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テレビ番組、2019年にもネット同時配信へ? 総務省に現状を聞いた

テレビ番組のネット同時配信を全面的に解禁する方針を総務省が固めたとの報道が話題に。総務省に取材しました。

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 朝日新聞が10月19日に報じた、総務省がテレビ番組のネット同時配信を2019年にも全面解禁する方針を固めた、という記事が話題になっています。実現に向けてどのような段階にあるのか総務省コンテンツ振興課に取材したところ、放送法改正の話は特にまとまっていないなど、若干の齟齬(そご)があることが分かりました。

テレビ番組のネット同時配信が、全面解禁……?

 現在NHKは放送法によって、放送番組を24時間常時配信できないなど、ネットで同時配信するには業務が制限されています。一方で民放は、現行法で特に同時配信を規制されていません。朝日新聞は、NHKのみを制限している放送法を改正することで、テレビ業界でネット同時配信を“全面”解禁する方針を総務省が固めたと、取り上げていました。

 総務省では去年11月に「放送を巡る諸課題に関する検討会」を立ち上げ、NHKが番組をネット配信する際に受信料はどうするかなども含め、放送法改正について話し合いを進めてきました。今年9月9日に第一次取りまとめを作成し、放送業界全体においてネットとの連携を強めていく方針を発表。ブロードバンド化の進展やスマートフォンの普及によって、若者を中心にテレビ離れが進んでいる現状を受けたものです。

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ネット環境の変化を示したグラフ(総務省報道資料より

 そこではNHKの今後の方向性としてネットを活用していくことが触れられていましたが、「放送法の改正については、去年11月から変わらず何も話はまとまっていません」と課の担当者は話します。

 また第一次取りまとめを受ける形で総務省は10月19日、放送業界がネットで同時配信をしやすい環境をつくるために、業界が現在どのような課題を抱えているのか情報通信審議会に意見を求めました。

 民放は同時配信を規制されてはいないものの、実行に移すには高いコストがかかります。例えば音楽の使用料を払うといった権利処理も、テレビで流すためとは別に、ネット用の手続きをとらなくてはなりません。またアクセスが集中しても安定して配信できるための設備も必要。こうした手続きや費用などもろもろを放送局が負担するのは一筋縄ではいかず、特に小規模な地方局にとっては高いハードルがありました。

 19日の会議では業界がどのような問題を抱えているのか意見を求めたのですが、NHKについては引き続き「放送を巡る諸課題に関する検討会」で検討していくので、この“業界”の対象には入っていないとのこと。放送法改正については相変わらず進展はありません。

 また同記事では、「2019年にも全面解禁する」「東京五輪・パラリンピックを前に、スマートフォンなどで場所を選ばずテレビを見られるようにする」と、2020東京大会に向けた動きがあるような文言がありました。課の担当者は「情報通信審議会には来年6月までに中間答申を、2018年6月までに最終答申を出すよう依頼しています。しかし2019年までにという具体的な期間や東京大会を視野に入れた話はしていませんし、何か全面解禁するような方針を固めたわけでもありません」と疑問を呈していました。

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 全面解禁への方針が固まったとまでは言えなくとも、国側がテレビ番組のネット同時配信に向けて意欲的であるのは間違いありません。NHKのネット同時配信が解禁されるかどうかは受信料問題も含め関心が寄せられるところで、放送法改正に動きがあるか「放送を巡る諸課題に関する検討会」の行方に注目が集まります。

黒木貴啓

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