「上海ディズニーリゾート」リポート 上海で見つけた、ディズニーが「夢はかなう」と言える理由:東京となにが同じで、なにが違う?(4/5 ページ)
東京との違いは? どんなアトラクションがある? 上海ディズニーリゾートをリポートします。
対立構造は無意味――むしろ上海vs香港?
そして「上海ディズニー“リゾート”」としての側面を見てみましょう。このリゾートには2つのオフィシャルホテルとショッピングエリアが作られています。オフィシャルホテルはバリュークラスながら大変凝った作りの「トイ・ストーリー・ホテル」と、アール・ヌーヴォー調で豪華な「上海ディズニーランドホテル」の2つがあります。特に上海ディズニーランドホテルはテーマパークの前にある湖を挟んだ場所にあり、ボートに乗って向かうという立地で大変便利です。この感覚は、東京ではなかなか体験できません。
おそらく皆さんも「東京ディズニーリゾートは勝てるの? 負けるの?」という印象を持つでしょう。東京はどちらかというと「都市に隣接されたテーマパーク」ですが、上海ディズニーリゾートは「リゾートを一から作った」という印象です。これまでディズニーはフロリダにウォルト・ディズニー・ワールドというリゾートを作っており、それと似た印象を持ちました。そのため、都市型テーマパークである東京ディズニーリゾートとの比較はあまり意味がないかもしれません。
むしろ中国国内においては、「上海ディズニーリゾートvs香港ディズニーランド・リゾート」の構図なのではないかと思います。香港も既存のマジック・キングダム型で、一度上海を体験してしまうともう古くさく感じてしまうかもしれません。東京はまだ世界に唯一の「東京ディズニーシー」がありますので、輝きを保っています。今後の香港の動向は、マニアとしては注目すべき点かもしれません。
夢は自然にかなうのではない、夢は情熱と技術で“実現する”のだよ!
上海ディズニーリゾートのオープニングに立ち会い、2日間の滞在で感じたのは、ディズニーのいう「夢はかなう」という意味の本質でした。ディズニーが嫌いだという人の中には「無責任に夢はかなうとか言ってほしくない」という人もいます。どうやら、夢を願えばいつか自然にかなう、という印象を持たれているようですね。
しかし、上海ディズニーリゾートに来て痛感しました。ゲストをあっと驚かせたり好奇心を抱かせたり、リゾート体験を満足させるために、ディズニーのイマジニアは持てる技術と演出力、想像力をすべて振り絞り、技術をもって形にしています。確かにディズニーは「夢はかなう」といいますが、彼らはきっと「『夢はかなう』じゃない、技術と情熱を持って“かなえる”のだ」と考えているのでしょう。私もその技術を見たくて上海に行ったので、今回の体験は100点満点で5億点くらいでした。
ウォルト・ディズニーが「最も幸せな場所である、あなたのディズニーランド」を目指し、オリジナルのパークを作って今年で61年目です。そしていま、ウォルトなしに作ったテーマパークが実にウォルトらしい要素だらけだったことに、ディズニーマニアとしてこれ以上ない満足感を得られました。おそらく、中国にあるからといろいろと心配する人も多いでしょうが、キャストの教育は完ぺきに近く、その点では心配はいりません。
上海ディズニーリゾートは技術の宝庫。ディズニーマニアでなくても最高の体験ができるでしょう。その意味で、ぜひ多くの人に体験してもらいたい場所でした。
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