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コラム

乳幼児をとりこにする「アンパンマン」その魔力の秘密は?

長年、乳幼児に愛され続けるアンパンマン。よく、小児科でぬいぐるみや絵本などが豊富に置かれているのを見かけますが、それにはただ乳幼児をなだめるだけでなく、もっと深い意味があったようです。

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 小児科や保育園に行くと、ほとんどの場合、アンパンマンの玩具や絵本を見かけます。中でも乳幼児たちが怖がりやすい病院では、これでもかというくらい豊富にグッズが用意され、あえて「楽しい場所」としての演出がされているのが分かります。しかし、世の中には他にも多数のキャラクターが存在する中で、なぜアンパンマンがここまで乳幼児をとりこにしているのでしょうか。

0〜2歳児を夢中にし、5歳児に飽きられる不思議な法則

 安田女子大学の西川ひろ子さんによる紀要論文『乳幼児のキャラクター志向に関する研究―なぜ、子供は2歳のときにアンパンマンが大好きになり、5歳になると「ださい」というのか―』によれば、アンパンマンは0〜2歳児からの圧倒的な人気を誇る一方、5歳児になれば、手の平を返したかのように興味がうせるといいます。

 バンダイの2006年に行われた調査でも、0〜2歳児のアンパンマン支持率は63.2%だったのにもかかわらず、3〜5歳は29.2%とにまで急減し、5〜9歳になるともはやランク外になっています。

 西川さんが行った保育士及び保育学生へのアンケート調査によれば、乳幼児はストーリーよりもアンパンマンそのものに魅力を感じている点や、アンパンマンの顔が乳幼児でも認識しやすく、名前も発音しやすい、食べ物を題材にしている点などが人気の理由と推察されています。いつでもほほえみを欠かさないアンパンマンの姿は、より一層愛着を抱きやすいようです。

 そんな愛着性重視のアンパンマンは、5歳にもなればストーリーやキャラの性格に関心が寄せられるようになり、「もう赤ちゃんじゃないから」とアンパンマンを自然と卒業するようです。

恐ろしいほど威力のある小児科アンパンマン

 アンパンマンは、医療業界ではその訴求力が認められており、小児科医たちは必ずといっていいほどアンパンマンを置くように指示すると、ある歯科医がTwitter上で述べ、話題を集めました。

 そのアンパンマンの訴求力は「ほとんど魔力に近い」「無敵の吸引力」とのことで、乳幼児たちが訳も分からず泣き叫ぶ小児科でのシーンが、過去に何度もアンパンマンによって助けられていることが目に見えてきます。

アンパンマンの笑顔は人に気に入られる顔だった!

 笑顔の研究家である重太みゆき氏の著書によれば、アンパンマンのような頬のキュッと上がった笑顔には、感じの良い人に見えるかどうかに大きく関係しているといわれています。

 笑顔を無理に作ると、人に「この人は心から笑っていないな」とバレることがほとんどですが、アンパンマンのように、左右の頬を鼻の高さにまでキュッと持ち上げ、頬の肉がぽっこり上がっていると、心から笑い、楽しく感じがいい印象に見えるのだといいます。アンパンマンの乳幼児への訴求力は、この“頬肉”にも関係しているのかもしれませんね。

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