スマホでいつでも医師に相談できる「ポケットドクター」 その可能性と課題
救急車を呼ぶほどではないが、体調が優れない。どうするべきか――。そんなとき、スマートフォンから医師に相談できるサービスが2016年4月からスタートする。
オプティムとMRTが、国内では初となる、スマートフォンやタブレットを利用する遠隔診療サービス「ポケットドクター」を4月から提供すると発表しました。ユーザーの手元にあるスマートフォンやタブレットのカメラや通信機能を利用し、専用アプリで医師からアドバイスや診察を受けることができるサービスです。
ポケットドクターのサービスは、3種類を提供予定です。
- かかりつけ医診療
- 予約相談
- 今すぐ相談
それぞれのサービス内容は以下の通り。
かかりつけ医診療(遠隔診療)
かかりつけ医診療は、初診をしてもらった(最初に担当してもらった)医師に、遠隔で再診を受けられるサービスです。通院での再診が難しい場合や、普段利用する医療機関が自宅から遠い場合、通院自体が難しい場合などにも、容易に再診を受けることが可能です。保険の適用を受けながら、自身の体調を相談したり、けがなどの状態を見てもらったりできます。診察料は、電話等による再診に相当する料金になるといいます。
予約相談(遠隔医療相談)
予約相談は、相談者がポケットドクターアプリから医師の時間を予約して、全国の専門医に健康相談が行えるサービスです。近所に専門医がいない場合はもちろん、かかりつけ医とは別の医師に意見を聞く「セカンドオピニオン」などにも利用可能です。料金は5分で1500円からの予定(2016年2月時点での想定金額で、変更の可能性あり)。
今すぐ相談(遠隔医療相談)
今すぐ相談は、24時間365日、すぐに医師に対して相談ができるサービスです。突然の腹痛に襲われたが、救急車を呼ぶべきかどうか分からない、どうすれば症状が緩和されるか知りたい、といった場合や、夜中に子供が熱を出した場合などに、まずはアドバイスやを求めるといった使い方ができます。料金は月額500円からの予定です(2016年2月時点での想定金額で、変更の可能性あり)。
なお、これらのサービスは4月に一気に立ち上がるのではなく、参加医師・医療機関の増加に合わせて順次スタートさせる計画で、まずは4月にかかりつけ医相談が利用可能になります。かかりつけ医相談のサービスに賛同する医師・医療機関の数は、2月4日の発表の時点で1340件。これを3年後の2019年3月までの3年間で、国内の全医療機関の10%に相当する、参加医療機関1万以上へと増やす計画です。この1万以上の医療機関の中から、予約相談の参加医師数1000人以上、今すぐ相談の参加医師数1万人以上を目指していくといいます。なお、医師へのシステム提供は当面無料としており、参加医師を増やしたい考えです。
ユーザーに課金 ポイントを事前にチャージする
ユーザーは、ポケットドクターアプリを無料でダウンロードできる一方、料金はサービス利用の度に支払う形になります。決済はプリペイドカードを購入して事前にアプリにチャージするポイントを使う形になっていて、利用したサービスに応じてポイントが減点されます。ポイントのチャージ方法などはまだ検討段階とのことです。
アプリ内課金などでポイントが買えないのか、クレジットカードなどを登録しておくことはできないのか、そもそもポイントがない場合サービスは利用できるのか、といった質問に対しては、明確な回答はありませんでした。4月のサービス開始までにある程度は判明してくると思いますが、料金体系も含め、まだ確定していない要素が多いとのこと。使いやすいサービスになるには、まだ課題がありそうです。
法律的な制約などを抱えた上でのサービス提供となるため、法改正を含めさまざまな課題が残っていますが、いつでもどこでも医師に相談できる環境は、今後の可能性を感じさせるサービスと言えます。
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