「おふくろの味」といえば、肉じゃがやカレーを思い出す人が多いかもしれません。とはいえ、世代によって微妙にこの“常識”は異なるようです。幼少時代の背景や地域にも関連していますが、果たして故郷の母の懐かしの味にはどんな料理が多いのでしょうか?
「おふくろの味」「家庭の味」のトップ3は?
エバラ食品が2015年1月に行った調査によれば、実家に帰省したとき、家族と一緒に食べたいと思う“家庭の味(家庭料理)”として、1位が「カレー」、2位が「肉じゃが」、3位が「鍋」、4位が「唐揚げ」、5位が「味噌汁」という結果が出ていました。
一方、ミツカンが2008年7月に実施した20〜60代男女への「思い出の味に関する調査」によれば、「小学生の頃のおふくろの味」で多かったのは、全世代では「ちらし寿司」12.3%、「カレーライス」9.8%、「炊き込みご飯」9.0%が上位3位を占めました。「ちらし寿司」がトップというのは、ちょっと意外に感じる人は多いのではないでしょうか?
おふくろの味の世代間ギャップ
そこで、同ミツカンの調査結果を今度は世代別に見てみると、20代のトップは「卵焼き」、30代のトップは「カレーライス」、40代〜60代はいずれも「ちらし寿司」になっていました。どうやら「ちらし寿司」はハレの日のメニューとして、40代以降の人々に人気のおふくろの味のようですね。一方で近年は、卵焼きやハンバーグ、カレーライスなど、特別なメニューというよりは、日常的に食べられるごく当たり前のメニューがおふくろの味とされていることが分かりました。
また、三菱電機エンジニアリングが2015年6月〜7月に行った思い出の家庭の味アンケートによれば、20代〜50代以上の年代の人全てがトップに「カレー」が上っていましたが、世代ごとに異なるものが上位にありました。
例えば、20代は「餃子」と「うなぎ」、30代では「焼肉」や「ロールキャベツ」、40代では「コロッケ」と「すき焼き」、50代では「すき焼き」と「ミートソーススパゲティ」「とんかつ」などがランクインしています。
こうして見ると、懐かしく安心するような料理「カレー」や「唐揚げ」とは別に、ちょっとぜいたくな気分になる特別な日の「うなぎ」や「焼肉」「すき焼き」なども、思い出深いようです。
「おふくろの味」の定義って?
そんなおふくろの味という曖昧な概念を、あえて定義づけるとすれば、どんな味なのでしょうか? 元熊本県立大学講師の鶴田英子さんによれば「金銭では買うことのできない」「心を込め、手間暇かけて作る、その積み重ね」「同じ材料を使って教えてもらった通りに作っても同じ味にはできるものではない」「どんなに食べ続けても食べ飽きない」と定義しています。
微妙に世代間ギャップのあるおふくろの味。幼少の頃から何度も繰り返される「おいしい」「幸せ」の体験が生み出すあの感覚そのものは、いつの時代にも共通しているようです。
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