先日、AppleがiOSの次期バージョン、「iOS 9.3」に盛り込まれる予定のアップデート内容を公開しました。iOS 9.3自体は、久々の大きなアップデートとされており、さまざまな新機能や改善が用意されていますが、中でも注目したいのが、健康にまつわる機能です。今回は、すでに公開されている情報から、健康機能の進化を見てみます。
目に優しくなる? 「Night Shift」
iOS 9.3の目玉機能の1つが、「Night Shift」という、ディスプレイの色温度を下げて、目や睡眠に悪い影響を与えるとされるブルーライトを低減する機能です。夜間ブルーライトを長時間浴びると、概日リズム(約1日周期の生物学的リズム。体内時計のようなもの)に悪影響を及ぼし、眠りにくくなったりすることがあるとされています。Night Shift機能は、iOS端末の時刻情報と位置情報を元に、日没時間を判定し、周りが暗くなる時間帯に画面の色温度を下げ(青みを低減させ、オレンジっぽい色に変え)てブルーライトを減らしてくれます。日の出の時刻以降は、また元の色に戻ります。
ブルーライトカットといえば、JINSなどのメガネメーカーが、PCの前で長時間作業をする人向けに、専用の眼鏡を販売していますが、以前から「メガネをかけるのではなく、ディスプレイ側にフィルターを用意すればいいのではないか」といった意見がありました。またメガネだと、普段メガネをかけている人はかけ替える必要が生じたり、ディスプレイ以外のものを見る場合にも色が付いて見えてしまうという問題もあります。夜間だけ、必要に応じてディスプレイ側で色温度を変更する機能は、今後他のスマートフォンやディスプレイにも広がる可能性があるでしょう。
ただ、デザイナーなど、画面に表示される写真や画像を作る立場からは、制作者が意図した色とは違う色味に表示されてしまうことに対する懸念も表明されています。例えば通信販売などで衣服を購入する場合に、想像していたものと異なる色味の製品が届いてしまう、といったことも起こり得るため、諸手を挙げて歓迎される機能とは言えなさそうです。
より多くのデータが扱えるようになる「ヘルスケア」
ヘルスケアアプリは、ダッシュボードの内容が充実するのがポイントと言えます。これまでも、歩数や上った階数、心拍数など、取得したデータをグラフにして表示する機能がありましたが、Apple Watchで取得できる「ムーブ」「エクササイズ」「スタンド」もアクティビティアプリとは異なる形でグラフ化できるようになるようです。アクティビティアプリのカレンダー表示も面白いのですが、日々の達成率を項目ごとに比較できたりするのは新しいヘルスケアアプリの方が便利そうです。
大きな変化として、これまで折れ線グラフだった表示が棒グラフに変わるのも注目です。体重などは変化を見るのが目的なので折れ線でもいいのですが、歩数などは棒グラフの方が進ちょくや過不足が分かりやすいので、ダッシュボードを確認する機会も増えそうです。
このほか、面白い機能としてダッシュボードの項目に対応するアプリを紹介してくれる機能も入るようです。これまではアプリをダウンロードして、ヘルスケア連携を設定しないとどの項目に対応するデータが取れるか分かりませんでしたが、iOS 9.3は対応するアプリが分かるので、必要に応じてヘルスケアアプリがダウンロードできるようになります。
詳細はまだ書けませんが、体験はできます
ちなみにiOS 9.3は、すでにApple Beta Software Programでも公開されており、登録者はパブリックベータ版をダウンロードして実際に試してみることができます。iOS 9.3 パブリックベータ版は、機密保持契約(NDA)の対象となっているため、そのスクリーンショットを公開したり、パブリックベータ版を元の内容を詳細に記事にしたりすることはできないものの、一足先にこの新機能を試してみることは可能です。動作が保証されているわけではないので、普段使いのiPhoneにインストールすることはお勧めできませんが、余っているiPhoneなどがある場合は登録して試してみてもいいでしょう。
Apple Beta Software Programには、AppleのWebサイトからiPhoneを登録することで参加できます。
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