「月に行く」「えっ!?」 ZOZOを離れる前澤氏の会見、孫社長がサプライズ登場で舞台裏明かす
孫社長は月旅行について「行かない」と即答。
「ついに前社長というなってしまいまして」──ヤフーとZOZOが資本・業務提携するのに伴い(関連記事)、ZOZOを離れる創業者の前澤友作社長が9月12日夕方、都内で記者会見しました。「ZOZOは抜本的に変わるタイミングだった」と、今後の一段の成長のためにヤフーとの提携がベストだったと説明し、自身の今後については月旅行のための訓練や新事業の立ち上げを考えていると話しました。
記者会見には、個人的に親交があるというソフトバンクグループの孫正義社長がサプライズゲストとして登場。ヤフーとの提携について、前澤氏から個人的に相談を持ちかけられたことを明らかにしました。
前澤氏は「21年間、ZOZOの代表取締役を務め、最後の最後で大きな決断できた。今後の発展を心から祈るばかり」と、ヤフーとの提携はポジティブなものだと強調。「ZOZOはここに来て課題があった。ファッション漬けの人だけではなく、あらゆる人に届けていかなければならない局面を迎えていた。ヤフーとの提携で大きく未来が開けてくる。お互いの弱点を補い合い、強いところを伸ばし合う結婚のような提携になるのではないか。独身の僕が偉そうにすいません」などと話しました。
自身の経営については「僕の経営手法は感性に基づくところがあった。直感的に野性的に感じ取り、それを経営に取り入れてきた。なので失敗もあり、反省している」と振り返り、コンサルタント出身の澤田宏太郎 新社長について、「感性的な手法とは真逆のロジカルな、データやテストなどからはじき出される機械的な経営戦略、手法を得意としている」と評価。「自分自身、ZOZOの総合力を生かし切れていなかった。ワンマンだし、現場は裁量を十分に与えられなかったこともあった。ZOZOは抜本的に変わるタイミングだった」と話しました。
取締役も退任し、保有株式の大半も売却してZOZOから離れることになりますが、2023年に計画している月への飛行(関連記事)を目指してトレーニングなどに専念するために「すっきり辞任させてもらう」と説明しました。また、現時点では何も決まっていないものの、もう一度事業を立ち上げたい思いがあるとのことです。
ZOZO(旧スタートトゥデイ)は前澤氏が6畳一間で始めた音楽CDのネット通販からスタート。商品を買ってくれたお客や取引先の企業、株主に感謝を述べつつ、社員について話が及ぶと、感極まって言葉に詰まる場面もありました。
その後、「スペシャルゲスト」として、「今回の提携の大きなきっかけになった人」だというソフトバンクグループの孫正義社長が登場。前澤氏によると「公私共々お世話になっている。お風呂に入らせてもらったり、カラオケしたこともある」という仲だとのことです。
前澤氏と色違いでおそろいのTシャツを着て現れた孫社長は「漫才のコンビのよう。ピチピチのチノパンはいたの何十年ぶり(笑)」と笑わせながら、今回の舞台裏について振り返りました。
「前澤くんから相談に乗ってくださいと。『何?』って聞いたら、新しい人生をもう一度過ごしたいんだという話だった。どういうこと?ってきいたら『月に行くんだ』と。『えっ? どういうこと?』ってきいたら、『ZOZOの社長は引退して、新しい人生過ごしたいんだ』と。じゃあ会社どうするんだと、そこで相談、話聞いているうちに、そうか、ヤフーとZOZOで提携してみるかねと」
「しかしねえ、文化の違う会社が一緒になってやるのに、前澤くんが株式は譲渡するとか。資本提携するのはいいけど、当分前澤くんが社長やったほうがいいんじゃないと言ったけど、『すぱっと新しい人生いきたい』と。月に行くのにそんなに忙しいの? 『訓練しなければいけないし、彼女とも過ごしたいしと』。うらやましいことで(笑)」
──と、孫社長が今回の提携を取り持ったことを明らかにしました。孫社長は前澤氏について「僕も彼も創業者だが、生き様がかっこいいいですよね。自由奔放に、言いたい放題。彼はロッカーなんだよね」と評し、「これからも友人関係で楽しい関係を続けていきたい。ご苦労様でした」と前澤氏をねぎらいました。
前澤氏は孫社長を月に誘ったそうですが、「行かない」と即答だったとのこと。孫社長は「こわいもん(笑)」と応じていました。
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