検索
連載

50歳、今が一番“強い”です――インフォバーン代表 小林弘人さん(2/2 ページ)

各界で活躍し「周りが放っておかない人」に生活習慣や健康のコツを聞く本連載。今回登場していただいたのは、5年前から格闘技を始めたという小林弘人さんです。

advertisement
前のページへ |       

 たぶんケガしていなくても負けたと思いますが、ボコボコにされて2ラウンドTKOで負けました。完敗です。

――30歳も年齢差があれば、相手は手加減して……くれませんかね。

 とんでもない。真剣勝負なので手加減なし。本気のパンチとキックを浴びせられます。ケガを抱えたまま試合に出たこともそうですが、後から考えると緊張していたのかもしれませんね。負けたことで、一層勝ちたいって気持ちが強くなりました。力を発揮できなかったことが、とても悔しいですね。ただ、あれだけフルボッコにされても、割と平気なんだな、という奇妙な自信がもてました(笑)。

――そこまで本気だとは……じゃあ、試合前の食事も気をつかいました?

 ええ、プロ同様に計量がありますからね。僕がエントリーしたのはライト級という階級で、ここに入るために3キロ強ほど1カ月半で減量しました。毎日同じ条件下で体重測定しましたね。

 ボクシング漫画で、減量のために水を飲まないってシーンを見たことあるでしょう? やはり水を抜くだけでちょっと軽くなるというのは本当で、半身浴をして汗をかくと300〜500グラムくらいは落とすことができました。いよいよ計量直前では食べ物はもちろん、水も飲まず、下剤を飲みました。でも、下剤が効きだしたのは計量後でしたが(笑)。


トレーニング風景その2。こう、からの……

こう!

――日常的な食事やお酒の制限はあるんでしょうか。

 タンパク源にはささみ肉をよく食べます。野菜ももちろん。ただし、トマトやかぼちゃは糖質が高いので、食べるのは日中のみ。ビタミンやミネラルをしっかり摂取することを心がけています。BCAAやプロテインも使います。クレアチンも飲んでいますね。クレアチンは有機酸の一種で、筋肉中に存在します。エネルギー源として貯蔵されるので、キックボクシングのような瞬発系スポーツに有効なんです。それから、グルタミン。アミノ酸の一種で、疲労回復に効果があります。この歳で仕事と練習を両立させるには、欠かせません。

 お酒は好きでしたけど、減量時は断ちました。ワイン好きでしたが、白ワインは糖質が多く含まれるのでアウト。赤ワインや焼酎はかろうじて飲んでもOKですが、二杯しか飲みません。

「自分が変化していくのが面白い」

――きっと、ガジェットやアプリで厳しく数値管理されているんでしょうね。

 いえ、何も。タニタの体重計に乗るだけです。ネットにはつながらない、ふつうのスタンドアローンな体重計です。記録は一切残さないし、体重推移のグラフを見たいとも思いません。過去の記録が重要なのではなく、「いついつまでに、体重**キロまで落とすぞ」という断固たる目標に突き進むだけ。せいぜい、比較のために前日の記録が分かっていればOKです。

――ゴリゴリに数値管理しているのかと思いきや、超アナログですね。

 むしろ、大切なのは人とのつながり&絆です。Facebook等のソーシャル上で仲間からのコメントはうれしいですね。また、コーチから「小林さんの食事の写真を見たけど、タンパク質が足りていないからこれこれを食べたほうがいいよ」というアドバイスをいただけることが有り難いです。格闘技は個人戦ですが、コーチやジムの仲間はもちろん、応援に来てくれた人たち、主催者や関係者の方々も含めて、皆のおかげで格闘技ができるという気持ちのほうが強いですね。

――なにがそこまで小林さんを駆り立てるんでしょう。

 楽しいからですよ。他人がどう思うかはどうでもよくて、僕が楽しいから続けているんです。トレーニングすればするほど気づきがあるし、僕のような素人でもそれなりに達成感も味わえます。なんせ、キックボクシングをする前の僕は腕立て伏せが14回くらいしかできなくてコーチやジムのみんなに笑われました。最近、100回連続でやることができて自分でも驚きました。そうやって、自分が変化していくのが面白い。


「楽しいからですよ。自分が変化していくのが面白い」

――まさか、第2戦目の計画を立てているとか。

 はい。今回はさらに減量してもうひとつ下の階級にエントリーできればと思っています。でも、最近食欲が旺盛なので無理かも(笑)。最初の試合時に比べたら体もよい感じで仕上がりつつあります。

――キックボクシングを始める前と後で、メンタル面で変化ってありました?

 人に優しくなりましたね。殴りあいばかりしていると好戦的・攻撃的になるって思われるかもしれませんが、逆です。自分の周りには元プロとかセミプロ選手がゴロゴロいて、その人達に比べたら自分なんてぜんぜん弱いし、学ぶことだらけです。

 そんな猛者たちから引っ張ってもらったり、強い人たちと対面し続けると、強い人ほど謙虚だなと思います。また、自分を追い込んでいくと、「あ、まだ伸びしろがあった」と、わずかですが余裕が生まれます。とても小さな余裕ですが、積み重ねることで自分をほんのちょっぴり強くしてくれます。以前であればイライラさせられていた事に、心を惑わされることが減って、人に優しく接することができるようになりました。

 基礎体力も強化されたので、仕事で疲れません。集中力の持ちは飛躍的に伸びましたね。タフな仕事が重なると脳みそがヘロヘロになったものでしたが、今では疲れ知らずですよ。心身ともに強靭になり、成長ホルモンもたくさん分泌されていて、老化防止も(笑)。50年生きてきた人生の中で、今が一番強いって断言できますね。

――小林さんって、まるで青春まっただ中の少年のような目をされてますね。

 学生時代に運動部に所属した経験がなかったぶん、いろんなことが新鮮に感じられるのかもしれません(笑)。キックボクシングの練習相手とは年齢も立場も国籍も無関係です。拳を交えただけで、すぐに仲良くなれるというのはうれしい体験ですね。

 ジムのメンバーの中で僕は年齢が上から数えたほうが早いほう。入会当初、若いメンバーからは「軟弱なオッサンがすぐに辞めるだろう」くらいにしか思われていなかったと思います。でも、トレーニングに励んでいると、皆いろいろ教えてくれるし、一緒に飲みにも行きます。格闘家って、飲むと暴れたり、いつも豚骨ラーメン食べているイメージがありますが(笑)、愛すべき人たちです。おかげで青春2.0というか、仕事もプライベートも充実していますよ!

――私もスクワットを100回連続でできるくらい大臀筋を鍛えます! ありがとうございました。

撮影協力:格闘技ジム「ナチュラル9」

〒153-0063 東京都目黒区目黒1-5-17 ヤマザキビル 4F

Tel & Fax 03-3492-1368

http://www.n9ff.com/index.html


中山順司(なかやま じゅんじ)

ロードバイクをこよなく愛するアラフォーブロガー。ブログ「サイクルガジェット」運営。”徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ちょっぴり健康が気になって、自転車でも始めようかなとお考えの方が、「こんなコンテンツが読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る