「●●さんはどちらまで?」
「池袋から乗り換えなんです」
「ほうほう」
「そこから東武東上線の急行で」
「あー、東武東上線ですね、はいはい」(←知ったかぶり)
「森林公園行きの列車でしたら30分くらいなんですが」
「アレですか、通勤時はけっこう混むんですか」
「朝はかなり。でもこの時間帯ならさほどでも……たまに座れることもあったりで」
「そうですか」
「いや、でも座れないことがほとんどかな」
「たいへんですよね〜」
「中山さんの通勤時間は?」
「1時間と●●分ですかね」
「電車とバスのつながりにも左右されますよね」
「ですね。夜はバスの本数が少ないので、逃がすと……」
「20分待たされたりとか、ありますよね」
「そうなんですよ〜」
「ですよね〜」
「……(互いに沈黙)」
22時以降のこの作業はつらい……。(相手も同じだろうが)
ふた駅前から会話のクロージングを意識し始める
電車での会話が難しい理由はもう1つあって、下車駅で急に会話がちぎられてしまうから。意外にも会話が盛り上がってしまったときに「あ、私ココで下車なんで」と話をブチ切るようにそそくさ去るのも失礼。かといって、降りないわけにもいかない。
例えば、東京から北に向かって走る山手線に乗っていて、会話の流れで「自分より先に相手が上野駅で降りる」ことが判明したとしよう。
上野駅の1つ前が御徒町駅、その1つ前が秋葉原駅だ。自分は、秋葉原駅を発車したあたりから会話のクロージングを意識し始める。上野駅で列車が完全停止する直前に話が終わると、ゴルフのニアピンよろしく心のなかで「ガッツポーズ」する。
問題は上野駅で停車する前に会話が終了してしまった場合。会話の途中で上野駅に着くのはまだいい、語尾をうやむやにして断ち切れる。だが、途中の弾切れはバツが悪い。既に車両は減速を開始しており、新しいテーマで会話を始めるタイミングではない。しかし、列車が完全停止しない限り、ドアは開かず、別れるに別れられない。この10〜20秒を沈黙で過ごさねばならないときの時間の長さよ……。
このタイミングで、「え〜、この先を走る列車内で停止ボタンが押され、緊急ブレーキをかけました。お急ぎのところまことに申し訳ございませんが、今しばらく……」的なアナウンスが流れようものなら、生き地獄。
すぐ運転再開するのか? 数分待たされてしまうのか? であれば、何かしら会話を再開すべきか? しかし、通勤経路の話はもうしてしまったし、このタイミングで趣味を聞くのも、「無理くり話題を見つけて、時間を埋めようとしている魂胆がバレバレ」で不自然すぎる。己のアドリブ力の無さに涙する瞬間である。
至近距離で知人に発見されても、ほぼ100%話しかけられない技
そもそも、駅(&駅周辺)で知人や同僚に出くわしてしまわなければ全て解決する。人に話しかけられている時点で、人見知りとしては脇が甘すぎ。達人は戦わずして戦いに勝つのだ。そのためには次のような方法がある。
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