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「ドッドッドリランド♪」はなぜ流行したのか ソーシャルゲームがもたらした「誰かと遊ぶ」という楽しさ連載「わが青春のインターネット」(2/2 ページ)

「探検ドリランド」「怪盗ロワイヤル」の現役プレイヤーにそれぞれ取材しました。

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「対人戦」を軸にした「怪盗ロワイヤル」

 もう一方の「怪盗ロワイヤル」は、2009年にモバゲーで提供を開始。仲間と一緒に怪盗団を結成しお宝を集めるゲームで、「協力」中心の「探検ドリランド」に比べ、こちらは他のプレイヤーと戦い、お宝を奪う「対人戦(PVP)」の要素が強いのが特徴でした。

他のプレイヤーと戦い、お宝を奪い合うのが「怪盗ロワイヤル」のポイント

 Twitterユーザーの“湊埜 帷”さんのお父さんは、サービス開始当初から現在まで「怪盗ロワイヤル」で遊び続けているという古参プレイヤー。もともとは息子の湊埜さんから誘われたのがきっかけで始め、これまでに200~300万円は課金しているといいます。

 どんなところが面白かったか聞くと、「仲間と一緒にボスと戦い、お宝を他のプレイヤーと戦って獲るという『PVP』中心のソシャゲ(ソーシャルゲーム)は当時多くありませんでした。携帯電話でPVPが楽しめるのは新しかったので、それで人気が出たのだと思います」と、やはり対戦要素の魅力を挙げました。また、家庭用ゲームと違って、わざわざ準備しなくても暇なときに短い時間で遊べるのも良かったといいます。ただ「遊び始めるときりがなく、やめどきがないのは悪い点」とも。

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 これまで10年もの間遊んできて、飽きたり、やめようと思ったりした時はなかったのか聞くと、次のように答えてくれました。

「ここまで続けて来た仲間同士、最後まで一緒に楽しみたい、というのが大きいです。一人で戦うよりも、仲間と一緒に目標を達成する方が楽しい、というのは今も昔も変わらないと思います」

ステータス画面。現在のレベルは3万越え

実はまだまだ元気な「探検ドリランド」

 なぜ当時「探検ドリランド」や「怪盗ロワイヤル」のようなゲームがあれほど流行したのか。過去には「探検ドリランド」のチーフプロデューサーも務めた、グリーの春山一也さん(現Wright Flyer事業本部第3スタジオ部長)は、当時の流行ぶりについて次のように振り返ります。

「探検ドリランド」以外にも、「釣り★スタ」や「踊り子クリノッペ」などのヒット作を生み出したGREE

「当時は携帯電話やスマホを触っていても、家でTVを見ていても、外を歩いていても、どこを見てもソーシャルゲームのプロモーションがあふれていました。このころのムーブメントは、おそらく日本のゲーム史に残り続けるのではないかと思います」

 なぜ人気が出たのかについては、「私個人の感覚としてお答えすると……」と前置きしつつ、次のように分析。

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「当時はガラケーの高性能化や、パケット使い放題プランの普及、さらに手軽に遊べるFlashゲームの流行など、『いつでも手軽に遊べるモバイルゲーム』への流れが既にできつつありました。そこへGREEやモバゲーのような、いろいろなゲームを集めたプラットフォームが誕生し、大々的に盛り上げていった。加えて、インターネット業界特有の数値分析文化と、プロモーションの相性がばっちりかみ合ったこともあり、ブームがより巨大になったのではないでしょうか」

 また春山さん自身、GREEに入社する前には、熱心な「探検ドリランド」プレイヤーの1人だったそうです。

「それまでPCのオンラインゲームなどを遊んでいなかったので、この『ソーシャルな仲間と遊ぶ』という体験はかなり刺激的でした。ゲームを通じていろんな交流も生まれ、現実とは違う、もう一人の自分がそこにいるような感覚もありました」

 ちなみに、最近ではそこまで話題にのぼらなくなった「探検ドリランド」ですが、春山さんによると、初期から遊んでいるユーザーを中心に「表には見えづらいのですが、実はまだまだ元気です」とのことでした。

ソーシャルゲームの流行が生んだもの

 こうしたソーシャルゲームの登場・流行は、その後のゲーム業界にも大きな影響を与えました。それまでゲームといえば、専用のゲーム機やPCで遊ぶのが普通でしたが、今ではスマホや携帯電話でゲームを遊ぶのがごく当たり前に。モバイルゲームの市場規模は、今や家庭用ゲームを大きく上回ります。

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 一方、スマホで遊ぶゲームが増えたことで、ゲームそのものの在り方も大きく変化しました。「誰かと一緒に遊ぶ」のが標準になり、必然的に「クリアしたら終わり」ではなく、1本のタイトルを長期間遊び続けるのが普通に。また、強力なキャラクターを引き当てる「ガチャ」を採用するゲームが増え、高額な課金が問題になったりもしました。

現在は廃止された「コンプガチャ」。特定のカードを集めるとさらに強力なカードがもらえる仕組みだったが、景品表示法が禁止している「絵合わせ」に相当するとして問題になり、後に廃止された(消費者庁、コンプガチャは違法と判断。7月1日からは法的措置も

 「世界全体で見ても、非常に収益が高いのが日本のモバイル市場の特徴ですが、ソーシャルゲームの流行がその流れを作ったのは間違いないと思います」と春山さん。ただ、最近は海外メーカーも着々と日本市場に進出しつつあり、日本のゲームメーカーも海外のゲームに押され、かつてのようには勝ちにくくなってきているといいます。

「それでも過去、こういった窮地において、何度も新しいブームを作ってきたのが日本のゲームメーカーです。今は苦しくても必ず乗り越えられると信じていますし、われわれも引き続き挑戦を続けていくつもりです」

画像提供:だいちゃんさん、湊埜 帷さん

連載「わが青春のインターネット」

この記事は、ねとらぼとYahoo!ニュースの共同企画による連載記事です。平成時代とともにに生まれ、育ってきたインターネット。これまで約30年、さまざまなWebサービスや出来事、有名人が生まれては消えていきました。かつて一世を風靡した「あのサービス」を振り返り、同時に今のネットの問題点を考えることでWebの栄枯盛衰や怖さを伝えつつ、失われることのないネットの楽しさの本質に迫っていきます。そして、令和時代のインターネットの将来について考えていきます。

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