レビュー

瀬戸康史「デジタル・タトゥー」は匿名の悪をどう描く? ユーチューバー、Vチューバー、匿名ブロガー……NHKが迫る“ネット世界の現在”(1/2 ページ)

高橋克実&八嶋智人懐かしのトリビアコンビも登場、8へぇ。

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 5月18日(土)夜9時から、土曜ドラマ「デジタル・タトゥー」(NHK総合)がスタートした。作中では、拙いダンスと喋り方がかわいい女の子のVチューバー・ともちんを、赤いジャージ姿のおじさん(近藤公園)が演じた。男性が美少女の声とアバターまとい、バーチャルな美少女として活動することを「バ美肉」というが、その裏側をドラマが大公開した。Vチューバーのバ美肉おじさんって、配信中あんな感じなんだ……。

SNSやネット文化に慣れている人はタイガ(瀬戸康史)を、よくわからない人は岩井(高橋克実)の言動をガイドにすると観やすい イラスト/まつもとりえこ

「デジタル・タトゥー」第1話あらすじ「炎上ユーチューバー誕生」

 「デジタル・タトゥー」は、ユーチューバー・タイガ(瀬戸康史)が射的をする姿と、タイガの父親で政治家の伊藤秀光(伊武雅刀)の顔が、何度も交互に映されるシーンから始まる。セリフはないが、タイガと秀光の間には確執があり、タイガのほうが父親を恨んでいるということがよくわかった。

 世間に対する歯に衣着せぬ物言いで人気となったタイガだったが、その「世直し」志向がいきすぎてしまう。祭りの縁日で、射的の景品が落ちにくいようストッパーがついていることをむりやり暴くと、ネットユーザーは「こどもの夢を壊すな」「やりすぎ」と、タイガを叩き始めて炎上してしまう。

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 炎上ユーチューバーになってしまったタイガの個人情報はどんどん流出し、本名、住所、卒業アルバムの写真、親の名前までがインターネットの掲示板に晒される。書き込みの中には「10月31日ハロウィン 私が天誅を下す」という殺害予告ともとれるものもあった。そして、実際にタイガは地下鉄のホームで背中を押され、線路に突き落とされそうになってしまう。

 タイガが自分を守ってほしいと相談した相手は、行きつけのカレー屋の上に住む元特捜検事、現在は弁護士をしている岩井堅太郎(高橋克実)だった。インターネット文化に疎(うと)い岩井だが、タイガが、かつて追っていた贈収賄事件に関わる伊藤秀光の息子だと知り、放っておけなくなっていく。

 ユーチューバー、Vチューバー、アフィリエイト広告、匿名ブロガー、粘着、アクセス解析ツール、炎上、自己責任論。普段インターネットに触れない人は、ドラマの内容を把握できただろうか。そんな心配をしてしまうほどナチュラルに、流れるようにインターネット文化の言葉が飛び交う。

 いつもSNSやネット文化に触れている人はタイガの言い分を、ネットとかよくわからないという人は岩井の言い分を頼りに物語を追えるように、二人の主人公が配置されているのだろうか。

ユーチューバー「タイガ」を演じるのは瀬戸康史。アーティストブック『僕は、僕をまだ知らない』ワニブックス
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