連載

漂流物との出会いを趣味に ビーチコーミングの魅力が詰まった『東京湾のひとひら』司書メイドの同人誌レビューノート

秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。

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 一般にはあまり出会う機会のない同人誌。アニメやマンガのパロディや、コスプレの写真集などさまざまなジャンルがありますが、こちらの連載では、私設図書館「シャッツキステ」の司書メイド・ミソノが、オリジナル創作や評論ジャンルの同人誌を中心にご紹介します。作家の「好き」が形になった同人誌、その魅力を体感してください。


東京湾のひとひら -東京湾にはお宝がいっぱい-

紹介する同人誌

タイトル:『東京湾のひとひら -東京湾にはお宝がいっぱい-』

著者:Effe*

形態:A5 28ページ 表紙・本文カラー

Twitter:@effe_ketsumedo

 嵐が過ぎ、空気が急にひんやりしてきましたね。今年の夏はどんな風にして過ごされましたか? メイドたちと「今年は泳ぎました?」「海には行ったかしら?」とおしゃべりして、夏の思い出を振り返ったりしています。私の夏は、海辺に近い会場で行われる同人誌即売会には行きましたが、実際の海となると……泳ぎに行ったのなんて子どものころくらいかしら? などと考えているときに、素敵な本と出会いました。

水着じゃなくて、軍手を持って海に行く!

 「ビーチコーミング」という趣味があるのは聞いた事がありました。浜に打ち上げられた漂流物を拾って楽しんだり、それを加工したり。波で洗われて角が丸くなったガラスの破片や、貝殻など……。この本には、ビーチコーミングでこんなお宝と出会えるよ! という実例が、たくさん紹介されています。海辺にはいろいろなものが落ちているので、軍手は必須とのこと! 小さな貝殻しか想像していなかったけれど、どんなものが拾えるのかしら?

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特別な道具を準備する必要はなく、身の回りのもので始められそう!

ウニの殻って見たことありますか?

 まずびっくりしたのはウニの殻! えー! ウニって、あの食べるウニ? 本には緑色で、丸い繊細な造形の殻の写真が載っています。とげとげが外れるとこんな形をしているんですか。丸くてぽつぽつしていて、サボテンみたいでとってもかわいいです。こんなものが浜辺で拾えるなんて驚きです。他には、化石やサンゴも拾えるんだとか。カラフルなガラスの破片もきれいだし、絵付けがされた陶器のかけらも丸みを帯びて、味がありますね。

 そんな品々を、カラー写真と文章でたっぷり紹介。美しい写真は大きく、そして文章はすっきりと添えられて読みやすく、A5サイズの本がちょうど手にしっくりきて、これを片手に海辺に行きたくなってきます。


あれもウニ! これもウニ!

東京湾で出会いがたくさん!

 何と、これらは全て東京湾で出会える漂流物とのこと。ひとつの浜でこんなに多種多様な品と出会えるんですね。中には、医療漂流物など手を触れてはいけないものもあることも紹介されています。

 遠くから流れ着く植物の種や、生き物の死骸、骨と出会うこともあるのだとか。「海は何てたくさんのものを内包しているのだろう!」と、その底知れない深さに、ふいにはっとした気持ちになりました。

 作者さんはビーチコーミング歴9年にして、ご自分で集めた素材をアクセサリーなどに仕立てる活動をメインにされています。残念ながら本は完売していますが、日々のビーチコーミングや、作品についてはHPやTwitterなどで見ることが出来ます。

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Effe*さんがビーチコーミングで見つけてアクセサリーにしたものがこちら!

ミソノ流ワンポイント用語解説

申し込み

 同人誌即売会に本を置く場所を確保するためには、事前の申し込みが必要です。申込書は、開催を告知するチラシに添えられていたり、イベントを主催する責任者のWebサイトからも入手することができます。大きなイベントは申し込みの締め切りも早い! 次回のコミックマーケット(2015年は12月29日~12月31日を予定)は、8月24日に受付が終了しました。申し込んだら後は、場所が確保できるかどうか運を天に任せるのみです。どんな本を出そうかなー…・・・と妄想が膨らむ時期ですね!


ミソノ:いつでも優しい笑顔で、皆の心をいやしてくれる。普段は大きな図書館で司書をしており、司書ならではの本に関するお話は、日常では知る機会の少ない情報満載で、一聞の価値あり

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