第33回 watchOS 2がもたらすAppleとApple Watchの変化:“ウェアラブル”の今(2/2 ページ)
WWDC 15でお披露目されたApple Watchの新しいOS、「watchOS 2」には、さまざまな改善が盛り込まれていた。今後、Apple Watchの一目で分かることを重視するデザインが、Appleの他のソフトウェアにも拡がっていきそうだ。
Apple Watchを生かし切るアプリの開発が可能に
watchOS 2以前のApple Watch向けアプリでは、iPhoneにアプリの心臓部を置く構造であったため、Apple Watch上は外部ディスプレイのような位置づけでしかなかったといえる。
もしApple Watchで起動も含む何らかのアプリ操作をした場合、一度BluetoothでiPhoneに通信し、iPhone側で処理した内容を再びApple Watchに戻して表示させる、という1往復が存在してきた。これが、Apple Watchアプリの動作が遅いという理由だった。
watchOS 2では、この点が解消される。
iPhoneアプリをインストールする必要があるのは同様だが、Apple Watchにもプログラムを備えることができるようになるため、アプリの動作に前述の往復の通信は不用になり、A4プロセッサと同等とも言われるApple Watchの処理能力を生かすことができるようになる。
加えて、watchOS 2向けのアプリでは、加速度センサーやDigital Crown、TapTic Engine、Wi-Fi、心拍計といった内蔵しているハードウェアを生かしたアプリ開発を行うことができるようになる。また、ビデオ、オーディオなどの再生、HomeKitのサポートなども行われるようになり、Watchアプリの表現力や接続性が大きく改善される。
AppleのUIデザインがミニマルに再構成される
Apple Watchはこの秋から、iPhoneのような自由さで、そのハードウェアを生かしたアプリが増えていくことになるだろう。
とくに、腕の動きや動作から人の行動を推し量ったり、動きそのものを解析するためのアルゴリズムを持っている開発者は、その強みを存分に発揮することができるのではないだろうか。
ただし、ユーザーは、こうしたパワフルなアプリを楽しむ代償として、心許ないバッテリーを減らしていくことになる。watchOS 2は他のiOS 9やOS X El Capitanと違い、バッテリー持続時間の向上に触れられていなかった。
18時間という大まかな基準を、現状では大きく上回る持続時間を実現しているように見えるApple Watchだが、watchOS 2以降、より積極的な利用が増えると、18時間という数字も難しくなってくるのではないか、と予測している。
最後に1点。
Apple Watchには新しいAppleのシステムフォントである「San Francisco」が採用されている。このフォントは、iOS 9とOS X El Capitanにもシステムフォントととして搭載されることになった。iOS 9のSiriのインタフェースもApple Watchのそれと同じ虹色に輝く波へと変更されている。
今後、Apple Watchが見せたミニマルで一目で分かることを重視するデザインが、Appleの他のソフトウェアにも拡がっていくことになるだろう。
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