楽を聴けば、副交感神経が刺激されて心が安らいでくるでしょう。モーツァルトの曲には、心を落ち着かせて睡眠を誘発する「メラトニン」というホルモンの分泌を促すという研究報告もあります。
こうした音楽が、睡眠誘発につながるか否かの断言はできません。しかし、リラックス状態に導くことで睡眠障害の要因となっている心理的要因を緩和し、入眠を助ける作用があると言えます。睡眠に悩みを抱えている方は、試してみてはいかがでしょうか。
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