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日本で受けるには? 遺伝性乳がん卵巣がんの予防的切除

もしあなたやあなたの大切な人が「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」(HBOC)と診断された場合、乳房温存手術か全摘出手術か、どちらを選びますか? 「乳房は残したい」と思うか、発症のリスクを避けるか、とても難しい選択です。

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HBOCと診断される2つのケース

 研究の結果、遺伝性乳がん卵巣がんの発症と関連している2種類の遺伝子が特定されました。またこの遺伝子のどちらかに生まれつき病的変異があると、発症のリスクが高いことも分かりました。この変異が見つかった場合、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と診断されます。

 HBOCと診断されるケースには、(1)未発症でHBOCと診断される場合、(2)乳がん発症後、疾患の鑑別の結果HBOCと診断される場合、の2つのケースが存在します。

 HBOCと診断された場合、どのようなケースでも、十分に予防や早期発見の方法を検討する必要がありますが、特に未発症の状態での診断では、予防的切除など難しい選択肢を考慮する必要があります。

日本における予防的切除の現状

 日本でも、過去に予防的切除をおこなった事例はあるようです。しかし個人情報ということで公にはされず、詳細な内容まではなかなか知ることができません。

 切除による予防効果を示す日本人の研究データは乏しく、保険も適用されないことから、予防的切除は積極的にはおこなわれていないというのが現状です。ただし日本の病院では、医師・看護師・専門のカウンセラーの協力により、きめ細やかな遺伝カウンセリングが実施されています。十分な検討を重ねた結果であれば、希望者に対してHBOCのリスク軽減のための乳房切除術、卵巣卵管切除術を実施する体制が整っている病院も存在します。


2014年12月には日本対がん協会とがん研究会有明病院の共催のもと、遺伝性乳がん卵巣がんについての一般向けセミナーが開催された(写真はイメージで、記事と直接の関係はありません。 写真:Phalinn Ooi/クリエイティブ・コモンズ表示 2.0 一般 元ページリンク

発症してしまった場合の全摘出について

 乳がん発症後にHBOCと診断された場合には、手術では乳房温存か全摘出手術か、どちらかを選択することができます。日本人は体の一部を傷つけることに対してまだまだ抵抗感が強く、現在は温存手術を選択する方が多いようです。

 ただHBOCの場合、乳がんの再発リスクが高いことから、温存よりも全摘出のほうがよいという考えもあります。温存手術か全摘出手術かという選択は、HBOCの場合とても重要な判断となります。

 幸いなことに、日本でも2013年ころから各再建の施術法が保険適用となり、乳房再建手術にも保険が効くようになりました。経済負担が軽減したことにより、乳がんを発症してしまったHBOC患者が、全摘出によるリスク軽減という選択肢を選びやすくなったと考えられます。

 乳房再建手術に保険が適用されるようになったことは、乳がん患者のQOLを向上させるだけでなく、HBOC患者にとっても一定よい影響を与えたと考えられます。若い年齢で発症する率が高いHBOCは、早期発見と予防を促進しやすい医療の体制が必要ですが、保険適用による経済的負担の軽減や社会的な理解がまだまだ必要といえます。

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