レビュー

深田恭子「ルパンの娘」は大博打に打って出たか? 実写化を期待され続けた原作の改変ポイントを考察してみた(1/2 ページ)

原作を読むと、深田恭子はイメージできない。

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 本日7月11日夜10時からドラマ「ルパンの娘」(フジテレビ系)がスタートする。横関大による累計発行部数10万部突破の同名小説(講談社文庫刊)が原作だ。

 だが、別にルパンの末裔の話ではない。「ルパンの娘」とは、家族全員が泥棒の家の娘に生まれた三雲華(深田恭子)のことを指している。華は恋人・桜庭和馬(瀬戸康史)の家へあいさつに行き、玄関に飾られた桜庭家の家族写真を見てあぜんとした。和馬を含めた全員が警察の制服に身を包み、敬礼のポーズをしていたのだ。恋人は警察一家の長男だった。結婚を目前にお互いの素性を知っていく2人……。

泥棒の家の娘に生まれた三雲華(深田恭子)は、恋人・桜庭和馬(瀬戸康史)の家へあいさつに行って衝撃の事実にあぜん イラスト/まつもとりえこ

 主役カップルの関係性から「キャッツ・アイ」を連想しそうになるこの作品。実は、小説が発売された2015年から映像化が期待されていた。

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 現実離れした設定ながら、家族愛を大事にする泥棒一家や情に流される警察一家には、読んでいると想定外に幸福感に包まれていく。ミステリーと恋愛部分の折り合いも完璧。「あり得ない!」と思いながら自然と口元はほころび、ページをめくりながら実写化された際のキャスティングを自然と妄想していたものだ。要するに、テレビのラブコメディを見ているような気持ちにさせる小説だった。しかも、エンディングは笑ってしまうぐらいのハッピーエンド。「これを映像化しないでどうする!?」と思わせる傑作だった。

原作『ルパンの娘』横関大(講談社)

主演が深田恭子になるとは思いもしなかった

 さて、最も気になるのはキャスティングである。まず、主演は深田恭子だ。……いきなりこんなことを言っていいか逡巡したのだが、はっきり言ってイメージとはだいぶ違う。泥棒の才能は持つものの泥棒として生きる他の家族に反抗し、真面目に図書館司書として働くのが華。キャピキャピせず、地味で落ち着いている女の子である。先ほど、読みながらキャスティングを妄想していたと書いたが、深田恭子のことは全く思い浮かばなかった(黒木華か結婚前の堀北真希が筆者のイメージだった)。

 しかも、ドラマのイメージショットを見ると、深田はセクシーな泥棒スーツに身を包んでいる。小説の華は家族で唯一、泥棒として生きることを良しとしなかった人。わざわざ着替え、ノリノリで泥棒するようなキャラじゃなかった。なのに、あんな格好をしているということは、小説とドラマでは設定にかなりの違いがあるのだろう。深キョンのかわいさを堪能する系のドラマになりそうな予感がする。番組HPで稲葉直人プロデューサーは発言している。

 「『翔んで埼玉』『テルマエ・ロマエ』の脚本・監督・プロデューサーが集まったもので、多少コメディ色が強めになる恐れがございます」

 悲観はしていない。コメディ色の強い演出が思わぬ効果を発揮したドラマを今まで何度か見てきた。深田のコメディ演技も嫌いではない。大博打には違いないが、振り切ったら逆に面白いかもしれない。大コケするか大化けするかのどちらかだと思う。ちなみにこのドラマ、何を思ったかミュージカル要素まで詰め込むつもりらしい。すごい振り切り方じゃないか……。

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相関図で予習。泥棒一家のキャスティングが濃い! イラスト/まつもとりえこ

 

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