レビュー

「緊急取調室」8話 小石川(小日向文世)「居場所って……」 自分の居場所が揺らぐリストラ候補者たちと重なった“キントリの運命”(2/2 ページ)

サラリーマンたちが「居場所」を求めてもがいた8話。キントリの状況と重なるエピソードでした

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間違ったテイで自供を引き出し、騙し討ちを謝罪するキントリ

 取り調べでキントリは木崎にこんな迫り方をした。

 「梅田さんと橋下さんはあなたを庇い、捜査を攪乱(かくらん)した。1カ月後にあなたに支払われる退職金が彼らは欲しかった。だから、あなたをかばったんです」(小石川)

 さすがだと思う。このチームらしいスレスレの作戦だ。「キントリの巧妙なチームワークが見られなかった」との声がある8話だが、そうは思わない。キントリは梅田と橋下の思いをわかっていて、なのに、あえて嘘の情報を与え木崎に真相を喋らせようとした。そもそも、梅田と橋下が木崎の退職金を狙う根拠が全く描かれていない。あまりにも唐突な迫り方。作戦だからだ。後日、「申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げたのは、見誤ったテイで自供を迫ったお詫びである。2人の本当の意思を木崎に伝えたのは、キントリなりの償いだ。2人の真意を知らされたとき、木崎は何とも言えない表情になった。リストラ候補だったのに再雇用を望むほど会社にしがみついた木崎。そんな日々にも意味はあったと、3人の友情が証明している。

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 第8話のサブタイトルは「私が作りました」。捜査を撹乱するためのストーリーは梅田と橋下が作り、2人の居場所は木崎が作った。色々な意味が「作りました」には込められている。

 ところで、梅田と橋下はこれからどうなるのだろう? おそらく、もうあの会社にはいられない。多忙だと家族に思わせるため、コーヒー1杯で2時間つぶす日々を送っていた梅田。2人は再就職できるのか。

 一方、いつものように居酒屋で労をねぎらうキントリチーム。このとき、小石川は「居場所って……」と言いかけ「いや、いい」と取り消した。クールな彼も居場所を失う寂しさを隠せないでいる。

これまでのキントリレビュー

寺西ジャジューカ

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