「宅配便の再配達がないまち」は作れるのか!? 「日本一共働きが多い県」に潜入してみた
「共働き率日本一の県」という福井県のあわら市に行ってきました。
こんにちは、ねとらぼライターのちぷたそです。私は福井県に来ています。めっちゃのどかだ……。
失礼しました。実は現在、ここ福井県のあわら市では「共働き率日本一の福井県で再配達ゼロのまちをつくろう」という、国とあわら市とパナソニックの協力による、宅配ボックスを使った実証実験プロジェクトが行われているんです。「宅配ボックス」というのは、不在時でも宅配便の荷物が受け取れる便利なボックスのこと!
家に帰ってポストに不在票が入っているとゲンナリするもの。宅配ボックスはそんな私たちの通販ライフを大きく変えるものになるかも、と注目されているものなんです。
そこで実証実験の土地に選ばれたのが、共働きの家庭が日本一多い県だという福井県のあわら市。そうそう、共働きで留守がちだと荷物の受け取りが困難になるんですよね……。今日は宅配ボックスがどんな風に使われているのか、実際に見てみたいと思います。
というわけで早速あわら市へ行ってみよう
そんなわけで芦原温泉駅へ。これぞ昔懐かしの日本! と感動してしまうような風景が広がっていました。そして駅前なのに森の香りがします! 人が多くてごちゃごちゃしている都心と比べると癒されること癒されること。
早速実物を見てみよう、ということで本日宅配ボックスを取り付ける加藤さんのお宅へ。宅配ボックスの施工の様子を見学させてもらいました。
加藤さんのお宅
そんな感じで、工事が始まりました。しかし、その工事自体は30分程度であっという間に終了。「えっもう終わり?」と思うぐらいに早かったです。
宅配ボックスも、体験させていただきました。いや……これめちゃめちゃいいですよ。扉を開け、荷物を入れて扉のレバーを押して閉めると「使用中」になる。その状態で人がいなくても機械でハンコをいただくことができる。宅配ボックスはいったん設置すると、その後かかるコストといえば、ハンコの交換代くらい。そのハンコも交換頻度は4年に一度くらい。最高なのでは……?
工事早かったですね。いかがでした?
すごく早くてびっくりしました。工事もすぐ終わるし、便利だし。こんなに簡単に済むなら他の人にも勧めてあげたいです。
加藤さんは、普段はどんなものをネット通販で購入しているんですか?
この辺りで売っていないブランドものの商品や、子どもの決まったものなどで買いに行く時間が取れない商品です。通販だと、この日くらいに来るって言っていてもその日に来なかったりして、翌日は不在で受け取れなかったりする。
あるあるですね……!
あと、通販って小さなものを買っても大きい箱とかで来たりするじゃないですか。なので、今回は宅配ボックスの大きさも最大のものを選びました。これからが楽しみです!
続いて設置から約1カ月のお宅へ
続いて、宅配ボックス設置から約1カ月という須田さんのお宅へ向かいました。宅配ボックスを実際に使ってみた感想を聞いてみましょう。
1カ月宅配ボックスを使ってみて、使い勝手はいかがですか?
普段なら、不在票が入っていると、1日とかしばらく経ってからの受け取りになりますが、その日のうちに受け取ることができて助かりました。1回不在票もありましたが、その時は宅配ボックスよりも荷物が大きくて……という感じでした。
普段は通販をよく利用されるんですか?
よく使います。洋服とか、子ども用品とか……やっぱり小さな子どもがいると、なかなか買い物に行く時間がないので。今は育休中ですがまたすぐ仕事に復帰するので、今後はもっと宅配ボックスを活用する機会が増えそうです。
実際に使ってみての声を聞いてみると、満足度は高いようです。というかむしろ、こんなに簡単(そうに見えた)に取り付けられるなら、筆者も自分の家でも付けたくてしょうがないですが……! 私自身、これまでに何度ポストの中の不在票を見てゲンナリしたことか。
「共働き率日本一の県」というとあまり名誉とはいえない称号にも思えますが、実は福井県って、日本総合研究所が7月29日に発表した「全47都道府県幸福度ランキング2016年度版」(東洋経済新報社)で1位になっている土地でもあるんですよね。共働きの家庭が多く、なおかつ「日本一幸せな県民」ってすごいことじゃないですか?
今回実証実験が行われたあわら市も「働きやすく暮らしやすい街づくり」を推進しているとのこと。みなさんからも「自然に囲まれたあわら市が大好き!」「静かな環境で、子育てもとってもしやすいです」と地元への愛着が感じられました。
宅配ボックスを開発した人に話を聞こう
では最後に、宅配ボックスを開発した人にも話を聞いてみようと思います。パナソニックの林課長です!
そもそも宅配ボックスはこうした地方と東京のような都会だと、どちらが需要があるんですか?
宅配ボックスは25年くらい前から展開しているんですが、もともとは都心に住む共働き世帯の方がターゲットだったんです。ところがだんだん「地方の共働き世帯」や「高齢者」にも必要とされるようになってきたんです。荷物を受け取れないという悩みは都心も地方もほとんど差がなくなっているんですね。
「高齢者」ですかー。家にいる方が多そうだから、荷物を受け取れそうな気もしますが……ハッ! 耳が遠くて玄関のチャイムが聞こえなかったりとか!?
そうなんです。実際に、玄関のチャイムが聞き取れずに不在票が大量にたまってしまう、という理由で今回モニターに参加してくださっている方がいます。あとは、夜勤など昼夜逆転の生活のため昼間の配達に応じられないという方もいますね。
今日設置を見学していて、自分も欲しくなりました。あわら市のモニターに選ばれたみなさんうらやましいなあ。しかし、うちはそもそも賃貸なのですが、宅配ボックスは賃貸のアパートやマンションでも可能なのでしょうか?
設置するのに床に穴をあける必要があること、それに置くスペースの確保という問題さえ乗り越えれば可能です。賃貸だと、過去にはホームセンターで売っている、コンクリートの土台を買ってきて問題を解決する方もいらっしゃいましたね。今は便利なものがあるんですね。
なるほど、アイデア次第なんですね。
宅配ボックス単体は、Amazonでも購入可能です(取り付けには工事が必要)。実は、戸建てよりもマンションの方が普及率自体は高いんですね。新築の際に宅配ボックスも設置するというケースが多いので、新築だけでいえば8割を超えています。
宅配ボックスは、「人を介さないで済む」というのが大きいところで、それこそ一人暮らしの女性や子どもに安心です。共働きですと子どもがお留守番をしている場合も多いですが、子どもだけで宅配便の対応をさせるのはいろいろと不安だというご両親もいますよね。宅配ボックスがあれば子どもに対応させる必要もなくなります。宅配ボックスは子どもに優しい設備だと認められ、今年キッズデザイン賞も受賞したんですよ。
お子さんにも、共働き世帯にも、女性一人暮らしにも、高齢者にも優しい……。正義のヒーローみたいなやつですね、宅配ボックス。
それだけではなく、宅配ボックスは宅配業者さんにとってもメリットがあります。実は現在、宅配便の再配達は1日に約200万件もあるんですよ。
そんなにですか!
再配達が多いと宅配業者さんの人件費もかさみます。さらに問題はそれだけじゃありません。配達には車を使うので二酸化炭素の排出量も増えるんです。これは国全体で考えなくてはいけない大きな社会問題なんですよ。
言われてみれば確かに……。
だけど、宅配ボックスを使う家庭が増えればその二つの問題を同時に解決することができます。つまり、宅配ボックスは労働力を節約し、二酸化炭素の削減にもつながり、地球環境にも優しい設備なんです。
なるほど……! 企業もみんなも幸せになれるって、宅配ボックスいいことしかなくないですか?
だからこそこうしたプロジェクトを行政と組んでやっているんです。宅配ボックスは、一度購入すればコストがかかるのは中のハンコぐらいです。ハンコもパチンと止めるだけ、なおかつ文房具屋さんで買うだけ、そして交換は4年に1回ぐらい。説明時には「オリンピックが来たら変えてください」と言っています。
ありがとうございます。ではそんな宅配ボックス、今後どうなっていくのでしょう。
まずは、機械仕掛けの工事も短くて、なるべく手軽に設置できる「宅配ボックス」の設置率を上げるというのが第一歩です。宅配ボックスの普及が社会のためになると信じていますので、これからも努力を続けていきますよ!
使おう! 宅配ボックス
そんなわけで福井県あわら市の宅配ボックス実証実験の様子を取材してきました。ネット通販が便利な時代、荷物を受け取れないとついゲンナリしがちでしたが、宅配業者や地球環境にとってはもっと深刻な問題だったことに気付かされました。「再配達めんどくさいな~」とか思っててごめん……。だけど宅配ボックスが広まれば世の中全体がよくなるんじゃないかとも思いましたよ!
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