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パリジェンヌはようかんの夢を見るか? パリで大盛況となった「YOKAN COLLECTION」レポート

コーヒー、ようかん、パリジェンヌ。

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 3月18日から20日にかけて、フランス・パリで開催された「YOKAN COLLECTION」。日本全国から集まった11店の和菓子屋がさまざまなようかんを実演、試食、展示によって広めていくもので、海外へはこれが初進出。フランス人はようかんをどう受け止めたのか、また各店のフランスでの手ごたえなどをうかがってきました。


たっぷりと光が差し込む美しく清潔感のある空間

 会場はパリでも特におしゃれな3区の「Espace Marais.Mrais(エスパス マレ・マレ)」。11時30分の開場時にはすでにたくさんの来場者であふれていました。

 訪問時、2階では練り切りのデモンストレーションが行われており、フランスのテレビ局が取材に訪れていました。このデモンストレーションは1日に2~3回ほど行われ、集まった来場者も食い入るように見つめていましたが、この練り切りもようかんだと思ってしまったフランス人も多かった様子。周囲の誤解だけそっと解いておきました。

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デモンストレーションを行う「巌邑堂」内田弘守代表取締役社長

 「巌邑堂(がんゆうどう)」の内田弘守代表取締役社長は、「反響はとてもよかった。デモンストレーションのたびにかなり興味をもって集まってくださるのが分かりました。パリを皮切りに、ニューヨークやシンガポールでも展開していければ」とのこと。夢は広がります。


繊細な技術に歓声も

 デモンストレーションが終わったら地下1階に移動。こちらではようかんの歴史や原材料、作り方などが展示されていました。


ご両親に熱心に質問する男の子の姿が印象的

 さまざまな種類のようかんを試食できるコーナーも。お茶が販売されていたらもっと食べられ……いえ、なんでもありません。


塩ようかんや昆布ようかん。塩ようかんは特に人気でした

 今回参加した佐賀県の「村岡総本舗」は、本店に併設されている「羊羹(ようかん)資料館」がミシュラン・グリーンガイドに掲載されているのだとか。村岡由隆取締役副社長によれば、ようかんは日持ちもよく、チョコレートのように溶ける心配もないため、ツール・ド・東北のような自転車競技の携帯食品としても重宝されているのだそう。自転車競技の本場であるフランスなら、そういった観点からアピールすることも可能ですね。


本店が桜の名所にあることに由縁する白あんを桜色に染めたようかん

 福岡県に本店のある「鈴懸」では唯一、水ようかんが紹介されていました。

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一見するとミルクジャムのようなおしゃれな水ようかん

 瓶詰めのモダンな水ようかんは白ゴマ、キャラメル、チョコレートの3つの味があり、今回試食したのはキャラメルとチョコレート。どちらも香り高く、特にチョコレートはカカオの苦味が利いていてフランスでも人気が出そう! 大人の味かと思いましたが、小さなお子さんもおいしそうに試食していました。

 「鈴懸」の岡村禎浩総務副担当長によれば、水ようかんは「味わったことのない食感」としてフランス人来場者にも大変好評だったとのこと。フランスには甘みの強いデザートが多いですが、「この甘さが控えめなところがいい!」と感じるフランス人来場者も多かった様子。甘さ控えめを求めるフランス人も実は多いというのは新発見でした。


甘さ控えめで後味さわやか

 ようかんの新しい形状を追求していたのは岐阜県の「槌谷」。ガラス細工のような「みずのいろ」は、ハーブティーで色と風味がつけられたもの。特に水色のようかんはバタフライ・ビーというタイの珍しいハーブティーを取り寄せて作られているのだそうです。外側を乾燥させることで2種類の食感が楽しめ、見た目も美しいことから「すべてのフランス人来場者から」と言ってもよいほど好評であったそう。


右からハイビスカス、オレンジ、カモミール、ミント、バタフライ・ビー

3Dプリンターで作ったライオンようかんも

 「槌谷」の槌谷祐哉代表取締役社長は、ようかんの形状を追求する理由を、「ようかんは今、一般家庭で日常的に食べられているわけではありません。その原因を探ってみたところ、チョコレートのように日本人の日常に浸透しているお菓子と比べるとかたちの多様性が足りないからではと考えました」と話しています。

 さらにフランスでは好みが分かれるかと思われた柿羊羹(かきようかん)も、「好まれる方が多く、驚きました」とのこと。デーツ(フランスではダット)と呼ばれるナツメヤシの実がありますが、それが好きな人にはたまらない味のようです。

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 来場していたパリ在住のカテリーナ・スルブコバーさんに感想を聞いたところ、「どれもとてもおいしい。モロッコのゴマを使ったお菓子に似ている気がします。フルーツを使ったようかんもあり、中華料理のデザートで出てくるドライジンジャーに砂糖をまぶしたお菓子を思い出す」と話してくれました。

 モロッコのお菓子とは、恐らくカーブ・ガザールのことだと思われます。中にアーモンド、バター、蜂蜜のペーストが入った揚菓子で、外に白ゴマがまぶしてあるもの。フランスではモロッコの食文化が大変身近で、モロッコの色鮮やかなお菓子が積みあげられたパティスリーは街中で頻繁にみかけるものです。


カテリーナ・スルブコバーさん。「私には『ようかん』という名前の日本人の同僚がいるんですよ!」とも。「ようこさんでは……?」。日本人女性の下のお名前のようですが、お会いしたかったです!

 今回、海外進出第1弾となった「YOKAN COLLECTION」。会場は大盛況で、フランスでの反応はかなり良好な印象。フランスはヨーロッパの中でも日本文化を積極的に受け入れる土壌のある国。日常的に緑茶や抹茶を飲む習慣はありませんが、今回のイベントで現在ではコーヒーや紅茶、お酒にもに合うようかんがたくさんあるのだということが分かりました。近い将来、パリではコーヒーとようかんを楽しむことが一般的になるのかも!?

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