フィギュア写真をバズらせるポイントは? ワイドナショーでも取り上げられたフィギュア職人・すえきちさんに話を聞く(1/2 ページ)
ダウンタウンとかフレディの人。
ダウンタウンやフレディ・マーキュリー、ブルース・リーなどのフィギュアを使ったコントのような写真がTwitterのタイムラインに現れたら、その投稿者は高確率で「すえきち」(@suekichiii)さんでしょう。フォロワーの数は約11万人。Twitter上でほぼ毎日フィギュアの写真を投稿し続け、ときには1ツイートで数万のいいねを集めるなど、人気アカウントとして活躍しています。9月にはワイドナショーにも取り上げられ、あの松本人志さんから「センス感じます」とたたえられたことも。
フィギュア写真は多くのアカウントから投稿されていることもあり、競争率も高くバズらせるのは容易ではないはず。すえきちさんはどうやってネタを考え、毎回のようにバズらせ続けているのでしょうか。Twitterフィギュア職人の第一人者・すえきちさんにバズらせるポイントや、影響を受けたコンテンツ、ネタの発想はどこから得ているのかなどについて聞いてみました。
「志村さんのコントの影響をうけている」
―― すえきちさんがフィギュアを初めて買ったのはいつごろですか?
すえきち: 何を買ったかまではおぼえていないのですが、約21年前に大学へ入ってすぐのころだったと思います。通学で秋葉原駅を使っていたので、学校帰りに秋葉原に寄ってはフィギュアを買っていました。
―― フィギュアにハマったきっかけはなんでしたか?
すえきち: 物心が付いたときにはキンケシ(キン肉マン消しゴム)を集めていたので小さいころから収集癖がありましたが、高いおもちゃはあまり買ってもらえませんでした。大学に入ってバイトを始めて自由に使えるお金が増えてからフィギュアの収集癖が爆発してしまいました。
―― いろいろなフィギュアを使ってらっしゃいますが、すえきちさんといえばダウンタウンのイメージが強いです。
すえきち: もともとダウンタウンさんのファンで「ごっつええ感じ」のコントが大好きだったので、フィギュアでお二人のコントを作ってみたくなったからです。また、お二人のフィギュアが発売されるまではフレディ・マーキュリーとブルース・リーという架空のコンビでネタを撮っていたのですが、本物のコンビで撮ったほうが「実際にありそう」な感じが出せると思ったので。
―― やはりダウンタウンのファンだったと。では「ごっつええ感じ」で印象に残っているコントはありますか。
すえきち: どのコントも好きだったんですが、「ミラクルエース」が特に印象に残っています。ひょうひょうとした松本さんと素直な浜田さんのかけあいが好きでした。
―― もしかしてお笑い好きですか……?
すえきち: お笑いは全般的に好きですが、特にコントが好きです。小さいころから「ドリフ大爆笑」「加トちゃんケンちゃん」「だいじょうぶだぁ」を見て育ったので、私が撮るネタは志村さんのコントに強く影響を受けていると思います。
―― 他に影響を受けたコンテンツはありますか?
すえきち: 私のネタは割とベタなものが多いのですが、やはり子どものころに見たテレビ番組や漫画の影響が大きいと思います。テレビ番組だと先述の通りですが、漫画だと『サザエさん』(原作)ですね。コントや4コマ漫画でよくあるシチュエーションをフィギュアで再現することがよくあります。
―― Twitter上で注目してるアカウントはありますか?
すえきち: フィギュアを撮る方のアカウントはどれも興味深く拝見しているのですが、特にミニチュア写真家の田中達也さんのアカウントは注目しています。先日、田中さんの展覧会を拝見したのですが、あの高いクオリティーの写真を毎日投稿していらっしゃることにあらためて驚きました。自分も毎日投稿してはいるのですが、とてもマネはできないです。
お気に入りのフィギュアはフレディ・マーキュリー
―― 一番お気に入りのフィギュアはなんですか?
すえきち: S.H.Figuartsのフレディ・マーキュリーです。このフィギュアを買ったときはQueenのファンではなかったのですが、写真を撮るうちにどんどん愛着が湧いてきて、今では一番のお気に入りです。表情パーツは「ノーマル」「叫び顔」「歌い顔」の3種類あるのですが、「叫び顔」はシチュエーションによって「驚いた顔」「ぼうぜんとした顔」「寝ている顔」としても使えるので、ネタのオチとしてよく使っています。
―― Twitterのフィギュア写真ネタはいろんな方が投稿されていますが、特にすえきちさんとねぎかつセブンさんの2人が頻繁に拡散されているイメージです。ねぎかつセブンさんのことはどう思いますか?
すえきち: 私が言うのもおこがましいのですが、画力(えぢから)がすごいです。4コマのネタはそれほど画力は必要ないのですが、あの圧倒的な画力で表現するところが人をひきつける魅力だと思います。
ただ、今のような作風になる前の素朴な写真も好きでしたよ。ねぎかつセブンさんと直接の交流はありませんが、機会があれば一緒に写真を撮ってみたいですね。
―― 20年以上のフィギュア歴とのことですが、フィギュアの趣味をやめようと思ったことはありますか?
すえきち: フィギュアを買うのを止めようと思ったことは一度もありませんが、最近は保管する場所がなくなりつつあるので買うシリーズを絞るようにしています。私にとってフィギュアは日用品のようなものなので、この先も止めることはないと思います。
―― フィギュアは何体くらい持っているんですか。
すえきち: 数えたことはない(数えたくない)のですが、アクションフィギュアだけでも数百体はあります。主な内訳としては「仮面ライダー、ウルトラマン、ゴジラなどの特撮系」「マーベル、スター・ウォーズなどの海外系」「ガンダム、エヴァなどのロボット系」「ドラゴンボールなどのアニメ系」などです。
バズらせるコツは
―― フィギュアネタをほぼ毎日投稿されていますよね。ネタはどうやって思い付くのでしょうか。
すえきち: ボーっとしているときに突然ネタが降りてくるパターンが多いですが、ネタが降りてこないときはガチャガチャやリーメントなどの小物フィギュアでモノボケを考えたり、アクションフィギュアをいじりながら「このキャラクターならどう動くか」を考えたり、テレビやインターネットの内容からネタにできないか考えたりします。
―― ちなみに今まででボツになったネタはありますか?
すえきち: 数えきれないぐらいあります……。ボツになる理由としては、
- 撮る前に面白くないと気付いた
- 撮ってみたけど面白くならなかった
- 他の方が同じネタを先に投稿していた
- ネタに使うフィギュアを部屋から探し出せない
- 時事ネタの旬が過ぎてしまった
……などです。思い付いたネタはスマホのメモに残しておくのですが、実際に撮影するのは大体半分くらいですね。
―― フィギュア写真を投稿していて、バズりやすいネタや難しいネタなどはありますか?
すえきち: バズりやすいフィギュアネタの傾向としては……
- 誰にでも分かりやすい
- 共感できる
- ツッコミどころがある
- タイムリーである
- 現実にありそう
- 単純に絵面が面白い
- かわいい、見ていてほんわかする
こんなところでしょうか。バズるのが難しいネタはその逆ですね。あまりにもマニアックなネタだったり、見ている人を不快にさせるような下ネタは反応が悪いです。
でも、「これはいける!」と思った写真でもあまり反応がよくなかったり、逆に適当に撮った写真がバズることがあるので、自分でもコツは分からないんです。あまりバズらせることばかり考えると写真を撮るのがつまらなくなってしまうので、自分が撮りたい写真を撮って、たくさんの反応をいただけたらラッキーぐらいの気持ちでいるようにしています。
―― 投稿されている写真を見ると、小道具や背景も雰囲気にあったものが選ばれていると感じます。どうやって用意しているのでしょうか。
すえきち: 小道具も背景もほぼ既製品です。背景は100円ショップで売っている背景シートを使うことが多いですが、たまにハレパネで自作します。無地の背景はPPクラフトシートや布(ハイミロン)を使っています。小道具はほぼガチャガチャやリーメントですね。
―― 自分が投稿した写真でお気に入りのネタはありますか?
すえきち: フレディ・マーキュリーとブルース・リーで撮った「硬いカボチャ」というネタが一番のお気に入りです。本格的に4コマをやるようになったきっかけとなったネタであり、このネタをきっかけに海外のアカウントからもフォローしていただけるようになりました。このネタがなかったら今の僕はないと思います。
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