年末年始、胃腸が弱ってない? 甘酒の「腸管バリア機能」とは
甘酒に「腸管バリア機能」を高める作用があることが分かりました。果たして私たちの生活にどんないい影響があるのでしょうか。
甘酒といえば「飲む点滴」ともいわれ、栄養価が高いことが最近注目されています。また、女性にうれしい美肌効果も期待できることから、今では多くの女性たちに好んで飲まれています。
これまで森永製菓によってさまざまな効果が検証されている甘酒。さらに新たな健康効果があることが、先日の学会(※)で発表されました。
それは、甘酒の主原料である「酒粕」と「米麹」をあわせて摂取すると「ムチン」という成分が体内で増えることで、「腸管バリア機能」が高まる可能性があるということです。では、腸管バリア機能とは一体どのようなものなのでしょうか?
※2016年11月19日〜20日に行われた第21回日本フードファクター学会学術集会
記事監修:神谷仁(かみや じん)先生
医学博士 ・神谷小児科医院医長 一般社団法人腸活環境育成協会理事
信州大学医学部卒、同大学院博士課程修了。医師の役割は何かと考える中で、病気の治療を行う事・病気にならないための啓発、未病対策を行う事が大切な役割と考え、活動を行っている。
甘酒の酒粕や米麹に「ムチン」増加
森永のレポートによれば、「ムチン」とは、腸では主に杯細胞(さかずきさいぼう)で生成されるもので、細胞を保護して病原菌や毒素から組織を守る役割を担っているものだそうです。
杯細胞は腸管上皮細胞の1つであり、このため、小腸や大腸の粘膜表面にはムチンの層が存在し、バリア機能を果たしているといいます。甘酒の酒粕と米麹がこのムチンを増やすことが分かったことから、「腸管バリア機能」が高まると考えられています。
「腸管バリア機能」が低下するとどうなる?
腸管バリア機能が高まれば、小腸の病原菌や毒素から守る機能が向上することは分かります。では低下するとどうなってしまうのでしょうか。
腸管バリア機能は、加齢による衰えはあるものの、食事内容や飲酒、不規則な生活習慣、過度のストレスなどさまざまな原因によって低下するといわれています。そうしてバリアが損なわれると、いわゆる「腸管の慢性炎症」が起きます。
これが続けば炎症性腸疾患や大腸がんのリスクもあるといわれ、炎症が全身へ飛び火することで、糖尿病や動脈硬化、肝臓病などの生活習慣病、また、アレルギーや自己免疫疾患などの免疫異常にもつながるともいわれています。
最近は、甘酒の「目の下のクマの改善効果」「皮脂抑制効果」など、美容効果に注目が集まっていました。今回さらに健康効果が見込めるのが分かったことで、ストレスが多く不規則な生活に陥りやすいビジネスパーソンにとっては注目の食品となりそうです。
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