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Appleが送り出した新たなウェアラブルデバイス「AirPods」“ウェアラブル”の今

Appleが発表した新しいイヤフォン「AirPods」は、これまでのBluetoothイヤフォンとはだいぶ異なる使い勝手を実現したデバイスだ。評価期間中は思わずずっと着けっぱなしにしてしまったほど。これは新たなウェアラブルデバイスだと感じた。

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 Appleが、9月7日に開催した「See you on the 7th」イベントで、「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」「Apple Watch Series 2」といった主要な製品ラインアップの新製品を発表した。

 iPhone 7シリーズでは、うわさ通りヘッドフォン端子が取り払われ、Lightning端子に接続するヘッドフォン「EarPods」と、Lightning端子にφ3.5mmのヘッドフォンジャックを取り付けられる変換アダプターが付属するようになった。

AirPods
AirPods

 筆者のように、夜枕元でiPhoneを充電しながら音楽やビデオを楽しむ人は少なくないだろう。新しいEarPodsがLightning端子を占有してしまうと、充電ができなくなる。この問題を解決する最適な提案としてAppleが発表したのが、新型のBluetoothワイヤレスヘッドフォン、「AirPods」だ。

AirPods
左が「AirPods」、右が「EarPods」

 発売は10月下旬で、価格は1万6800円(税別)になる予定だ。

AirPodsのかけごこちは?

 AirPodsは、EarPodsとほぼ同じデザインを採用している。左右の違い以外は、2つのAirPodsの中身は同じもので、片方だけ装着しても独立して使用することができた。

 EarPodsではケーブルが伸びていた軸の部分が少し太く長くなり、しかしケーブルは存在しない。ケーブルの代わりに、縁にはリング状の充電用端子、その断面にはズームマイクが仕込まれており、無駄のないデザインを実現している。

 イヤフォン部分には2つのセンサーが搭載されており、耳に装着しているかどうかを検知する。またマイクがもう1つ入っており、環境音を捕らえて、ノイズキャンセリングマイクを実現する。中には5時間分のバッテリーを内蔵する。

 AirPodsのワイヤレス接続、オーディオ再生、ノイズキャンセリング、そしてセンサー類をコントロールするのは、新たに開発されたワイヤレスオーディオ向けのプロセッサ「W1」だ。なお、このW1は、AirPodsの他に、Beatsのワイヤレスヘッドフォン3機種にも搭載される。

 バッテリーやアンテナ、センサー類が搭載されたとはいえ、AirPodsは軽く、筆者の場合はイヤーレシーバー部分の形状だけでしっかりと固定され、頭に重さを感じることはない。

ワイヤレスヘッドフォンでも、密閉型の場合、機種によっては長時間の使用で頭が締め付けられて違和感を覚えることもあるし、ワイヤレスイヤホンで左右の間にケーブルがある場合、せっかくのワイヤレスの魅力が半減してしまう。

 そのためAirPodsは、EarPodsが合う人であれば、1日中装着していても苦にならない、これまでで最も軽快なワイヤレスイヤホンである、と指摘できる。

 音質については、EarPodsよりも高音の抜けがよくなり、また特にボーカルの声をより聞き取りやすいセッティングに変わっているように感じた。小さな音量でも聞き取りやすい反面、音量を上げていくと、EarPodsよりも音漏れが大きくなる可能性がある。

着けっぱなしになる快適さ

 AirPodsは、これまでのBluetoothヘッドフォンでストレスに感じていた点、すなわち初期設定のペアリングと、複数デバイスで使う際の煩わしさを解決してくれる。

 AirPodsの初期設定は、ペアリングしたいiPhoneの近くで、付属の充電器と追加バッテリーを兼ねるケースのふたを開くだけだ。するとiPhoneの画面に接続ボタンが現れ、それをタップすれば初期設定は完了する。

AirPods
初期設定は、ペアリングしたいiPhoneの近くでケースのふたを開くだけ

 さらに、もしiPadやApple Watchで利用したい場合、同じiCloudアカウントでログインしていれば、自動的にペアリングの情報が共有される。そのため、各デバイスのオーディオ出力先にAirPodsという選択肢が現れるので、使いたいデバイスから選べば良いだけだ。

AirPods
オーディオ出力先としてAirPodsを選ぶだけで、同じiCloudアカウントでログインしているデバイスから簡単に利用可能
AirPods
iPhoneで使用していたAirPodsは、iPadともペアリングされる

 筆者は短いレビュー期間中、AirPodsを着けっぱなしで過ごす事になった。iPhoneで音楽を聴きながら移動し、仕事場に着いたらiPadに切り替えて引き続き音楽を楽しむ。ウォーキングに出かける際にはApple Watchに切り替え、iPhoneなしで音楽を聴きながら歩く。

 通話する際も、ノイズキャンセリングマイクのクリアな音声を相手に届けることができるし、少しうるさいカフェでも、音声入力を正確にこなすことができた。

 前述の通り、バッテリーの連続駆動時間は5時間だが、ケースには追加のバッテリーが備わっており、15分間ケースにしまっておけば、3時間のバッテリーライフを追加することができる。また、ケースごとLightning接続で充電すれば、2時間でAirPods 2個とケースが満充電となる。

 短い充電時間も、Bluetoothオーディオの煩わしさの解決となっており、非常にありがたい。

Siri、ヘッドセット、音楽のシェア

 AirPodsに内蔵されているモーションセンサーは、Siriを呼び出す際に利用する。装着しているAirPodsのどちらかをトントンと指先で叩くと、Siriでおなじみの効果音が鳴り、コマンドを受け付けるようになる。

AirPods
内蔵のモーションセンサーでSiriが呼び出せる
AirPods
設定でダブルタップを「Siri」に設定しておけばOK

 iOS 10では、Apple純正アプリに加えて、タクシー配車、ワークアウトの開始、サードパーティー製メッセージアプリの送信など、新たな活用が始まる。耳でいつでもSiriを呼び出せるメリットは、今後も拡大していくだろう。

 AirPodsは左右それぞれでステレオ再生を楽しむ事ができるが、左右のどちらかをケースにしまって、1つだけ耳に装着しても利用できる。いわゆるヘッドセットのようにして、通話やナビゲーション音声の聞き取りを主体に利用できるわけだ。

 その際、単純な話だが、バッテリー持続時間は倍増する。右耳で5時間、左耳で5時間、そして内蔵バッテリーは片方あたり14時間分の容量があるため、合計38時間続けて利用できる。

 片耳で動作するだけでなく、1人で両方のAirPodsを使う必要もない。例えば友人と音楽を一緒に聴きたい場合、片方を友人に渡して楽しむ事もできるし、FaceTime通話に一緒に参加する際も便利だろう。ちなみにマイクは両方に備わっていて、自動で切り替わるが、片方に固定することもできる。

Apple Watchとの組み合わせはワークアウトに最適

 前述の通り、同じiCloudアカウントでログインしている他のデバイスでは、新たにペアリングの設定を行わなくても使うことができる。もしApple Watchでワークアウトを楽しんでいるなら、AirPodsは非常に快適なトレーニングのお供になる。

 かけ心地は非常に軽いため、ランニング程度の運動では耳から落ちることはなかった。iPhoneを置いてApple Watchだけで出かけ、iPhoneから転送した音楽をAirPodsで楽しむ使い勝手は快適そのものだ。

 Apple Watch Series 2にはGPSが搭載され、単体でも走った経路まで記録できるようになった。これならば、よりiPhoneなし出かけるチャンスが増えるのではないか、と思う。その際、AirPodsは、最良のお供になる。

 Appleは、AirPodsを皮切りに、今後も身に着けるデバイスを登場させていくかもしれない。AirPodsはワイヤレスヘッドフォンだが、その機能性は、常に身に着けて快適に過ごす「ウェアラブルデバイス」の発想に近いと感じた。

 目の前で使おうとしているデバイスで、瞬時に利用できるようにする簡単な切り替え機能は賢さを感じるし、iPhoneを通じて利用するSiriによって、デバイスを手に取らずに新たな機能を利用できるようになる。

 複数のApple製品を使っているのであれば、生活に取り入れる価値は大いにあるデバイスである、と評価できる。

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