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“私たちとAV業界は地続きだ” 「身体を売ったらサヨウナラ」鈴木涼美が女性限定トークイベントで映画化喜ぶ

「地雷を踏んだらサヨウナラ」のオマージュタイトルは、歌舞伎町は地雷だらけという思いから。

 新聞社に在職中、かつてAV女優だったことを週刊誌に暴露されるという実体験をつづった小説を映画化した「身体を売ったらサヨウナラ」が、7月1日から「新宿 K’s cinema」他で2週間限定公開されます。

 これに先立ち、女性限定の試写会&トークイベントが都内で開催。原作者の鈴木涼美さん、主演の柴田千紘さん、主題歌を歌ったPALUさんが登壇し、赤裸々トークで盛り上がりました。


映画「身体を売ったらサヨウナラ」原作者の鈴木涼美さん、主演の柴田千紘さん、主題歌を歌ったPALUさんがぶっちゃけトーク

 同作は、有名大学から東大大学院修士課程を経て、某新聞社で記者を務めたいわゆるエリートウーマンが、満たされない毎日の中で、心のよりどころを求めてAV出演やホスト通いに明け暮れる姿を描いたもの。小説がエッセー的なのに対し、映画は自伝的なストーリー性が打ち出されています。

 “想定よりたくさん”だという来場者に「とてもエキサイティングな体験」と自身の作品が初めて映画化された喜びを語った鈴木さん。インパクトある作品タイトルについて聞かれると、「日経新聞の記者時代にこっそり書いていたブログで使ったタイトルが気に入り、本のタイトルになった」と説明。「地雷だらけの歌舞伎町を歩いていた私にはぴったりだと思って」と、故・一ノ瀬泰造さんの『地雷を踏んだらサヨウナラ』のオマージュでパロディーだと話しました。

 作中に登場するパワーワード“私たちとAV業界は地続きだ”は、鈴木さんの修士論文で、後に書籍化され処女作となった『AV女優の社会学』の一文。「AV業界や夜の街というと、普通の日常と断絶していたり、特殊な事情のある人が“落ちる”イメージがあるが、自分にとってはすぐ隣にある身近な場所。何かを飛び越えて行くものではないという意味で“地続き”という言葉を使った」と修士論文を書いた当時を懐かしみながら赤裸々に語りました。


柴田千紘さんと鈴木涼美さん

 一方、際どい演技もあるリョウコ役のオファーをなぜ受けたのかと問われた柴田さん。「原作を読んでみて、私と鈴木さんは巨乳だったり、頭の良さだったりとスペックが違い過ぎるところはあったけど、すごく正直で、過度に演出してないところに共通点を感じて、演じたいと思った」と返答。

 「やってみたいという好奇心の方が強かったので、ヌードに対しての抵抗感や恐怖心はなかった」ものの、短期間での過酷な撮影のため新宿のスパに泊まり込んで臨んだ年、「所々疲れ顔になっている(笑)」と明かすなどして会場を沸かせました。


お風呂上がりのバスタオル (C)2017 東映ビデオ/エクセレントフィルムズ

 なお、柴田さんお気に入りのシーンは、お風呂上がりでバスタオル姿のシーン。鈴木さんも「ハンサム」とべた褒めのこのシーン、せりふはアドリブだったといいます。ちなみに、鈴木さんも本編にわずかに出演しており、AV女優時代のVシネを除けば映画初出演。「映画って本当に大変だなって。私は普段家で寝っ転がって原稿書いているだけなんですが、あらゆるスタッフさんが頑張って作り上げてくれたんだなと思いました」(鈴木)と映画製作の大変さを語っていました。


 その後、同作の主題歌「もしも恋人が」を歌ったPALUさんも登壇し、「純粋な思いを傷つけたり傷ついたりしながら、それでも全てを受け入れて立ち向かっていきたいという思いから曲を作った」とあいさつ。「主人公のリョウコが自らに責任を持ちながら、自らの満たされない思いを探し続ける姿は十分自分に立ち向かっていると思う」と、主人公と主題歌の共通点を語りました。


主題歌を歌ったPALUさん

 最後にコメントを求められると、柴田さんは「私よりも知名度も人気もある原作者や共演者の力を借りてできた作品です。皆さんの力もぜひお貸しください」と謙虚に呼び掛け。鈴木さんは「映画と原作は全然違う。映画で知った方も、ぜひ私の本の方も読んでいただきたいと思います」と結びました。

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