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実物の化石、国立科学博物館で日本初展示 「ピカイア」「アノマロカリス」「イーダ」など

私たちが持つ22の染色体の起源をめぐる。

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 7月7日から10月4日まで国立科学博物館(東京・上野)で開催される特別展「生命大躍進展 脊椎動物のたどった道」。カンブリア紀最大の捕食者ともいわれる「アノマロカリス」をはじめ、シルル紀の海の支配者で史上最大の節足動物といわれる「ウミサソリ」の標本、胎盤をもつ世界最古の哺乳類「ジュラマイア」、95%の骨格と胃の内容物までが残っている奇跡の化石「イーダ」など、日本初公開となる実物の化石が数多く展示されることで注目を集めている。これらの化石が一堂に会するということで、取材に行ってきた。


36億年前の生命の痕跡は片岩の中

 地球で1番古い生命は炭素(グラファイト)を含む片岩の中に見られる。大きさはおよそ0.1ミリ、グリーンランドの地層から発見された37億年前の生命の痕跡だ。生命の最初は、海にいるバクテリアのような小さな小さな細胞だった。

 カンブリア大爆発のあと誕生したのが、ヒトの背骨(脊椎)のもとといわれる「脊索」(せきさく)を持った「ピカイア」や、頭の上部に5つの眼を持ち先端についた長いノズルのようなもので獲物を捕食する肉食動物「オパビニア」といった生物。展示されているピカイアの化石はカンブリア紀中期(約5億800万年前)のもので、カナダのブリティッシュコロンビア州ヨーホー国立公園で発見された実物の化石だ。オパビニアの化石もこの時期のもので、実物が飾られている。その姿は美しく、全身が保存された形となっている。

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「ピカイア」の化石

5つの眼を持つ「オパビニア」

最近話題となっている「ハルキゲニア」も

 それからなんといってもこの時代の生物としてはずすことができないのが「アノマロカリス」。アノマロカリスは全身の化石は見つかっておらず、イギリスのウィッティントン氏とブリックス氏による気の遠くなるような作業により全容が明らかになった。当初は口元の部分しか発見されておらず、それがエビに似ていたことから「奇妙なエビ(アノマロカリス)」と名付けられたという。アノマロカリスの全長は大きいもので1メートルほど。それを再現した模型も飾られている。


「アノマロカリス」の有名な化石(前半部)。体節とそこから伸びる2つのエビのような構造が見える

「アノマロカリス」の口の化石。口の形は丸く、内側にとがった歯がある

「アノマロカリス」の最も完全な標本

実物大の模型

 そして圧巻なのが史上最大の節足動物「ウミサソリ」の実物全身標本。2.2メートルの標本にただただ立ちつくしてしまう。


「ウミサソリ」の実物全身標本

模型も大迫力。「ウミサソリ」を追いかけているのはデボン紀後期の魚類「ダンクルオステウス」。体長は6~10メートルになると考えられている

 また、ここでは三葉虫やアンモナイトの化石に触れる体験もできる。


三葉虫の化石

アンモナイトの化石

 「ディメトロドン」はヒトの祖先ともいわれるペルム紀最大の肉食動物。背中に飛び出ている帆のようなトゲが特徴で、体温調節するためにこのような構造になったとされる。そして胎盤の獲得をした「ジュラマイア」は、ヒトの直接的な祖先と言われている。「ジュラマイア」は前半身しか発見されていないが、上顎(じょうがく)と上顎の奥歯の特徴などから胎盤を持っていたと考えられているそうだ。


「ディメトロドン」の足あとの化石と思われる

「ディメトロドン」全体像模型

「ジュラマイア」の前半部分骨格(実物)

「ジュラマイア」の模型

 そして最後に「イーダ」の愛称で知られる、ドイツのメッセルで発見された霊長類化石として最も完全な標本「ダーウィニウス・マシラエ」。「奇跡の標本」とも呼ばれるほどずばらしい完全標本で、95%の骨格と胃の内容物までもが残っているという。

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「ダーウィニウス・マシラエ」(イーダ)の全身骨格(実物)

 展示は午前9時から17時まで(金曜日は20時まで)。休館日は7月13日、9月7日、9月14日、9月28日となっている。


 40億年の進化の歴史から、私たちが持つ22の染色体の起源をたどる――ホモ・サピエンスの次の生物はどんな染色体を持ち、どんな子孫を残すのだろうか。

太田智美

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