「座り時々立ち仕事」がベスト? スタンディングデスクの効果
座り仕事・立ち仕事が両方できる「スタンディングデスク」を導入し、健康増進する企業が出てきています。このスタンディングデスクの効果と活用法をご紹介します。
長時間PCの前に座り、一日中同じ姿勢を続けていると、肩こりや猫背などの姿勢不良、腰痛、運動不足などの問題が起きてきます。また、海外の研究結果では「座りすぎ」は、糖尿病やがん、冠動脈疾患などのリスクがあることも分かっています。
それらの体調不良や病気を予防する1つの対策として、「座り時々立ち仕事」をかなえる「スタンディングデスク」が注目されています。
このスタンディングデスクの効果と活用法を、スタンディングデスクを手掛けるメーカー、岡村製作所(オカムラ)の担当者に伺いました。
座りすぎることのリスク
座りすぎることは、あらゆる健康リスクがあることが、海外の研究で分かっています。
座位研究の第一人者であるオーストラリアのネヴィル・オーウェン博士によると、座っている時間が一日4時間未満の人たちと比べて、11時間以上座り続けている人たちは、死亡リスクが40%も高まっていたのだといいます。
また、脚の筋肉を動かさないことで血流が悪くなり、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、糖尿病などのリスクが高まることが分かっています。
「座り時々立ち仕事」を推奨
そこで、健康・効率・交流という3つの側面から新しいオフィス環境を提案している岡村製作所の担当者に、座りっぱなしによる健康リスクへの対策を伺いました。
「弊社が日本のオフィスワーカー1200人を対象に行った実態調査によれば、オフィスワーカーの7割は座りっぱなしであることが分かりました。よく『座りっぱなしはよくないから、歩くといい』などといわれますが、『歩く』は『座る』からすると遠い行動であるため、なかなか実行されないところがあります。
そこで、まずは1日2時間『立つ』ことが推奨されています。座り仕事をしながら、時々立ち姿勢を取り入れるスタイルが、健康維持に役立つという考え方です」
大原記念労働科学研究所と岡村製作所が行った実験では、座りっぱなしや立ちっぱなしと比べて、座り時々立ち仕事は、眠気やむくみ、疲労を抑制することが分かったのだといいます。
スタンディングデスクが実際に導入されたら…………
では、オフィスに立ちながら仕事ができる「スタンディングデスク」が導入された場合、どのような使い方をすれば良いのでしょうか。その活用方法を教えてもらいました。
デスクの高さを変えて立ち仕事の時間を作る
「上下に昇降するタイプのデスクであれば、時間をおいてデスクの高さを変え、立ち仕事と座り仕事の両方を行うといいでしょう。天板の高さは自由に設定できるので、資料を見る、PC作業、集中して考えるなど自分のお気に入りの高さが自由に選べるのが、このデスクのメリットです」
立ち会議と座り会議を使い分ける
「例えば、アイデア出しや作業が伴う会議では『立ち会議』、じっくり議論するときは『座り会議』など、会議の目的や所要時間によって使い分けるのがおすすめです。
立ち会議は脚が疲れやすいため、議題に集中し時間が短縮できる効果があります。さらに立ち姿勢だと表情が分かりやすくホンネが出やすいという傾向もみられます」
立ち仕事に関する素朴な疑問
ところで、この立ち仕事、少し気になるところもあります。例えば、座り仕事から立ち仕事に切り替えるのはどんなタイミングが良いのでしょうか。
「利用者の方からは、集中したいとき、食事後の眠気が出やすい時間帯、夕方仕事にマンネリを感じてリフレッシュしたいときなど、さまざまなタイミングで立ち仕事に切り替えているというお声をいただいています」
また、オフィスでは、立っている人がいると、座っている人は落ち着かない気がします。何か良い対策はあるのでしょうか。
「確かにそういった傾向はあります。例えば、デスクの3方向にパネルを取り付けることで緩和できます。また、立って仕事をするときは隣の方に声掛けをしてからデスクを上げると、スムーズに運用できると考えています。コミュニケーション活性化にもつながるでしょう」
立ち仕事は、まだまだ日本のオフィス環境では慣れないところもあるでしょう。しかし、座りっぱなしの健康リスクを知ると、立つことには単なる眠気ざましだけではないメリットがあることに気付くはずです。
スタンディングデスクが導入されていないオフィスでも、自ら「時々立つ」ことを意識するところから始めてみるのがよさそうです。
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