ニュース
フィンランド、ベーシックインカムを試験導入 対象者に月額560ユーロを支給
失業者の就職推進と、福祉制度の簡略化によるコストの低減が期待される。
advertisement
フィンランドのKela(国民年金局)が、ベーシックインカム(BI)の試験導入開始を発表した。無作為抽出された2000人の対象者に、1月から2018年12月まで、月額560ユーロ(約6万8000円)が給付される。2年間の実験で、BIが雇用の促進に役立つか試す意向だ。
同局は12月、2016年11月に臨時解雇以外の理由で補助金や失業手当を支払った25~58歳から試験対象を抽出。給付金は月頭に支払われ、所得として課税されない。また、BIを受けていても、失業手当など他の社会保障の受給資格は失われない。
既存の制度下では、失業者が失業手当の失効を恐れて求職をはばかるケースがあるという。しかしBIの支給額は対象者の財務状況にかかわらず一律。一定額の給付を受けながら労働収入を得られるため、失業者の就職を促進する効果が期待される。
advertisement
高福祉国家として知られる同国だが、その仕組みは複雑かつ高コスト。BI導入による簡略化で、官僚制度の縮小およびコスト低減も見込まれる。Kelaの研究チームは2018年に規模を拡大することを推奨しているほか、25歳未満の若者を含めるべきとの提案も。今後全国民に適用される可能性もあり、実験結果が注目される。
(沓澤真二)
関連記事
“労働者が余暇に作った創作物展示会”の展示物ゼロ……「余暇なんてない」と話題に → ただの張替え時期でした
余暇なんてなかっ……あったわ!「結婚したくない」若者、全体の2割超す 主要因は「経済的困難」と「1人が楽」
小学生まで「人間的なふれあい」の経験が多い人ほど、既婚者が多いとのデータも。起業者に月額約14万円のベーシックインカム支給 岩手県遠野市でプロジェクト
遠野物語の地から生まれるイノベーションプロジェクトです。ゲーム開発者に大卒者増加、平均年収は前年比28.3万円減の524.6万円 CEDEC運営委がアンケートの速報を発表
開発に携わるプロデューサーやディレクター、プログラマーなどを対象に、1978件の有効回答を集めた。「もっと人間らしい仕事がしたい」「アニメ業界は一度滅びたほうが良い」――JAniCA、アニメ制作者の実態調査結果公表 厳しい労働環境浮き彫りに
賃金や労働時間についての訴えや、業界の構造的問題を指摘する声も。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.