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表現することが生きることそのもの――のんに聞く「この世界の片隅に」から2年後の自分

のんさんインタビュー!

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 3月からNetflixでのSVOD独占配信が始まった映画「この世界の片隅に」。こうの史代さんの同名漫画を片渕須直監督が映画化した同作は、太平洋戦争下の軍港の街・呉市を舞台に、周作の下へお嫁にやってきた“すずさん”こと北條すずの姿を丁寧に描いた作品。2016年11月に全国63館の小規模公開でスタートし、映画公開から500日以上が過ぎた現在でも各地でロングラン上映が続く中、世界に向けた広がりをみせています。

 3月下旬に東京ビッグサイトで開催された「AnimeJapan 2018」の「NETFLIXアニメ祭!スペシャルステージ」では、平田広明さんや梶裕貴さんなどの声優に交じって、すずさんを演じたのんさんの姿も。ステージ後、のんさんに話を聞いてみました。


のんさん。すずさんイメージのワンピースとすずらんのブローチがかわいい(写真撮影:こた)

―― AnimeJapan 2018のステージはいかがでした?

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のん すごく楽しかったです。アニメーションのお祭に参加させていただくのが初めてで、声優さんたちと並んでステージに立ててうれしかったです。これまでこういう場には片渕監督などとご一緒することが多かったので、一人で(ステージに)立つのは心細い部分もあって緊張したんですけど、「B: The Beginning」の平田(広明)さんが楽しくフォローしてくださって。

―― ステージ後では、梶さんが「この世界の片隅に」について、周作を演じた細谷(佳正)さんと広島に聖地巡礼したとSNSで明かしていましたね。

のん 梶さんのお話を聞いてうれしかったですし、細谷さんと行ったというのがうらやましかったです。「周作さんと行ったんだ……」って。周作さんと呉を巡るのは不思議な感覚で楽しそうですよね。ステキなお話を聞けました。


梶さんとの2ショット。細谷さんとの聖地巡礼には「いいなぁ」(画像はのんInstagramから)

―― Netflixでの配信開始もそうですが、2月から3月にかけて「この世界の片隅に」には大きな動きが幾つかありました。「第21回文化庁メディア芸術祭」のアニメーション部門で大賞を受賞したり、日本映画専門チャンネルで初テレビ放送されたり。

のん 本当にそうですね。国内の上映もまだ続いていて、2月からはイオンシネマさんでも上映されたりとびっくりすることがたくさん。この作品で描かれている、みんなでご飯を食べて「おいしい」とか「まずい」とか言うような生活の中での楽しさはどんな人にも、また年齢も関係なく感じられることじゃないかなって思うので、Netflixでも配信されていろいろな方に見てもらえる機会が増えるのがすごくうれしいです。

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(写真撮影:こた)

―― ところで、のんさんはNetflixを見ていたりするんですか?

のん はい。「グッド・プレイス」というドラマにハマっていました。

―― そうなんですね。普段アニメなどは見られるんですか?

のん 気になるものがあればですね。兵庫県にいた小学生のときは7時半に家を出て学校に行っていたんですけど、サンテレビで毎日7時から30分間アニメ枠があって、それを見終わってから学校に向かっていたのが記憶に残っています。

―― 地上波とは異なる配信という形態はどう思いますか?

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のん 気軽に「この世界の片隅に」を研究してもらえるんじゃないかと思います。止めて見たりとか、好きなシーンを繰り返し見られたりとかするので。

音楽活動は“積み上げでなく取っ払っていく感じ”


(写真撮影:こた)

―― それにしても「この世界の片隅に」は息の長い作品となりました。あらためて作品についてどんな思いがありますか?

のん こんなに長く愛される作品に出られて、役者冥利(みょうり)に尽きるというのはこのことだなと感じます。本当に自分の中で、これから先も、いくつになっても特別な作品だなって思います。

―― この作品に出会って一番変化したことを挙げるとすれば?

のん “ご飯”に気を遣うようになったことです。それまでは「仕事が楽しい」という感覚はあっても、家事を楽しいと思ったことがなくて。ご飯を食べて「おいしい」みたいな幸福感を覚えたことがなかったんですが、この作品に関わってすずさんと出会ってから、おうちで家事をするのが楽しくなってきて、それがすごく大きな変化だと思います。

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―― 作品を見返したりはしますか? 今作品を見ると印象は変わっていたりするのでしょうか。

のん 見返すことはありますけど、恥ずかしいなと思っちゃうんです。でも最近は恥ずかしくても見てみた方がいいかなと。印象が変わったということはないんですが、片渕監督が本当に丁寧に細部に至るまでこだわってらっしゃるので、見るたびに画面の端々にこだわりが発見できる気がしていますね。

―― のんさんにとってすずさんの存在とは?

のん すずさんは、すずさんという人が私ともう一人いる仲間みたいな感覚です。作品を見返すときも、役者としてはもう一度やり直してみたいなとどの作品でも毎回思うんですけど、この作品については、自分の演技がどうとかというよりも、すずさんとして見てる感覚の方が強いですね。

―― のんさんが「この世界の片隅に」でお気に入りのシーンは?

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のん 周作さんとけんかするシーンです。すごく気に入っています。


(写真撮影:こた)

―― 2016年公開の同作から2年ほどたちました。今のんさんが一番興味を持ってることって何ですか?

のん 「これが今一番やりたい」というのをあまり決めないんですが、今は創作アーチストとして4月に個展があったり、音楽の方では5月に1stアルバム「スーパーヒーロー」をリリースしたりするのでそれかなと思います。

―― いろいろな活動をされている中、のんさんにとって“表現”とは?

のん 難しい質問ですね(笑)。表現することとは、自分にとって本当に欠かせないことです。うすうす気づいてたんですけど、「私この仕事してなかったらどうしてたんだろう」と考えることがあって、妹にも聞いてみたら「その辺で野垂れ死んでそう」って言われたくらい(笑)。私にとって、表現することが生きることそのものかもしれないですね。

―― そんな中で音楽の魅力とは?

のん 音楽は自分の中にあるものを直接、真っすぐに伝えられるところがすごく強いなって思います。ライブでステージに立って演奏して歌っているときに、目の前にお客さんがいて、そこに向かって真っすぐな線でつながっている感じが私にとっては貴重でうれしいことなんです。

―― 映画のようにスクリーンを通してつながるのと表現の仕方に違いはありますか?

のん やっぱりやることが違うのでモードは変わりますね。役を演じるのは、そのキャラクターを解釈して、監督の演出などにも答えて“積み上げていく”感じなんですけど、ライブは「パンッ」っていく感じというか。積み上げというよりは取っ払っていく感じが強いかもしれないです。


のんさんありがとうございました! (写真撮影:こた)

(C) こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会/原作:こうの史代



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