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コラム

「雨の日は気分が落ち込む」のには科学的な理由があった!

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 「今日は雨だからやる気が出ない」「天気が悪いと気分まで落ち込む」……会社でこんなことを言うと、元気いっぱいの同僚などから「そんなもんは気のせいだ!」といわれがち。でも雨と気分の落ち込みには、実は科学的な根拠があるのです。

雨の日=低気圧の日には体の細胞が膨らむ?

 高い山に袋のスナック菓子を持って上がると中の空気が膨張してパンパンに膨らむ、という話を聞いたことがあるでしょうか。あれは地上よりも山の上の方が気圧が低いためです。地上の高い気圧に抑えられていたスナック菓子の袋の中の空気が、山の上に行くことで抑えられる力が弱まり、膨らんだ……というイメージです。

 そして、雨の日=低気圧の日には、これと同じことが私たちの体にも起きています。つまり、天気のいい日=高気圧の時にはちょうどいい具合になっていた細胞に含まれる水分が、雨の日=低気圧の時になって膨張するわけです。もちろん目には見えませんが、これが原因となって、体のあちこちに不具合が出てきます。

頭痛・ぜん息、そして「うつ」

 さてこの不具合はどんなメカニズムで起きるのでしょうか。細胞内の水分が膨張するということは、血管も膨らみます。これが引き起こすのは血圧の低下です。頭の血圧が下がれば頭痛やめまいなどにもつながるでしょうし、のどの血管が膨張すれば気道が狭くなるのでぜん息の原因にもなりえます。また自律神経失調症の人や、それと同じ症状が数多くあるうつ病の人なども低気圧になると大幅に体調を崩します。

 前述のような不具合が体に生じると、自律神経が交感神経(活動時の神経)と副交感神経(安静時の神経)を入れ替えて、体の活動を調整するのが本来です。しかしはじめから自律神経にトラブルを抱えている場合、この調整がうまくいかず、ほかの人よりも目立って体調を崩してしまうのです。

自分の体と向き合って、低気圧と付き合おう

 武田薬品工業によれば、自律神経は心身へのストレスや、生活リズムの乱れ、ホルモンバランスの乱れなどによって不調を引き起こすとされています。またオムロン・ヘルスケアによれば冷房の効かせすぎが自律神経の機能不全の原因になることもあるようです。これは真冬の暖房についても同じことがいえるでしょう。

 このようなことが原因で自律神経がただでさえ弱っている時に、低気圧がやってくれば結果は火を見るよりも明らか。低気圧の日に憂鬱な気分になるのは、ここまで見てきたように科学的に仕方のないことです。

 つまり「そんなの気のせいだ!」と誰かにいわれる筋合いはまったくないわけです。しかし同時に、普段の生活の乱れが低気圧の日に表面化している場合もあります。きちんと自分の体と向き合って、低気圧と上手に付き合っていける生活を心掛けたいですね。

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