52回全滅バグ、10秒クリア―― 「FF6」超絶やり込みプレイヤーに話を聞いたらやっぱりすごかった(2/2 ページ)
「FF6はまだまだ未開拓」。うそーん……。
エディさんに話を聞いた
エディさんは何を思い、どのような生活のなかで「FF6」のやりこみを続けているのか。話を聞いてみました。
―― 「FF6」との出会いについて教えてください。
エディ:「FF13」をやった後なので2010年です。18歳でした。「FF13」をクリアした後にFFシリーズを一通りクリアしようと思いまして、PSアーカイブスで「FF1」から順番にやっていって、FF6に出会いました。
―― 初めてクリアしたときの感想はどうでしたか。
エディ:初回は散り散りになって敗北を喫した後、再び集まってリベンジする展開がとても好き。ケフカのような小物キャラが成り上がりでラスボスになるのも、意外性があって良かったです。
現在は、バグらせて遊ぶのが楽しいです。
―― やりこみを始めたきっかけは何かあったのでしょうか。
エディ:“飛空艇バグ”です。
それまでは既存の攻略をまねたりなぞったりするだけでしたが、“飛空艇バグ”の存在を知って未知の領域を自分で開拓していく楽しさを知りました。
―― 「FF6」はどのハードのものを、何本ずつ持っていますか。
エディ:SFC版2本(SFCとWiiUVC)、PS版2本(FFコレクションとPSアーカイブス)、GBA版1本(WiiUVC)、スマホ版1本(iOS)の計6本です。現在new3DSVC、ミニスーパーファミコンを購入予定です。
―― VCやアーカイブス版も持っているのは、VC版限定のバグなどもあるからでしょうか。
エディ:データを複数用意できるからですね。スケッチバグや52回全滅バグは調査用のデータを複数用意しておくと便利なのです。
―― どのバージョンのFF6がお気に入りですか。
エディ:やりこみじいさんのあるPS版も捨てがたいですが、52回全滅バグやタイマーでいろいろ遊べるSFC版が1番ですね。
―― 52回全滅など、バグの存在を知ったときの感想はどうでしたか。
エディ:こんなことよく思い付くなぁと感心します。取りあえず試してみたくなります。
―― 何回ぐらいエンディングを見ましたか(バグっているものも含めて)。
エディ: 多分60回は見てるのではないでしょうか。1年前のTASの最適化の際に、エンディングへの到達を確認するときに何度も見たので……。フルで見た回数なら20回強といったところだと思います。
―― “低歩数”や“低やりこみ度”で、再走が決まった瞬間、何を思いましたか。
エディ:さらに記録を更新できる! と喜びました。再走は大変ですが、それ以上に新バグへの興味関心や記録更新の事実の方が大きいので、意外とダメージはありません。
ただ、低やりこみ度は別です。あれは完全に自分のミスが招いた結果なので、再走はかなりショックでした。GWを丸ごとムダにした傷はいまだに癒えません……。
―― よく「またFF6壊した」とコメントが付きますが、実際にデータやソフト自体が大変なことになったりしたことはありましたか。
エディ:ないです。どんなにバグってもハードリセットすれば元通りになりました。
―― 週に何日ぐらいFF6を起動しますか。また、1回の平均プレイ時間はどのくらいですか。
エディ:週3日、平均2時間くらいでしょうか。実際にプレイするよりも頭でいろいろ考える時間の方が多いです。
―― やりこみ1回の完走にどれくらい掛かっていますか。
エディ:私の場合、やりこみは動画投稿と並行、しかも複数同時に行うので、完走には年単位でかかってしまいます。
―― 具体的にどのような流れで行われているのでしょうか。
エディ:頭でなんとなくのチャートを作ったら、そのまま本走です。試走はしません。本走は動画投稿と並行して気が向いたときに行っており時間がかかります。その間に気になったところを下調べして、作ったチャートを少しずつ練り直していきます。
段階を踏んでやっているわけではないので、それぞれにどれくらいかかっているのかは何ともいえません。
―― 「FF6」の何がエディさんをここまで駆り立てるのでしょうか。
エディ:「FF6」はまだまだ未開拓であり、いまだ新発見が絶えません。それを自分で開拓していくのが楽しいのです。
―― 「FF1」から順番にクリアしていったとのことでしたが、最終的に「FF6」のやりこみに行き着いたのはなぜでしょう。
エディ:FF6ばかりやりこむことになったのは「やりこみじいさん」のせいです。こういったやりこみ表などは可能な限り理論値を目指したくなる性分なのですが、やりこみじいさんは各項目の最低値まで記録するものだったので、最低レベルやら最少歩数まで目指す羽目になりました。
飛空艇バグの調査をする気になったのも「やりこみじいさんの最低記録を更新できるから」ですね。1~5にはやりこみじいさんのような要素がなかったのでクリアするだけで終わってしまいました。もしやりこみじいさんがなければ、FF6も一度クリアするだけで終わっていたと思います。
―― 他のシリーズ作品で挑戦しようと思ったことや、その予定などはありますか。
エディ:他のFFシリーズもなにかやってみたいとは思うのですが、なぜかすぐFF6の方に戻ってきてしまって……。
―― 今後最も開拓の余地がありそうだと感じているのはどのバグでしょうか。
エディ:データのぞき見によるタイマー再作動現象はまだまだ調査不足であり、52回全滅バグに頼らなくてもなにかできるのではないかと思っております。
※編集部注:「データのぞき見によるタイマー再作動現象」とは、世界崩壊後のツェンの崩れる家(マッシュを仲間にするところ)のタイマーをバグで外に持ち出すことでさまざまな怪現象を起こせるもの。タイマーを持ち出してセーブしたデータをロード画面で選択→キャンセルして別のデータを読み込んだり「ニューゲーム」を選択すると、イベントのタイマーが別のデータでそのまま発動し何の脈絡もなくマッシュが突然の死を迎える。
―― 作成した攻略チャートの画像などを見せていただけますか。
エディ:チャートは画像や文章という形では残していません。スマホ版低レベル&低歩数攻略用に作った幻獣防衛戦の経験値の振り分け表なら残っていました。
―― 現在やりこみシリーズを3つ同時に並走していますが、途中で混乱してくることはありませんか。また、どのタイミングでシリーズを進めるようにしているのか、方針のようなものはありますか。
エディ:なんだかんだやることはかなり異なっているからでしょうか、不思議と混乱はありません。動画の編集、投稿は気が向いたときにやっています。特に方針はありません。
―― 完走済みや現在進行中のものも含め、最も過酷なやりこみや挑戦はどのシリーズだと思いますか。
エディ:高ステ作成はかなり大変な方だと思います。崩壊前の低レベル飛空艇バグが難しいのはもちろん、崩壊後は育成、アイテム収集、あばれる習得にひたすら時間がかかりますから……。
―― このタイミングで初めてのTASに挑戦されたのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
エディ:TAS制作はずっと前から考えていたのですが、ROMデータの入手方法がどうにもよく分からず踏ん切りがつきませんでした。最近になって吸い出す方法を知って、これならできそうだと思い制作に踏み切ったというわけです。
―― RTAやTASについて、ゲーム本来の遊び方の延長なのか、それとも全然別の遊びなのか、どのように捉えていますか。
エディ:どちらもゲームの遊び方の一つと思っていますが、メモリ破壊とかやり出したらもうゲームで遊んでいるとはいえないかもしれません……。
―― RTAやTASについて、楽しさと苦痛、どちらが上でしょうか。
エディ:RTAは私にはかなりつらい競技です。ちょっとしたミスでもやる気を失ってしまうので、ミスがあって当たり前のRTAで自分が納得できるタイムを出すことはできないんじゃないかと思います。
TAS制作はとても楽しかったです。時間をかけて1f短縮し、着実にクリアタイムを早めていく作業は性に合っていました。
―― 「FF6」関係で、注目している走者や投稿者はいらっしゃいますか。
エディ:YouTubeに動画を投稿しているwantan03さん。この方は52回全滅バグを発見したり、長年原因不明だった狂信者の塔フリーズバグの再現方法を解明したりととにかくすごい人です。またなにかしでかすのではないかと監視しております。
今なおやりこみを続けるエディさんは、やはり「FF6」に対して並々ならぬ時間を掛け、思いを込めていました。「まだまだ未開拓」ということなので、今後の展開にも期待大です。
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少なくとも「17年越しのバグが発見され、対戦バランスが崩壊した」というのは誤解のようです。
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