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有志で運営 サイクリストの聖地に存在する「TOKIGAWA BASE」の現状と課題

全国にサイクリスト向け施設は幾つかあるものの、完全な民営はそうありません。今回足を運んで「こだわり」を発見してきました!

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 全国さまざまな場所にサイクリングロードなどのサイクリングに最適な場所がありますが、今回足を運んだのは、全国的にも珍しい、有志で作られたサイクリングステーション「TOKIGAWA BASE(トキガワベース)」です。

 サイクリングをしていると、暑さや疲れ、または水分補給などで休憩が必要となります。特にこの暑い時期はひんぱんに休憩しないと、熱中症で大変なことになる場合だってあります。そんなときに頼りになるのがコンビニですが、さすがに中でいつまでも「ふぅ〜」と涼むわけにはいかないところ。しかし、こんな施設があったら、間違いなく入っちゃう! という場所が存在するんです。


屋外にはサイクルラックがあり、50台近いロードバイクを駐輪できます

施設内はエアコンが効いていてとっても快適でした

サイクリストの聖地にその施設は存在した

 場所は、埼玉県でもサイクリストの聖地? といわれている「白石峠」や「定峰峠」にアクセスしやすい埼玉県比企郡ときがわ町。人口1万2000人ぐらいの林業が盛んな場所です。そのときがわ町の中でも、山間部に差し掛かった場所にあるのが、今回の目的地「TOKIGAWA BASE」というわけ。もともとこの場所はコンビニだったのですが、少し前に閉店していました。そして今年2015年の春先にオープンしたのが、サイクリスト向け施設なのです。


山間部に存在する「TOKIGAWA BASE」には東京から遠征してきたライダーも立ち寄ります

駐車場もあり、ここまで車で来て自転車をおろしてサイクリングも可能。現在駐車場利用は無料

 原則平日は、無人で「自由に休憩してくださいね」というスタンスになっています。施設の利用は、自動販売機やお手洗い、休憩スペースが利用可能。さらに面白いのが自動販売機コーナーで、基本的には高層道路のサービスエリアによくあるような自動販売機が多いのですが、その中でひときわ目を引くのが「サイクリスト向け自動販売機」です。

 中にはサイクリスト用補給食がメインで販売されているのですが、よーく見てみると、「チューブ」「タイヤ」「ビンディングシューズのクリート」という、「年に何回売れるの!?」といえるようなマニアックな品物が販売されています。筆者は何回か「TOKIGAWA BASE」に訪れていますが、1回もクリートなどを購入している人を見たことがありません。それだけマニアックということ。


幾つかある自販機の中で特別目立つのが「サイクリスト向け自販機」

カップラーメン用のお湯だって用意されているんです

 また、自販機ではカップラーメンも購入でき、お湯や割り箸の用意もされているので、サイクリング中に「小腹が減ったよう」という場合でも食欲を満たすことができます。最寄りのコンビニまでちょっと離れている山間部ならではのうれしい設備ですね。

 さらに、この施設スタッフである売野氏に伺ったところ、スマホの充電ACケーブルさえ持っていればコンセントから充電してもいいよとのこと。そうなんです、山間部に行くと電波の兼ね合いで、どうしてもスマホのバッテリーは減りやすくなってしまいます。ここで休憩しながら充電できるのはありがたいのではないでしょうか。


確認したところ、「充電オッケー」だそうです!

土日はスタッフ在中でさまざまなサービスを受けられる

 平日は原則無人なのですが、土日はスタッフがいます。注目したいのは日曜日! なぜかと言うと、10時から牛すじ煮込みカレー(700円)が食べられるのです。私もサイクリングの際に1回食べてみましたが、スパイシーな高級カレーといった感じですし、ボリュームも満点でした。これは日曜日の名物になると思います。なお、カレー(またはご飯)がなくなり次第、その日は終了なので、もし食べに行くのであれば、早めの時間がオススメ。以前、午後14時に足を運んだ際には、残念ながらカレーにありつけませんでした。

 また、スタッフの売野氏が在席している間は、バイクの重量計測も受けられます。こちらは運営協力費として1000円かかりますが、「バイク計測認定証」を作ってくれます。思い出に良いかもしれませんね。


バイク計測コーナーもあり、「自分の自転車がどれぐらい軽いのかな」と調べられます。1位はなんと、6kg台!

腹ペコサイクリストにうれしいカレーは現在日曜日のみの提供となっています。もちろん、車でここまで来てカレーだけ食べるのもアリ

完全民営ならではの苦労も

 このように、まるで「サイクリストウェルカム」状態の「TOKIGAWA BASE」ですが、苦労もあるようです。特に、有志によって100%民営で行っているのですが、休憩スペースの利用は原則無料と、商売っ気がないのもまた事実。

 窓ガラスには広告スポンサー募集の文字もあり、今後運営を行っていく上で、広告収入は欲しいところ。公営ではないため、かなり自由に運営できるのですが、それだけではない難しさを感じたのもまた事実です。


2015年の春にオープンした新しい施設はスポンサーを募集していました

この施設を作った有志のみなさんで全国的に珍しい施設は運営されています

 ここ数年は、アニメやマンガなどの影響もありスポーツバイクブームと呼ばれています。その中で、サイクリストがひんぱんに通る場所へこのような施設が生まれてくるのはとてもうれしいものですし、初心者や女性ライダーにとっても安心でしょう。

 全国的にも珍しい、有志による完全民営ステーションの存在。そして今後スポーツバイクブームだけで終わらせずに安定した運営をしていけるかどうかは、利用者であるサイクリスト側の協力も重要になってくることでしょう。

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