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NAVERはシェアを取れる? スマホゲームの勝機は?――NHN Japanの森川社長が語る日本戦略

再上陸した日本版NAVERは検索分野でどのように戦っていくのか。スマートフォン向けゲーム市場で勝機はあるのか。NHN Japanの森川亮社長が日本戦略を語った。

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 「コミュニケーションによって情報量が増えれば、それを検索したいというニーズが増えて事業化できる」――韓国NHN本社で開催されたプレス発表会でNHN Japanの森川亮社長がNAVERやハンゲームの日本戦略について語った。


NHN Japanの森川亮社長

 NHN Japanは、韓国最大手の検索サービスNAVERを運営するNHNの日本法人。2000年からハンゲームを日本で展開し、日本版NAVERを運営するネイバージャパンやライブドアの親会社でもある。

 2007年から同社社長を務める森川氏は、「NHN Japanは、韓国NHNのグループ会社ではあるが、日本独自のビジネスモデルを持っている。単純に本国のサービスを持ってくるだけではなく、その国ならではのサービスを作り上げていくことが本当のグローバル展開ではないかと考えている」と語る。そして、再上陸に伴い日本向けにリリースしたのが「NAVERまとめ」だ。

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 NHNのサービスの原点は、Q&Aサービス「知識in」を支える“人とのつながり”にある。ハンゲームも同様で、トランプゲームや将棋など、ちょっとした定番ゲームからコミュニティーが生まれ、コミュニケーションが活発になる。森川社長はその先にある検索広告やアイテム課金こそ収益率が高いビジネスモデルだという。

 NAVERは韓国でこそシェア率70%という独走状態を維持しているが、日本版は2001年にスタートし、2005年に撤退。2009年に再上陸した。

 「情報が多ければ多いほど、検索のニーズは高まる。つまり、コミュニケーションの中で情報量が増えれば、結果的にそれを検索したいというニーズも増える。コミュニケーションと検索は分ける必要がないと思っていて、どうすればコミュニケーションのニーズを高め、その中身を情報生産のような価値につなげられるかを考えていく」と森川社長は語り、日本でも検索分野でのシェア獲得は可能であるとの方向性を示した。

「スマートフォンでソーシャルゲームはまだ伸びない」

 ゲーム分野については、今夏の目玉として注目されているオンラインゲーム「TERA」に触れた。韓国でのサービス経験を生かし、課金も含めて相当な規模で反響を得られるだろうと強調した。日本でのクローズドβテスト(CBT)は同時接続1万5000と過去最高を記録し、近々オープンβテストを予定しているという。

 オンラインゲームで圧倒的な存在感を持つNHNだが、スマートフォンでの本格的な展開は始まったばかりだ。スマートフォン向けプラットフォームは他社に先駆けて2010年の夏に始めた。同年末にDeNAのMobageとGREEも参入している。

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 これに対し森川社長は、「他社がやってるアプローチは、AppleやGoogleがすでにやっていること。同じような価値、同じようなサービスを提供することに意味はないと考えている。(アプリの)数(がたくさんあるプラットフォーム)はApp StoreやAndroid Marketが実現しているので、質の部分でどれだけブランド力を高められるかにチャレンジしたい」と話す。また、個人的な見解としながらも「スマートフォンでのソーシャルゲームはそんなに伸びないのではないか」と考えているという。

 「スマートフォン上でのソーシャルは、いちいちアプリを立ち上げてつながるというよりは、端末の中にある程度機能として組み込むような形になるのではないかと思っている」。それができ上がるまでは、ハンゲームの原点である定番ゲーム、オンラインゲームがスマートフォンで伸びると考えており、「この2つを徹底的にやりたい」としている。

 定番ゲームは今年だけで50タイトルのリリースを計画しており、韓国で進めている大型のスマートフォンゲームも秋にリリースの予定だ。この2つを武器に勝負をかける。個人の優秀なクリエイターによるゲームや、リアゲー(今いる場所の天気や時間などを反映させたリアルタイムゲーム)もブランド化していきたいと考えている。

 記者から韓国NHNとNHN Japanのゲーム分野での協力関係について質問が出ると、スマートフォン向けプラットフォームが初めての共同開発だったと答えた。スマートフォンゲームも両社で協力して作っており、従来型携帯電話ではできなかったような展開ができると意気込んだ。

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