枠外へ鼻血がブー！　“はみ出す顔文字”の正体と顔文字アプリ100万ヒットのわけ（2/3 ページ）

はみ出す顔文字の正体に迫る

　大野さんが顔文字に興味を持ったのは、今年7月のこと。大野さんも記者と同じく、Twitterを見ていて、はみ出す顔文字が目に止まったという。なんじゃこりゃ。と同時にその可愛さに心を奪われる。「どうやったら作れるんだろう」とネットで調べるうちに大野さんはUnicodeの一覧表に行き着いた。

　Unicodeは、コンピュータ上でさまざまな文字を取り扱えるよう、ユニコードコンソーシアムによって策定される文字コード。世界の主要な文字のほとんどが収録されており、例えば携帯電話の絵文字も含まれている。はみ出す顔文字は、Unicodeに収録された文字や記号を組み合わせることで表現している（※閲覧する環境によっては文字化けします）。

　試しに1つ入力してみよう。コピー＆ペーストは使わずにやってみたい！　ということで、記者が入力に使ったのはiPhoneアプリ「Unicoder Pro」だ。Unicodeに収録された文字の閲覧・入力・検索ができ、特殊な外国語の文書作成などに役立つ。App StoreのUnicoder Proの説明文には「作り方の分からない特殊な顔文字の構造解析と新たな顔文字の創成に」とも書かれているので、どうやら顔文字職人も使っているらしい。

　Unicoder Proの入力欄に先ほどの“鼻血ブー”な顔文字をまずはペースト。アプリの「全文解析」という機能を使って、どんな文字で表現されているのか調べてみると……。鼻血は、基本ラテン文字のピリオドのような記号に2種類の「合成用区分符号」を組み合わせて表現していることが分かった。白目の丸は、中国雲南省などに住む少数民族イ族の表音文字・イ文字の1つという結果が。Unicodeのカバー範囲はとてつもなく広い……。組み合わせは無限大……！

　分析結果を参考に1文字ずつ入力していくと、鼻血が……鼻血が……飛び出たー！（おもしれぇぇ！）　そのほかの顔文字にもチャレンジしよう。例えば、長方形の「塗りつぶし用図形」2個と、アクセント符号が付いたアルファベットのLを組み合わせると、サングラスをかけているっぽく見える顔文字が。合成用区分符号で2重線を付け足すと、上側にはみ出た立派な眉毛の完成した。

　このようにさまざまな文字の組み合わせで生まれる、飛び出す顔文字。「次はこっちの記号を使ってみよう」という風に試行錯誤で自分なりにアレンジするのも楽しい。大野さんはGirl's顔文字BOOKを作るため、PC上で顔文字を量産。飛び出す顔文字以外にも、スタンダードなものから特殊記号を使ったものまで5000個を集め、Girl's顔文字BOOKとして公開した。