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回転寿司の弱点はまさかの「回ること」だった! 「回転しない寿司」を始めた5大回転寿司チェーンの元気寿司を君は知っているか

「回転しないけど回転寿司より便利」という未来。

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 回転寿司を愛する全日本国民の皆さん、こんにちは。皆さんは5大回転寿司チェーンの「元気寿司」グループをご存じでしょうか。僕はぶっちゃけ知りませんでした。

創業50周年の「元気寿司」グループ

 知名度的には「5大……?」という感じもする元気寿司ですが、実は2018年で創業50周年という超老舗。「元気寿司」「魚べい」「千両」といったブランドを展開しているのですが、実はここ数年「回転しない寿司」という新たなスタイルを採用して近未来の回転寿司として話題になっているようなのです(関連記事)。

高速レーンで運ばれてくる寿司

 「回転しない寿司」とはタッチパネルによる完全注文制で、高速レーンによって注文した寿司を席まで届けるというもの。今回はそんな元気寿司の取り組みを紹介してほしい、ということで「お寿司食べられるなら行きます」と気軽に引き受けたところ、まさかの社長本人が登場してきてすげえビビった、という記事になります。

 いろいろ試行錯誤した結果「寿司、回さなきゃいいじゃん」となった経緯や、「これが売れるとあんまり儲からない」という社長おすすめのこだわりネタまでかなりのぶっちゃけトークに発展しました。記事の最後にはお得なキャンペーン情報もありますよ!

流れている寿司を食べている人はわずか「15%」

法師人尚史社長

―― 今日はよろしくお願いします。ふらっとインタビューに来たら突然社長が出てきたので完全に動揺してます……。

法師人さん:いえいえ(笑)。

―― 元気寿司グループは創業50周年と回転寿司の歴史の中でもかなりの老舗ですよね。そんな元気寿司がなぜ今「回転しない寿司」という方向にシフトしていってるんですか?

法師人さん:変わったことをしていると思われるかもしれませんが、我々にとっては自然な流れなんですね。僕が30年以上前にこの業界に入ったとき、最初は普通に店舗で働いていたんですが、そのときから「どんどん注文してください」って接客用語が用意されてるわけですよ。

 でも回転寿司ってわざわざ注文しないでいいようにお寿司が回っているわけじゃないですか。それに非常に違和感を覚えたんです。「もうあるのになんで注文させるのよ」と(笑)。

―― 言われてみるとそうですね。

法師人さん:もちろん理由はいろいろあります。全てのお寿司が常にレーンに流れているわけじゃないし、わさび抜きのお寿司がいいというお客さんもいます。そういうところから始まった「注文してください」のサービスなんですが、どんどんエスカレートしていったという流れがあって。

 あるときうちのお客さんの注文比率を調べたら、実に85%が注文品だったんですよ。

宇都宮の元気寿司本社近くにある「元気寿司 東武店」

―― え! じゃあ流れているお寿司を食べてる人はたった15%だったんですか?

法師人さん:そうなんです。単純に言うと注文に対応するAさんとレーンに寿司を流すBさんがいますよね。だけど売り上げのうちAさんが85%稼働しているのにBさんは15%しか稼働していない。

 これをAさんもBさんも注文だけに対応します、って形にすれば作業効率は2倍になりますよね。そしたらこれもうレーンに流さなくてもいいんじゃないか、と。

―― 確かに……!

法師人さん:それを試験的にやってみたら我々が思う以上にお客さんからの評判がよかったんです。それでこれはいけるんじゃないかと。

競争を経て独自路線の「回転しない寿司」へ

―― でも回転寿司の魅力ってやっぱり「お寿司が回ってるのが楽しい」っていう目で楽しむ要素もあるのかと思うんですが。

法師人さん:もちろんそれはあります。「回ってないならやめよう」と言って帰ってしまうお客さんもいましたよ。だから「回さない」というのは勇気のいる決断でした。

高速レーンを走る寿司。スポーツカーや新幹線など乗り物の形で見た目の楽しさを演出している

―― ですよね。どうしてその決断ができたんですか?

法師人さん:背景として、90年代後半くらいから「100円均一」というスタイルの回転寿司が広まって、100円回転寿司のブームが始まったんです。

―― 回転寿司というと今ではそのイメージが強いですよね。

法師人さん:元気寿司グループでもそれに対抗するため「すしおんど」という100円均一のブランドを立ち上げたんですが、付け焼刃な部分があってなかなかうまくいかなかったんです。結局今はもうなくなってしまいました。

 100円均一の業態だと効率よくお寿司を作ってお客さんに提供することが大事です。でも、すしおんどのレイアウトはあまりそれに適していなかったしオペレーションにも不備があったんですね。結果としてレーンにあまりお寿司が流れていないし注文してもなかなか届かない、そういうことが起こってしまった。そしたら「次はもう行かない」となってしまいますよね。

―― なるほど、競争にちょっと乗り遅れたところがあったと。

法師人さん:そのころに僕がすしおんどの営業部長になるんですが、これはもう新しいブランドをゼロから作り直したほうがいいんじゃないかと思ったんです。個人的に名前も好きじゃなかったし、外装もなんか黄色くて「中古車買取センターみたいだな」と前々から思ってて(笑)。

―― もともと不満があったんですね(笑)。

法師人さん:そこで「お客さんからの注文をスムーズに受けてスムーズに提供しよう」ということを考えて、メニューもイチから見直して立ち上げたのが今の「魚べい」というブランドです。

低価格帯チェーンの新ブランドとして登場した「魚べい」

―― 根本的に作り変えようと。具体的にはどんなことをしたんですか?

法師人さん:システム面を大きく変えました。「オーダーを全てタッチパネルにする」「注文品を高速レーンで届ける」というのが大きな変更点です。

―― そこで独自路線として「回転しない寿司」になっていくわけですね。

法師人さん:お寿司が回ってるのが回転寿司の楽しさだ、というのはやっぱりあると思いますよ。でも注文がスムーズに届けばレーンにお寿司が流れていなくても、お客さんはニコニコして食事を楽しんでくれたんです。味にはもともと自信があったので「魚べい、おいしいじゃん」と喜んでもらえて、よし、このお店を増やしていこうとなっていきました。

おすすめは“儲からない”「マグロ」「サーモン」「アジ」

―― 魚べいで社長のおすすめのお寿司ってありますか?

法師人さん:これあんまり言いたくないんですけど……「マグロ」「サーモン」「アジ」です。

魚べいのイチオシ3ネタ

―― 言いたくないというのは……?

法師人さん:ぶっちゃけすごい原価かかってるんですよ(笑)。あんまり儲からないんです!

―― いいことを聞きました(笑)。

法師人さん:マグロは今も昔もナンバーワンの人気商品。サーモンも非常に人気です。これがおいしくないとやっぱりダメですよね。

 今は昔と違って各水産系の会社が回転寿司向けに加工した商材ってすごくたくさんあって、あらかじめスライスしたマグロやサーモンをお店で解凍するだけで寿司ネタになります、っていうのが当たり前にあるんですね。でもそれをやめようと。店でしっかり切ろうと。

―― そのひと手間で味に違いが出るわけですか。

法師人さん:地味に見えるかもしれませんがこれはすごく大変な作業で、鮮度などがやはり違ってきます。それから、うちのマグロは他のネタに比べても一回り大きく切ってます。

魚べいのマグロ。実際食べてみるとネタがシャリをしっかり覆っていて食べ応えがありました

 それから光り物の代表格であるアジもファンが多いです。生のアジに生姜とネギって非常に寿司屋らしい香りなんですね。アジは1皿に1匹分使うことにしています。もちろん1匹といってもいろんなサイズがありますけど、つまり上身と下身を1貫ずつ食べられるようにしているんですよ。

サーモンとアジも完全においしかったです

―― そんなこだわりがあったとは……!

法師人さん:この3つは定番中の定番ネタだからこそ、味の違いもお客さんがよくわかるんじゃないかと思ったんですね。これは魚べいのスタートからずっと続けている部分です。当時よりマグロの値段が上がっていたりして「社長、そろそろこの大きさのマグロを出すのは厳しいです」とか言われるんですけど、「1号店からやってるのに今さらやめられるか!」と(笑)。

―― ぜひ続けてください! あと元気寿司さんでもやってますけど、最近ラーメンなどお寿司ではないサイドメニューに力を入れるような傾向についてはどう思いますか?

法師人さん:ああ、最初は僕は理解できなくて反対してました。だってラーメン食べたかったらラーメン屋さん行くでしょうと。だけど全然そんなことなくてラーメンと寿司って合うんですよ。

―― わかります……!

法師人さん:でもラーメン屋さんで「お寿司はじめました」って普通聞かないですよね(笑)。当たり前ですけど、シャリや魚の鮮度管理って寿司専門店以外だとすごく難しいんです。

魚べいの店内

 逆に寿司屋は「熱々のラーメン」を出す技術がなかったので非常に難しくて。僕は「レードルの文化」と呼んでますけどラーメン屋さんが当たり前にやってることが寿司屋だとなかなかできないんです。僕は試験店舗ができたときに毎日魚べいのラーメンを食べに行って「ぬるい、まずい」って文句言ってようやく納得いくものができました。

―― 何か特別なこだわりがあったりするんですか?

法師人さん:醤油ラーメン、味噌ラーメン、うどんなどそれぞれにあるんですが、例えばラーメンは醤油メーカーさんと相当話し合ってうち専用のタレを作ってもらいました。喜多方ラーメンと佐野ラーメンを上手にミックスした感じでおすすめですよ。で、そうやってやりすぎちゃうから全然儲からないんです(笑)。

―― お客さんとしてはやりすぎてくれるほうがうれしいですけどね。

「こだわり醤油ラーメン(あっさり)」。汁物がわりにもなる優しい味わいで同行したカメラマンは2杯も食べてました。税別320円という価格も社長の「専門店より高い価格にはできない」というこだわりによるもの

「回転しない」ことで減らせる廃棄は「1億円」

―― そうした食材へのこだわりに投資できるのは「回転しない寿司」にしたこととも関係があるんですか?

法師人さん:レーンに流して廃棄になってしまう分を削減できたというのはありますね。うちが回転寿司をメイン業態にしているときに調べたんですが、1店舗で1カ月に4000皿、年間で3トンくらいのお寿司が廃棄になるんですよ。

―― そんなに……!

魚べいの店内には持ち帰り用の容器も置かれている

法師人さん:でも以前は「これだけ捨ててます」っていうのをアピールしていた時代もあるんですよ。

―― え、どういうことですか。

法師人さん:つまり「うちで流れてる寿司はそれだけ新鮮だ」っていうことです。お皿にチップが埋められていて何分で自動的に廃棄しています、みたいな話を聞いたことないですか?

―― ああ、覚えてます! 単純に廃棄と聞くともったいないと思いますけど、お客さん的にはカピカピの寿司より出来立てを食べたいですもんね……。そういう意味でも完全注文制はメリットがあるなと思います。

法師人さん:そうですね。オールオーダー制になったことで廃棄による損失は約1億円分削減できました。

完全注文制で廃棄を大幅に削減

―― ロスが減ってその分いいネタが使えるようになるっていいことしかないように思うんですが、もっと早く「回転しない寿司」にしようとはならなかったんですか?

法師人さん:というか普通はできないんです。回転寿司って「目で見て楽しい」「お客さんに選んでもらうことで人件費を下げる」といったことで成り立ってきたものですから、そもそも廃棄が出ることはある程度しかたないという営業形態なんです。

 あと、例えばマグロばかり売れると儲からないけど納豆巻きやおいなりさんが売れると儲かる、みたいな事情はやっぱりあります。だからお店によってはそういう低コストなネタを多めに流して売り上げを調整するっていうやり方も正直あるんですね。長年そうやって経営を成り立たせてきたやり方を根本から変えてしまうってやはり難しいことなんです。

 だけどそれはお店側の都合で、お客さんはやっぱり好きなものを食べるのが一番じゃないですか。だから魚べいなどの回転しない店舗については、お客さんが本当に食べたいものを選んで食べてもらおうという形になっていると思います。

注文はタッチパネル制。操作が不慣れなご年配などにはスタッフが積極的にサポートする

―― 確かに自分も友だちとかと回転寿司に行ってもほとんど注文したものばっかり食べてます。

法師人さん:そうだと思います。だっていろんなレストランがありますけど、ラーメン屋さんでも洋食屋さんでもほとんどのレストランで出てくる料理って出来立てじゃないですか? 回転寿司だって出来立てのほうがおいしいってお客さんはみんな知っているはずなんです。

世界の最先端が「回転しない寿司」になる時代

―― 元気寿司グループは海外にも店舗が多いんですよね。

法師人さん:そうですね。先代のオーナーの時代なのでもう25年くらい前ですが、当時は元気寿司が日本で一番の回転寿司チェーンで。日本の回転寿司に興味を持った海外からフランチャイズ事業をやりたいという声がかかって、ハワイ、シンガポール、香港などと広がっていきました。

―― 海外ならではの人気のメニューとかもあるんですか?

法師人さん:揚げ物は全般的に人気ですね。東南アジアだとテリヤキチキンが人気で「テリヤキチキン丼」みたいなメニューも人気です。基本的に濃い味が好きなのでてんぷらにソースをかけたお寿司が売れていたり。

元気寿司ハワイ店のメニュー
日本でおなじみのものから見慣れないものまで

―― 醤油じゃなくてソースが……! 日本的な生魚の寿司は食べるんですか?

法師人さん:食べますよ。ただ、海外の元気寿司って観光地じゃなく現地の人がよく来るローカル店のような場所にあるんです。そうすると寿司は知ってるけど食べたことないっていう人も多くてやっぱり「これ生だけど食べられるの?」って聞いてきたりするんですよ(笑)。

 そういう人が最初は揚げ物とか現地の米食とかに近いものから入ってちょっとずつお寿司もつまんでいく。そのうちだんだん慣れてきてお寿司を食べる割合が増えていくって感じです。香港は今だと日本のお寿司とほぼ同じメニューになってますね。

―― だんだん浸透していってると。海外でも回転しない店舗になってきてるんですか?

法師人さん:増えてきてます。というか海外でも回転しない店舗のほうがウケがいいんですよ。

―― 意外ですね! 海外だからこそ回るのが面白いってなるのかと思ってました。

法師人さん:海外にも既に回転寿司っていっぱいあるので、日本と同じで珍しくなくなってきてるんですよ。日本から新しいものをいち早く取り入れたいという発想があって、そうなると「回る寿司はもういいけど回らない寿司だったら興味がある」となってきてるんです。

―― 世界的に回転してることに飽きてきてるとは……。

法師人さん:回転寿司以上のものが何かって考えたとき、まあ「飛ぶ寿司」「浮く寿司」とかにはなってないわけですよね(笑)。あと50年くらいしたらわかりませんが、現状としては「回転しないけど回転寿司より便利」っていうものが作れればいいなと。

回らないけど回転寿司感覚で使える「回転しない寿司」という最新型

―― 確かに魚べい1号店が「回転しない寿司」として渋谷にできたとき、ネットだと「回転寿司の未来」って話題になったんですよね。

法師人さん:うちも回転寿司を50年やってきてたくさん失敗もして、回転寿司の弱点をいっぱい知ってるわけです。流す量の悩み、人をどれだけ使うかの悩み、これまで話したような営業していく上での裏事情などたくさんあって。でも「回転させない」ってことにするとその悪いところが全部消えることに気付いたんです。

―― 回転寿司の弱点は寿司を回転させてることだった……!

法師人さん:「寿司回すからそんなことになるんだろ」って(笑)。

 お客さんは出来立てのおいしいお寿司を食べたいし注文したらはやく届いてほしい。それに応えるために回転やめたら、売れるかどうかわからない寿司を作って廃棄や人件費を無駄にすることもなくなって、悪いこと何にもないじゃないかと。

 回転寿司が生まれたのが60年前。うちも50年やってきてお客さんもいろんな回転寿司を食べて「もう回転寿司のことは全部わかったよ」ってなってきてると思うんです。そういう人たちに「うちは回転寿司と同じように使えるけど回転寿司以上の味とサービスがありますよ」「なぜならうちは“回転しない寿司”ですから」っていうのを伝えていきたいと思ってます。

50周年感謝祭! 40回使える“SUSHI-PASSPORT”プレゼントキャンペーン

 50周年を迎える元気寿司グループ(元気寿司、魚べい、千両全店152店舗)では11月13~16日まで「40回使えるSUSHI-PASSPORT」プレゼントキャンペーンを実施します。期間中は1000円(税込)以上の食事か持ち帰り1会計につき1回インスタントくじを引くことができ、1等として総額2万円分(500円クーポン×40回)の「SUSHI-PASSPORT」、2等以下にも次回以降使える50%割引券などがハズレなしで当たるキャンペーンとなっています。

 回転寿司を追求した結果生まれた「回転しない寿司」。この機会にぜひ味わってみてください。

提供:元気寿司株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2018年11月15日

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