恋人にフラれ、自分探しでドイツに 即断即決で進むエッセイ漫画『ハナ、高飛び中です』(1/2 ページ)
人生の参考になる。
主人公ハナさんがフラれたのをきっかけにドイツに自分探しの旅に出る実録エッセイ漫画『ハナ、高飛び中です』が作者のPixivやnoteで連載中。思い切った行動の連続でぐいぐい読ませます。
かつてハナさんにはレストランを開くのが夢だという同性の彼女がいました。ところが22歳の春に破局。
それまでは元カノの夢に賛同し、自分も接客を磨くためにバーテンをしていたというハナさん。別れた後、夜空を見上げながらふと「自分がやりたいこと」=「自分」が無かったことに気付いたといいます。破局後、部屋には彼女の物が何もなく、ぼうぜんとしたハナさんが立っていました。
ハナさんに限らず、自分が本当にやりたいことがぼんやりしてしまう瞬間ってある気がします。絶対的孤独を感じたハナさんはお酒に頼ったり、男性と肌を合わせたりと荒れた生活に陥りますが、ここで自分が男性と付き合うことが根本的に無理だと分かり「そうか自分はハードレズだったのか」と気づいたりもしました。
そんな弱ったハナさんの状況を心配したバーの上司は、「ワーホリ(ワーキングホリデー)でどこでも行けるやん」「こんな所で働き詰めとらんで、少し外出て社会勉強してみい」ときれいな瞳で勧めてくれました。「じょ、上司......!!」と感動するハナさん。
「外国に行ったら(月の力か何かで)私は変われる!」と、勢いのままドイツ語学校に通うと決断したハナさんはポカンとする上司もどこ吹く風で、半年後には単身ドイツへと渡るのでした。
ハナさんが旅立った2013年ごろは、ドイツでは既にいろいろなパートナーの形が認められてきている社会背景がありました。かつてベルリン市長が「私はゲイだが、それもまた良いことだ」と発言して話題になったりしましたが、そういう意味でもドイツに飛んだのは納得。しかしそんな情勢とは関係なく、ハナさんは現地に着くなりいきなり海外生活の洗礼を味わうことになります。
なんとホームステイ場所には誰も住んでおらず、住民票も出せない事態が発生。こうしたトラブルはドイツに限らずありがちで、ホームステイを受け入れるともらえる金品目当てでゲストを招待し、そのまま放置する悪質なホストがいたりするのです。
その上ハナさんのビザの取得忘れも発覚。日本のパスポートがあれば数カ月は滞在できますが、住むとなるともちろんビザが必要です。そしてビザの取得には住民票が不可欠なのですが、先述の通り、ホームステイ先の住所では住民票が取得できないので、いきなりビザ取得のハードルが高まってしまいます。
そこで助けてくれたのが、ドイツ語学校で一緒だったことがきっかけで仲良くなった椿さん。泊まる場所に困り果てていたところ、ちょうど椿さんが引っ越すところだったため、部屋の後釜を譲ってくれたのでした。異国の地ではこうした優しさが身にしみます。
困った時に手を差し伸べてくれる人たちに感謝するとともに、自分のやりたいことをしっかり持っている周囲のひとたちがうらやましいハナさん。
弱気になったりしつつも、徐々に自分を変えたいという気持ちは膨らんでいきます。ハナさんは現地で働きながら、在独日本人の芸術家と出会ったり、昔の自分を思い出したりする中で、自分にも何か創造的な「やりたいこと」があったのではないかと気づいていきます。
同作を手掛けているのはドイツ在住のKedamaMiさん。実体験に基づいて描かれる物語は、「えっ、人生ってこんなことある?」と思ってしまうくらい予想外な出来事の連続。
自分と向き合うのは難しく、苦しいことだったりもしますが、それでも自分の答えを見つけるため「高跳び」を続けるハナさんはすごいです。彼女が自身を見つめ直す過程を追うことができる同作。連載は現在も続いており、今後の展開が楽しみです。
画像提供:KedamaMi(@KedamaMi)さん
『ハナ、高飛び中です』第1話
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