「俺たちに肉をくれてありがとうよ」 この世で生きる猫たちの生活を見守る漫画『俺、つしま』が切なくも温かい
主人公猫・つーさんとの放浪時代のエピソードが心に響きます。
キジトラ猫「つしま(つーさん)」が主人公・語り手となって描かれる、Twitter発の猫漫画『俺、つしま』。猫がこの世で生きていくということを、ユニークかつリアルな深みのある世界観で表現して人気を集めています(関連記事)。
外でゴミあさりしていたところを「おじいちゃん」に保護され、今は家で一緒に癒やしの日常を送っているつーさん。そんなつーさんが放浪猫だった頃の過去話では、ワイルドな目つきの野良猫「テルオ」との出会いがありました。
2匹は最初こそテルオの威嚇&逃走で終わりますが、もう1匹の野良猫「しず子」を含めた3匹は、その日捕まえた1匹のネズミを「さんぶんこ(3匹でわけっこ)」するなど、一緒に行動するように。
そしてつーさん、テルオ、しず子は、生き残るために一緒になって魚屋のサカナを“ドロボー”するようになり、魚屋のおっちゃんとの攻防の日々が始まります。来る日も来る日もそんな戦いを繰り広げていた彼らですが、ある日から魚屋のおっちゃんは“3匹のドロボー猫”用に刺身を置いてくれるようになります。
それからは静かにただ彼らを見守り「食ったらすぐ帰れよ」とだけ声をかけるおっちゃん。そんな毎日がどれくらい続いたのか――とおい日のおもいでさ――と語るつーさんにしかそれはわかりませんが、魚屋があった場所は今コンビニになっているのでした。
それからも3匹は一緒に旅を続けますが、途中でしず子が安全な場所で子どもを産むために別れたり、その後のふたり旅ではテルオの背景や思いがわかる場面も。
テルオがある日再会したのは、テルオが「ババア」と呼ぶ、エサをくれていた元肉屋のオバさん。以前、痩せ細ったテルオがお腹が空くと通っていた場所でしたが、ある日突然お店が閉店してオバさんもいなくなってしまったのでした。
再会するとオバさんはその頃呼んでいたテルオの名を呼んで喜びますが、同時に「そうだよね怒ってるよね……許してね…ほんとうにごめんね」と言って泣きながらその場を離れます。しかしテルオは目つきが悪いだけで全く怒っておらず、本当は“ババア”との再会を喜び、「あのときは俺たちに肉をくれてありがとうよ」と伝えたかったと、隣で一緒にお腹を空かせたつーさんに話すのでした。切なさと同時に温かい感情がじんわりと心にくる……。
人間と同じでそれぞれの猫にさまざまな過去、そして生活があることを改めて教えてくれるこのテルオ編。漫画を公開しているTwitter(@tsushimacat)では、つーさんとテルオとの別れまでが描かれ同エピソードは終わりとなりましたが、5月27日に発売されることが決定した単行本第2巻では、その後のテルオが描かれる続編的な内容が描き下ろしで収録されるとのことです。コメントでも要望が多かったテルオにまた会える……!
ちなみに今回は紹介できませんでしたが、つーさんとおじいちゃん(実は女性)、他にも個性的でかわいい猫たちが登場する日常のエピソードは第1巻『俺、つしま』にたっぷり収録されています(関連記事)。こちらでは、なぜつーさんが「つしま」という名前なのかわかる描き下ろしもあるので、Twitterで読んで気になった方にもオススメの1冊となっています。
画像提供:@tsushimacatさん
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