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【日本三大奇祭】参加者がただひたすら悪態をつきまくる奇祭「悪態まつり」に潜入してきたぞばかやろー!(1/3 ページ)

無言の天狗に飛び交う罵声。こ、この祭りは一体……!

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「ばかやろー!」

「はやく歩けー!」

 神社へ向かう“天狗”の行列に、悪口を吐きつづける人々。黒い烏帽子、白装束をまとった13人の天狗の多くは年配者です。重い足取りで山を登る彼らに、若者たちは笑いながら言い放ちます。

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「遅いぞー! 歳とってるからって許されるもんじゃねーぞー!」

 ああ、若者が伝統行事を荒らしている……わけではありません。これは「悪態まつり」といって、天狗にどんな悪口を言っても許されるというお祭り。茨城県笠間市「愛宕神社(あたごじんじゃ)」が主催する奇祭で、今年は去る12月16日に行われました。

画像 クライマックスで罵声を浴びる天狗たち

冬空の下、飛び交う罵声

 快晴の冬空の下、愛宕山のふもとをスタートした神主さんと13天狗。てっぺんの愛宕神社境内「飯綱神社(いいつなじんじゃ)」を目指しながら、計16カ所のほこらにお供え物をして回ります。標高306メートル、道のり約4キロ。どんな罵声を浴びようが、天狗は「無言の行」をしているため何も言い返しません。

画像 歩き始めた天狗御一行。どんな悪口もばっちこい!
画像 険しいルートを登る天狗たちへかけるのは、罵声

 よし、自分もなにか悪口を……とは思うもののなかなか言い出しづらい。天狗たちが長いお鼻の天狗面をつけるのは最後に待ち受けるクライマックスのときのみ。見た目はただのおじいちゃんなので、いきなり罵声を浴びせていいものなのか……。

「どうぞこの天狗たちに悪口を言ってください。ばかやろー!」

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 行列と一緒に歩いているお祭りの先導さんが、拡声器で参加者をあおりつつ、天狗に罵声。筆者の隣にいる常連っぽい人も、笑顔で大きく叫びます。

「もっと若いヤツ集められなかったのか、ばかやろー!」

画像 拡声器で先陣を切って悪口を放つおじさん

 うおお、むごい。でもそうだ、悪態をつくことで御利益があるお祭りだもんね。よし、自分も。

「ばかやろー!」

 みんなで伝統行事に参加している感じが楽しくて、つい笑顔に。畑が周りに広がる解放的な場所で、普段は言えない乱暴な言葉を叫ぶのもスカッとします。

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なるほど! と要領をえて悪態をつき始める茨城の高専5年生たち

一度は途絶えたものの、10年前に復活

 天狗に悪態をつくことで、体にある罪や“けがれ”を追いだす――天狗を引き連れる愛宕神社の神主さんは解説してくれました。

「神社では“みそぎ”や“おはらい”で、人々から罪やけがれといった悪いものをはらいます。それでもはらい切れずに残ってしまった悪いものを、悪態をつくことでひとつ残らず吐きだしてもらうのがこのお祭りです」

愛宕神社前に立つ神主さん。正装して、13天狗を引き連れます

 お祭りが年の瀬に行われるのもそのため。天狗はけがれを引き受けるよう、白装束を着たり、出発前に飯綱神社でおはらいをうけたりします。愛宕神社は806年から存在する、日本三大火防神社の1つ。火の神を祭ると同時に、境内の飯綱神社で天狗を祭っていました。

出発前に飯綱神社でおはらいをうけ、ほこらへのお供え物をうけとる天狗たち

「なぜ悪態を受けるのが天狗かは、いろいろな説があるんですが結局分からないですねえ。祭りが始まった江戸中期から、天狗と決まっていました」

 言い伝えってそんなもの。お祭りは昭和20年(1945年)ごろに途絶え、空白の時を経て10年前によみがえります。現代風にいろいろアレンジしつつも、今も変わらず悪態を引き受ける天狗は、ありがたくて愛くるしい存在。

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この日は入ることが許される13天狗のほこら
「天狗にエサをやらんと」おばちゃんたちが悪態をつきながら、フナや神酒を供える
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