あえてちぎれやすくなっている? レースを安全に行うための秘密が詰まったパイロン内部に潜入:レッドブル・エアレース千葉2018(1/2 ページ)
【動画あり】高さ25メートルのパイロンはレッドブル・エアレースのアイコン的存在。
レッドブル・エアレースのアイコンともいえる“パイロン”内部に潜入。なぜ飛行機がぶつかっても安全にレースを続けられるのか、どうやってちぎれたパイロンを復旧させているのか取材しました。
5月26日、27日に 千葉県・海浜幕張公園で「レッドブル・エアレース千葉2018」が行われました。「レッドブル・エアレース」は、世界最高の飛行技術を持つレースパイロットたちが、最高時速370キロメートル、最大重力加速度10Gの中、三次元でタイムを競う世界最速のモータースポーツ・シリーズ。全長4キロのコースに配置された高さ25メートルのエアゲート(パイロン)の間を飛行し、そのタイムを競います。
円すい型のパイロンを2本並べた「フライトウィンドウ」の間を規定の高度、角度で通過せなくてはいけないなど厳密なルールが課せられているエアレースですが、飛行機がパイロンにぶつかってしまう「パイロンヒット」はよく発生するペナルティのひとつ。飛行機の翼がパイロンにぶつかると、赤い先端がちぎれて飛んでいくため、遠目に見ても「ヒットしたな」と分かります。
2003年にごろまではパイロンがちぎれると、交換に20分近くかかっていましたが、その後パイロンの素材が改良されたことなどにより、現在では数分程度で交換できるようになったほか、2010年には90秒という最短記録も生まれています。
そんなパイロンの内部がマスコミ向けに限定公開されました。このパイロンツアーは例年非常に人気があり、今回も一瞬で定員になりました。安全に関する誓約書にサインしたら、メディアセンター横に設置された、試合に使われているのと全く同型のパイロンで説明を受けます。
ツアーガイドのマッセルさんによると、高さ25メートルのパイロンの直径は5メートルで先端は75センチ。全体は9つのパーツに分かれており、それぞれのパーツは洋服に使われるようなジッパーでつなげられています。
パイロンはプラスチックを元にした素材(屋外テントなどに使われるもの)がベースになっていますが、屋外テントは力が加わった際、耐えられるように設計されているのに対し、パイロンは内側と外側の空気圧を変えることにより、わずかな衝撃で破れるようになっているとのこと。破れるのは上部の赤いところが主で、この部分にはパラシュートに似た軽い素材が採用されており、縦方向に強く、横方向には弱い造りになっているため、ちょっとでも翼がパイロンに接触すればすぐに裂けます。
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