臨床心理士みらー プロフィール
大学院修了後、専門学校の非常勤講師および、高校のスクールカウンセラーを勤め、同時期に教育機関での心理相談員および不登校対策事業の心理相談担当を歴任。
現在は悩み相談掲示板サイト「ココオル」で相談員を務めるほか、活動領域を青年期支援に移し、地域若者サポートステーションにて若者支援も行い、年間のカウンセリングは1000件以上行い、相談支援に定評がある。
みなさんは職場等で気持ちがイライラすることはありませんか? 気の合わない人と一緒にいたり、話が通じなかったり、せっかく段取りを組んだのにそれが崩されたりと、イライラを引き起こす原因は無数にあります。
こうしたイライラは、場合によっては急速にふくれあがるものですし、同じ出来事に遭遇してもイライラするとき・しないときがあるため、コントロールするのが難しいですよね。
今回はそんなイライラの原因と、対処法についてお話します。イライラを理解し対処法を考えることで、イライラから自分を解放していきましょう。
イライラって何だ? イライラの原因とメカニズム
早速ですが、イライラとは何でしょう? 漢字では「苛々」と書き、思い通りにならなかったり不快なことがあったりするために、神経が高ぶることです。
また、苛々の苛は「苛立ち」の苛で、苛立つの語源は「植物のとげ等がちくちくして不快なこと」。つまりイライラとは、不快なことが心にとげのように刺さってちくちくしている状態のことです。
では、このイライラの原因はどこからくるのでしょうか。
(1)予想と現実のギャップ
一般にいわれていることですが、イライラとは物事が思い通りにいかないときに生じる不快感のことです。そしてこれは「予想と現実のギャップから起きる」とも言い換えられます。
現実にイライラする場面を考えてみると分かりやすいかもしれません。例えば、待ち合わせに向かう途中に電車が遅れたときや、現場を見ない上司に偉そうに指示をされたときなど、イライラの場面はいくらでもあります。
電車の遅延は間に合うはずだった予想を裏切っていますし、上司の指示も自分の予想に反するからイライラする訳です。こうしたい、こうなるはずという希望や予想と現実にギャップがあるときにイライラが生まれる訳ですね。
(2)自律神経の乱れ
日々の生活の中でストレスを感じることはたくさんありますが、こういったストレスがたまると自律神経に負荷がかかり、ちょっとしたことでイライラしやすくなります。
例えば仕事の疲れや睡眠不足になれば、そのストレスによりイライラすると言うのは皆さんも経験があると思います。ちょっとしたことでイライラすることが増えた場合は、身体の不調について考えてみてもいいかもしれません。
(3)生理的な不快感
イライラの語源は植物のとげ等がちくちくして不快なことというお話をしましたが、この語源の通り生理的な不快感はイライラを生み出してしまいます。
例えば真夏の暑さや汗による不快な刺激や便秘等の生理的な不快刺激はイライラを誘います。こういった物理的な刺激に対しては、ある程度物理的な対処をしていく必要があります。
イライラを解消していこう
ではこのイライラにはどうやって対応していけばいいのでしょうか。今回はその方法を4つお伝えしようと思います。
(1)イライラの気持ちに対処する
イライラしたときには、まずその状態をなんとかすることが何より大事です。こういう場合はまず深呼吸等をして気持ちを落ち着け、なるべくそのイライラの場面から離れるようにしましょう。
もしおさまらなければ声を出したり身体を動かす等して、先にイライラの気持ちを解放してしまいましょう。逆にそういった気持ちを溜め込んでしまうと、かえってイライラが募ってしまいます。
(2)考え方を変えてみる
イライラと言うのは予想と現実のギャップ、もう少し言うと、予想と違って納得できないという気持ちが引き起こすものです。つまり、その気持ちをなんとかできればイライラはしないということになります。
その方法として、「まあいいや思考」というものがあります。これは何かイライラすることが起きたときに、「こんなこともある、まあいいや」と考えて、予想と現実のギャップを埋めてしまう方法です。
やり方はとても簡単で、そうした場面で「こんなこともある、まあいいや」と考え、そのことを受け入れるようにするということです。難しければ「まあいいや」と口に出してしまうといいですね。口に出すと自分も影響を受けますし、考え方を自然に変えていくことができます。こういった方法でギャップを受け入れてしまえば、イライラを減らすことができます。
(3)自律神経の乱れを整える
ストレスがたまってしまうと、自律神経のうち交感神経が優位になりすぎるため、常に興奮した状態となります。こうなってしまうと外からの刺激に敏感になるので、イライラしやすくなってしまいます。こうしたときには交感神経をしずめて、自律神経を整えていく必要があります。
そのためにはしっかり休息して疲れを取り除くことや、マッサージやストレッチなど、心と体が気持ちいいと感じることをしたり、楽しいことや自分の好きなものを食べたりするのもおすすめです。
(4)ストレスを発散する
予想と現実のギャップにしろ、自律神経の乱れにしろ、イライラというのはストレスからくるものですので、このストレスを解消することが、すなわちイライラを解消していくこととになります。ストレスがたまってイライラしやすくなった場合には、運動をしたりカラオケ等で大声を出したちりして、ためたストレスを発散するのが効果的です。自分の好きなことで気分転換をはかるのもいいでしょう。
今回は気持ちがイライラする原因と、その対処法についてご紹介しました。生活の中でイライラする場面は多いですが、今回ご紹介した方法等を使って、ためこまないようにうまく対処をしていってくださいね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 疲労には2種類ある! 「休んでも取れない疲れ」のメカニズムと対処法
- 他人を傷つけずに自分の言いたいことを伝える「DESC法」のすすめ
- 「月曜日、仕事行きたくない…」 休み明けに憂うつにならないためにしておくべきこと
休日明けの月曜日や連休明けに憂うつな気分になり、「仕事に行きたくない」「学校に行きたくない」と感じたことはありませんか? 昔から「ブルーマンデー」や「サザエさん症候群」と呼ばれるこの状態が起きるメカニズムとその対処法を紹介します。 - 電車の中でのストレスを減らすためにできること
電車の中にいるときも、ストレスを感じることが多いと思いませんか。特に満員電車は実際の戦場以上にストレスフルな場所という研究もあるほどです。こういった環境では、気力も体力も消耗します。今回はそんな電車の中でできるメンタルヘルスケアを紹介します。