第46回 Google OnHubはスマホに次ぐ「ウェアラブルのまとめ役」になるか?:“ウェアラブル”の今(2/2 ページ)
7年ぶりに新調した自宅のWi-Fiルーター「OnHub」には、さまざまな可能性を感じたが、その1つがウェアラブルデバイスのハブになり得る、という点だ。現状はまだ具体的な機能はないものの、今後の拡張が楽しみだ。
セットアップにはGmailと専用アプリが必要
セットアップには、AndroidもしくはiOSデバイスと、Gmailアカウントが1つ必要になる。ここが、一般的なWi-Fiルーターとの最大の違いといえる。
OnHub専用のアプリをダウンロードし、本体の裏にある初期のIDとパスワードでOnHubに接続する。自分のGmailアカウントとOnHubをひも付け、あとはアプリのガイドに従って、ステーションのIDやパスワードを設定することができる仕組みだ。
アプリにはスピードテストの機能があるほか、アプリ上で接続されているデバイスの一覧を見ることができる。筆者はComcastのケーブルテレビのインターネットの回線を引いているが、テストしてみると下り25Mbps、上り6Mbps「しか」でなかった。
テスト方法が違うので正確な比較ではないが、手元の「iPhone 6s Plus」とT-Mobile回線の組み合わせでは、下り50Mbps、上り25Mbpsの速度が出るので、Wi-Fiルーターを変えたところでiPhoneのLTE回線にはかなわないのだが、それでも筆者の部屋の電波環境は劇的に改善し、接続が途切れてしまうこともなくなった点は大きな進歩だった。
アプリでは、接続されているデバイスに対して、最高速度を振り分ける優先権を与えられる機能がある。例えば、4Kの映像を楽しむ場合にセットトップボックスに1時間/2時間/4時間と時間を指定して帯域を優先させることができる。
スピーカーやBluetooth内臓で、将来どうなるか
OnHubのハードウェアには、まだ使われていない機能も多い。例えばデバイス上部に仕込まれている3ワットスピーカーは、Androidスマートフォンでのセットアップの際の初期のペアリングで利用できる。しかしそれ以外の使い道は現状特にない。
しかし、OnHubの「発展性」は、ウェアラブルデバイスやスマートホームに大いに可能性がある。
OnHubにはデュアルコア1.4GHz駆動のプロセッサと1Gバイトのメモリが搭載されている。また、フラッシュメモリも4Gバイト搭載されている。これらは、今後、OnHubにアプリを搭載して動作させることができる可能性を示している。
Wi-Fiルーターながら、Bluetooth、ZigBee(IEEE 802.15.4)といった、スマートデバイスで利用される近距離無線通信規格をサポートしているのも特徴だ。スマートフォンやパソコンがなくても、データの収集やコントロールを、OnHubが行うことができるということだ。
そしてOnHubはスマートフォンのアプリでGoogleアカウントとつながっており、自宅にいないときにも自宅のデバイスをスマートフォンから利用する手段を提供する「ハブ」になるだろう。こうしたデバイスが家に1つ入ってくると、家の中のデバイスのスマート化、あるいはスマートデバイスの新たな導入のきっかけを作ることができる。
現状デバイスの多くがスマートフォンとの連携を前提としているが、スマートフォン以外の連携相手が拡がることで、ウェアラブルデバイスの世界にも、これまでと異なる多様性がもたらされるのではないか、と予測している。
とはいえ、まずはBluetoothスピーカーにでもなってくれるとうれしいのだが…。
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