5日間連続動作する脈拍計測機能付き活動量計「Fitbit Charge HR」の真価
Jawbone UP3に強敵現る――。防水性能や脈拍計測機能を備えた活動量計として、米国で人気の「Fitbit Charge HR」が発売されました。5日間のバッテリー駆動が可能で、毎日充電する必要がありません。
Fitbitが4月23日、脈拍計測機能が付いた高機能なリストバンド型活動量計「Fitbit Charge HR」の国内発売を発表しました。価格はオープンプライス、実売想定価格は2万円前後(税別)です。4月24日から販売を開始します。ブラックモデルのみ先行して発売sし、プラム、ブルー、タンジェリンの3色も今夏までに発売予定です。
Fitbit Charge HRは、米国ではすでに販売が始まっているモデルで、シンプルなリストバンド型のデバイスながら、歩数や消費カロリーなどを記録する活動量計機能に加えて、独自の光学センサーを使用した心拍計(脈拍計)を備えるのが特徴です。脈拍を計測することで、運動の強度がより正確に認識できるため、脂肪燃焼や心肺機能の強化などが、適切な運動で効率的に行えます。また睡眠状態も自動認識でき、眠りの質などもログとして記録できます。
Fitbitは、米国などでは圧倒的なシェアを持つ活動量計のメーカーです。以前、ソフトバンクがSoftBank SELECTIONで取り扱っていたこともありました。しかし、日本市場ではまだ知名度が高くありません。すでに多くのリストバンド型の活動量計が発売されている中では、最後発に近いポジションからのスタートになります。
それでもFitbit CRO(最高収益責任者)のウッディ・スカル氏は、Fitbitが世界の多くの市場でNo.1ブランドになっていること、さまざまなユーザーのニーズに応える幅広い製品ラインアップを持っていること、150種以上のスマートフォンに対応していること、世界中にユーザーがたくさんいるため、コミュニティも大きいことなどの理由から、日本市場でも受け入れてもらえると自信を見せました。
活動量計市場は全世界で2兆円超に
Android WearやApple Watchなど、スマートフォンと連携するスマートウォッチも人気を集める昨今、運動の計測に特化した活動量計にはどれだけの需要があるのでしょうか。
スカル氏は2018年までに、世界のウェアラブル機器市場は190億ドル(約2.2兆円)規模にまで拡大すること、同じく2018年世界のウェアラブル端末の出荷台数が1億1200万台に拡大することなどを挙げ、現在も成長が続いていることを強調。さらに、重要なトレンドとして、以下の4つの要素を指摘しました。
- 糖尿病や高血圧など、慢性疾患の世界的な増加
- 健康やフィットネスへの関心の高まり
- 新しい技術の登場
- スマートデバイスの普及
日本では、米国ほど肥満の問題は話題になりませんが、糖尿病や高血圧の問題は深刻です。ですが、こうした問題の多くは食事や体重管理をしっかりして、質の高い睡眠を取ることで改善が可能です。2020年の東京オリンピック開催へ向けて、日本国民の健康やフィットネスに対する関心が高まることも、市場が広がる要因だと言います。また新しいセンサーや容量の大きなバッテリー、小型で省電力な無線技術など、技術の進歩もこうしたデバイスが普及する礎になると見ています。ウェアラブルデバイスと接続し、さまざまな活動の情報を集約したり、モチベーションを維持する手助けとなったり、進ちょくの管理ができたりするスマートフォンの普及も後押しするとスカル氏は語りました。
米国では、Fitbitは活動量計の代名詞にもなっていて、頻繁に検索もされていることを紹介。
ハードとアプリ、サービス、コンテンツを統合したサービスをアピール
国内ではまだ知名度が高くないFitbitですが、幅広いユーザーニーズにマッチする製品ラインアップのバリエーションの多さ、高い技術力による製品自体の出来の良さ、サービスの質の高さ、グローバルでのシェアの高さを背景としたユーザーコミュニティの充実度などを強みに、日本市場でもシェアを拡大したい考えです。
その先兵となるFitbit Charge HRは、同価格帯の製品の中では非常に高機能な製品です。うす型のゴム製バンドに内蔵したセンサーにより、歩数、脈拍(心拍)、距離、消費カロリー、上った階数の計測が可能で、計測中の情報もOLEDディスプレイで確認できます。
最大の特徴はPurePulseと呼ぶ脈拍計測のシステムです。緑色のLEDで血流を計測する点は、エプソン販売の「PULSENSE」やAppleの「Apple Watch」などと同様ですが、5日間のバッテリー駆動を実現している点がポイントです。
脈拍(心拍)の計測は、前述のとおり運動の強度を正確に把握するのに役立ち、今後の活動量計には必須になりそうな機能です。それを搭載しつつ、毎日の充電を不要にした点は、Fitbit Charge HRの、他社製品に対するアドバンテージと言えます。
専用アプリの機能も充実していて、脈拍(心拍)数の変化がグラフで確認できるほか、安静時のデータと運動時のデータを比べたり、運動がどの程度の強度で行われ、脂肪燃焼に役立ったのか、心肺機能の強化に役立ったのか、といった分析も可能です。
また多くの活動量計が、まだ自動認識に対応していない、睡眠の質の分析にも対応しており、モードの切り替えをすることなく、深い眠りや浅い眠りがどれくらいあったのかを可視化してくれます。モード切り替えを忘れて寝てしまう、といった失敗の心配がないのも魅力です。
そのほかにも、ランニングのコースやペース、時間などの管理ができたり、入力が面倒な食事の管理が簡単にできたりするのも特徴です。食事のデータベースは、多くの活動量計がユーザー登録型で重複するデータが多かったり、不正確なデータがあったりするものを用いているのに対し、Fitbitでは日本市場向けに、正確な10万種類のデータベースを用意しました。入力に手間がかかる摂取カロリーの登録にも配慮しています。
モチベーションの維持のために、プッシュ通知を送ったり、ユーザー同士のコミュニティを用意したりもしています。
単純な活動量計を販売するのではなく、サービスもしっかりと日本市場向けにローカライズしたFitbit Charge HR。今後の活動量計市場で注目の製品になりそうです。
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