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「ゲームを作るのに、ゲームなんかやらなくていい」――「もしドラ」作者、ゲーム業界にアドバイス (2/5 ページ)

「おれほどゲームをやったやつはいない」と豪語する岩崎夏海氏は、今のゲーム業界をどう見たか。

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ドラッカーとの出会いは「FFXI」の中にあった

しばしば「よく女子高生とドラッカーを結びつけましたね」と驚かれるが、種明かしをすればそんなに難しいハナシではない、と岩崎氏

 もともと「作り方オタク」で、ヒット作品がどのように作られたのかを研究するのが趣味だったという岩崎氏。一見突拍子もなく聞こえる「女子高生」と「ドラッカー」という組み合わせも、実はすべて「200万部売れる本を作るにはどうしたらいいか」という出発点から逆算し、ロジカルに組み上げられたものだったという。

 主人公が女子高生なのは、「キャラの属性の中で一番の鉄板は『17歳の女の子』」という、芸能界・コンテンツ業界の鉄則にならった。また当時「脳トレ」や「ダ・ヴィンチ・コード」などが流行っていたことから、知識欲を満たしてくれるもの、実生活の役に立つものがヒットするのではと考えた。問題はこの「17歳の女の子」を、何と出会わせるかだ。

 そのころ岩崎氏は、「FFXI」のギルドリーダーを務めながら、メンバーをどうすればうまくまとめられるか悩んでいた。そんな折、別のギルドリーダーのブログで「ドラッカーの本がいい」という記述を発見する。言われるがままに読んでみて「これだ!」と思ったのが、ドラッカーとの出会いだった。

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 物語については、三谷幸喜氏にならって「がんばれベアーズ」をお手本にしたという。

「三谷幸喜さんが作るドラマって、すべてある一つの作品が原型になっているんですが、ご存じですか? それが『がんばれベアーズ』なんです。つまり、ダメなチームに変革者が現れて、ああだこうだと引っかき回していくうちにやる気に火が付き、最終的に大きな何かを打ち倒す。それを聞いた時から、おれもいつか『がんばれベアーズ』を原型に何か作ってやろうと思ってたんです」(岩崎氏)

 かくして「女子高生が」、「ドラッカーと出会い」、「ダメなチームを変革する」ことで「読者の知識欲を満たす」という「もしドラ」のプロットが完成した。こうして順を追って聞くと、「もしドラ」を構成する要素のすべてが、何らかのヒットの法則に基づいて積み上げられてきたことが分かる。

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