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「ジブリの大博覧会」東京でスタート 鈴木Pの机、糸井重里とのFAX 資料3千点が伝えるジブリの“宣伝”熱

イスがふかふかにパワーアップしたネコバス、巨大トトロのお出迎えなど、ジブリファンをときめかせる展示もいっぱい。

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 「ぼくらは学んだ。映画は作るだけじゃダメだ、映画にとって宣伝も重要な仕事なんだと。それはジブリの新しい歴史の始まりだった」(鈴木敏夫プロデューサーの展示解説より)

 1984年公開「風の谷のナウシカ」から最新作「レッドタートル」まで。30年以上にわたってスタジオジブリ作品がどのように生み出されたのかを紹介する展覧会「ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作『レッドタートル』まで~」が、7月7日から9月11日まで東京・六本木ヒルズ展望台の東京シティビュー内スカイギャラリーで開催される。

 公開時のポスターやチラシといった広告宣伝物を中心に、約3000点の資料を展示。アニメーターらが描く作品の魅力を、絵筆を握らぬスタッフたちはどのようにして膨らまし、世間に届けてきたのか。見どころをいくつか紹介しよう。

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入場口には歴代作品の宣伝ポスターが並ぶ
スタジオジブリの内部を再現したコーナーでは、カウンターにトトロが!

 序盤で出迎えてくれるのは、カウンターのなかにたたずむ巨大なトトロのぬいぐるみ。スタジオジブリの内部を再現したコーナーだ。喫茶店のような空間に、「耳をすませば」のバロンや「魔女の宅急便」ジジなど、キャラの人形があちこちに配されている。壁には、宮崎駿監督がケーキの火を吹き消そうとする瞬間など、スタジオ内の日常がかいま見える写真が。

カウンターにはバロン男爵の人形が、トトロの後ろにはジジの人形などオブジェがいっぱい
鈴木プロデューサーや高畑勲監督など、ジブリの日常を切り取ったような写真も
階段のようなスペースをのぞくと、あのキャラが……!

 ポスタールームでは、25作品分の宣伝ポスターの資料が、壁7面、天井目いっぱいまでずらりと並んでいる。世界に1枚だけしか残っていないという「風の谷のナウシカ」公開当時のポスターをはじめ、各ポスターの下絵や原画など、ジブリ秘蔵の資料がいっぱいだ。

圧巻のポスタールーム
展覧会のイメージビジュアルにもなっている、世界に1枚しかない「風の谷のナウシカ」公開当時ポスター。「すべては、この1枚から始まった」(本展キャッチコピー)
「となりのトトロ」宣伝ポスターの原画や、糸井重里さんのキャッチコピー案。「このへんないきものは、もう日本にはいません。たぶん。」と、最終的に決まらなかった仮案も書かれている

 「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」(魔女の宅急便)など、ジブリ作品のキャッチコピーは糸井重里さんが手掛けている。決めるまでに鈴木敏夫プロデューサーと2人で送り合ったFAX用紙も展示。「(宮崎監督は)『私は』の『は』はとったほうがよいという考えです」など、1つ決めるまで徹底的な意見交換がなされている。「ジブリの宣伝ポスターは主に、イラスト、キャッチコピー、題字の3つで構成されています。いずれも妥協なく製作している様子が展示から分かると思います」(展覧会担当者)。

「魔女の宅急便」のキャッチコピー案、タイトルロゴ案について鈴木さんがコメントしたFAX
「紅の豚」で関係者配布用に制作された、マンマユート団のポスターと下書き
テレビでのみ公開された「海がきこえる」、CHAGE&ASKAの楽曲のプロモーションフィルムとして制作された「On Your Mark」の原画まで!
過去の新聞広告も、ぎっしり公開
「千と千尋の神隠し」の新聞広告の数々(左)、「風立ちぬ」の上映カウントダウン(右)。多彩な広告表現に舌を巻く
中吊り広告も総ざらい。電車にもジブリはあふれている
鈴木プロデューサーの部屋の再現コーナー

 鈴木プロデューサーの部屋の再現コーナーもある。壁には鈴木さんが応援する中日ドラゴンズのカレンダー、机上には好きな遊び「チンチロリン」に使うサイコロが。鈴木さんは「風の谷のナウシカ」の制作を徳間書店に依頼した当時、宣伝部長と一晩チンチロリンに興じた。わざと相手を気持ちよく勝たせながらナウシカの魅力を訴え、制作決定につなげた。遊びも愛する名プロデューサーの人となりが観察できる。双眼鏡を持参すべし!

「机の前に貼ってあるタコ足コンセントも汚れ具合まで似せていて、本人も驚いていました」と担当者。サイコロは、打ち合わせの時も片手でいじっていることがよくあるそう
鈴木プロデューサーが筆を走らせた、キャッチコピーや名言の数々

 このほか「プロデューサーの仕事」では、大まかに分けた4つの仕事「制作」「宣伝」「配給」「興行」の全貌を、「もののけ姫」を例に数々の企画書で紹介。「ジブリの宣伝倉庫」では宣伝用に作られたグッズが所狭しと並んでいる。制作ごとに関係者にだけ配られる腕時計、過去の企画展「千と千尋の神隠し」の際につくられたカオナシが描かれた大きなツボ……などレアなアイテムも!

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「ジブリの宣伝倉庫」
関係者配布用の腕時計
カオナシが描かれたツボは企画展「千と千尋の神隠し」以来のお披露目。ジブリの刊行誌「熱風」もずらり
天井にはメーヴェの模型やまっくろくろすけも

 最後に登場する「となりのトトロ」のネコバスのオブジェは、ぜひ中に入って腰かけよう。乗車可能なネコバスは過去にも「三鷹の森ジブリ美術館」で展示されてきたが、イスが固かったのに鈴木さんが難色を示して、今回は特別にふかふかにしてもらったのだという。お尻がふか~っと沈んでいったときは、あのネコバスに乗れたという感動が。LINE LIVEの生番組で鈴木さんも「こっちのネコバスの方がいいから」と太鼓判を押していた。

大人も乗車できるネコバス
行き先の表示は「メイ」じゃなく「六本木」。サツキちゃんがうらやましかった大人のみなさん、ぜひご乗車を

 スタジオジブリ作品が説明不要の知名度を誇っているのは、作品そのものが素晴らしいからだけではなく、ポスターのキャッチコピー、タイアップ企画、グッズ、企画展……“宣伝”にたゆまぬ努力が注がれてきたからだ、ということが分かる本展。ジブリの世界にときめきながら、その熱風に触れたい。

 なお「ジブリの大博覧会」はこれまでにも愛知県、新潟県で開催されてきたが、今回は初めて新たに2つの企画展「スタジオジブリ 空とぶ飛行機展」「レッドタートル ある島の物語展」も併催。

“空への憧れ”を表現した「スタジオジブリ 空とぶ飛行機展」
「天空の城ラピュタ」オープニングで描かれる、人々が空へ飛ぶ力を手にしていく過程を、海抜270メートルからの景色とともに鑑賞できる
そのオープニングに登場する、宮崎監督がデザインした鉄の製造場や飛行船も、巨大なカラクリ模型で再現

 「スタジオジブリ 空とぶ飛行機展」は“空への憧れ”を表現した企画展。「天空の城ラピュタ」のオープニングに描かれている飛行船を模型で再現する。「レッドタートル ある島の物語展」は、今年9月公開の最新作「レッドタートル」の原画や絵コンテ、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督が影響を受けた日本画などを展示している。

「レッドタートル ある島の物語展」
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督が影響を受けた作品
原画や絵コンテも

 3展合わせて、入場料は一般1800円。開館時間は10時~22時(最終入場は閉館30分前)。オフィシャルショップでは、「となりのトトロ」の復刻版ぬいぐるみや、鈴木さん直筆「バルス!」の字が入ったTシャツなど、限定グッズが登場。パズーのワークキャップを再現した帽子など新商品も先行販売される。東京シティビューに隣接するカフェ「THE SUN」でも、「天空の城ラピュタ」の目玉焼きパンなど、企画展オリジナルメニューが11品提供される。

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1993年に1度だけ販売されたベージュ色のトトロぬいぐるみ(左)、1988年トトロ公開時に発売されたミミズクトトロぬいぐるみの再現マスコット(右)。物販で限定復刻販売
「バルス!」「ここで働かせて下さい。」などジブリの名言Tシャツ(左)、パズーのワークキャップを再現した帽子(右)
「THE SUN」で提供される、ラピュタでおなじみの目玉焼きトースト&肉団子スープ(左)、「風立ちぬ」でカストルプがむしゃむしゃ食べるのが印象的なクレソンのサラダ(右)

ジブリの大博覧会~ナウシカから最新作「レッドタートル」まで~

会期:2016年7月7日~9月11日 会期中無休

時間:10時~22時(最終入場 21時30分)

会場:六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー内スカイギャラリー

入場料:一般1800円、高校大学生1200円、4歳~中学生600円、シニア(65歳以上)1500円

公式サイト:http://www.roppongihills.com/tcv/jp/ghibli-expo/

黒木貴啓

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