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須田剛一×コミックビーム 異端と異端のコラボが産んだ「暗闇ダンス」は“狂人の作ったテーマパーク”須田剛一・奥村勝彦インタビュー(1/3 ページ)

「暗闇ダンス」第1巻発売を記念して、原作者・須田剛一さんと、コミックビーム・奥村勝彦“編集総長”にお話を聞きました。

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 ゲームクリエイターの須田剛一さんが原作を手掛ける、漫画「暗闇ダンス」(画:竹谷州史/コミックビーム連載)の第1巻が1月25日に発売されました。

 須田さんと言えば、「ノーモア ヒーローズ」や「ロリポップチェーンソー」「シャドウ オブ ザ ダムド」など、ファンからは“須田ゲー”とも言われる、強烈な作品を次々と送り出してきたゲームクリエイター。そんな須田さんがなぜ漫画原作という分野に挑戦することになったのか、「暗闇ダンス」とは一体どんな作品なのか。同作の担当編集であり、コミックビーム“編集総長”でもある奥村勝彦さんとともに語っていただきました。

「暗闇ダンス 壱」(以下続刊/KADOKAWA/エンターブレイン)→ 試し読みページ

あらすじ

 バイクで時速300キロの世界をのぞき、そして大怪我を負った海道航(ワタル)。3年間の眠りから目覚めたワタルが見たものは、様変わりした故郷と、そびえ立つ黒金(黒は旧字体の黒)の城、そして自分にしか見えないバケモノ――。葬儀屋の仕事に復帰したワタルは、黒金の王国から依頼を受け、バケモノとともに城を目指す。

「シルバー事件」とコミックビーム

―― そもそもどういう経緯で連載を始めることになったんですか?

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須田 実はコミックビームって、グラスホッパーのデビュー作だった「シルバー事件」(プレイステーション)の中に登場していて。

―― え、知りませんでした! 初代プレイステーションのころですから、もう20年近く前ですよね?

須田 18年前だったかな。ゲーム中に漫画本を置きたいなと思って、ファミ通さんに相談したんです。

奥村 ちゃんと話はしたんだ(笑)。

須田 しましたよ、もちろん! で、ゲーム中にグラビアアイドルが登場するんですが、彼女がピンナップで表紙を飾っている雑誌としてコミックビームを出させてほしいと。

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奥村 さすがに覚えてなかったなあ。ウチが創刊20年になるんで、まだホントに初期の段階ですよね。でも、そういうの大好きなんで、来たハナシは全部受けてたな。

須田剛一さん。1993年にヒューマンに入社し、後に独立しグラスホッパー・マニュファクチュアを設立。「シルバー事件」「ノーモア ヒーローズ」や「ロリポップチェーンソー」「シャドウ オブ ザ ダムド」などユニークな作品を多く送り出し、海外からも一目置かれるゲームクリエイターの1人

須田 そのころから実はコミックビームとの縁はあったんですよ。

―― 18年も前から。

須田 で、そこからだいぶ時間が空くんですけど、5年前ぐらい前にはじめて奥村さんと新年会でお会いして。それからしばらくして、「何か一緒にやりませんか?」って僕の方から持ちかけたんです。

雰囲気で分かった「こっち側の人」

―― 奥村さんから見た須田さんって、どういう人でしたか?

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奥村 正直ゲームはそんなに詳しくないんだけど、分かるんだよ。あっ、こっち側の人だ! って。会った雰囲気でもうだいたい分かっちゃうの。

―― (笑)

奥村 「マーケティングよりも、自分の感覚一直線」みたいなタイプの人。まとってる雰囲気が同じような感じなのよ。

奥村勝彦さん。コミックビームの2代目編集長で、現在は“編集総長”。奥村さんについてはこちらのインタビューをどうぞ(関連記事:「“読者のニーズが”とか言ってるヤツを見ると、ムカッと腹立つんですよ」 20周年を迎えた「コミックビーム」が目指すもの

―― 逆に須田さんから見た奥村さんはどうでしたか。

須田 いやもう、強烈でしたね。とにかくまず話が進む。スウィングする感じ。映画の話とか、あと僕が狩撫麻礼さんの大ファンだったんで、狩撫さんのお話とか。共通項がすごく多かったので「何か面白いものを一緒にやりましょう」という話になったときも、すぐにスパッと進んでいって。

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奥村 そういう共有があると、ハナシが早いんだよね。いきなり同じ方向を向いてるから、しゃべってるとポンポンポンって弾む。普通にしゃべってるだけで、こりゃ何か仕事になっちゃうかな、みたいな予感はあったね。それがゲームになるのか、漫画になるのか、他のモノになるのかはよく分からなかったけれども、そんなんどうだっていいやって。

須田 確かそのとき、奥村さんが「いつでもできるものは別にやらなくてもいい、他紙でできるものもやらなくていい」って言ってたのはすごく印象に残ってます。それを聞いた時に「あっ、やっぱりここではすごく“本質的なもの”をやるんだな」と直感したんです。なんて言ったらいいんですかね、奥村さんって中心に“塊みたいなもの”があって、それが絶対ブレないんですよ。

「普通にしゃべってるだけで、こりゃ何か仕事になっちゃうかな、みたいな予感はあったね」(奥村さん)

―― それはいつごろの話?

須田 5年前くらいですね。それから「暗闇ダンス」の構想をだんだん固めていって。その間、お会いするたびに奥村さんの“塊みたいなもの”がより明確になっていった。多分それはお互いにだと思うんですけど。

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