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このタイミングで増税するのは日本だけ~インドは法人税を22%に減税

「日本の場合、税制のところでは全部真逆」。

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月30日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。10月1日から実施される消費税増税について解説した。

10月1日から消費税率を10%に引き上げ

政府は10月1日、消費税率を8%から10%に引き上げる。1989年の消費税導入以降、増税は97年、2014年に続き3度目で、5年半ぶり。高齢化で膨らむ社会保障費の財源を確保し、財政再建を進める狙いと財務省は言っているが、国民の負担増は消費の減退を招きかねないと指摘されている。

飯田)いよいよ上がってしまいます。

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須田)税金の制度は、経済政策や景気対策という視点で見る必要があるのだと思います。そうすると社会保障費や年金、介護、医療、あるいは幼児教育の無償化の財源を、消費税で賄うことがはたしてベストなのかどうか。もう1つは、10月1日というタイミングで増税するべきだったのかどうか。その検証が弱いと思います。こういう税制の問題は国内事情だけではなく、世界の潮流がどうなっているのかも含めて検証が必要だと思います。


インドのナレンドラ・モディ首相(インド・ニューデリー)=2019年5月21日 写真提供:時事通信

インドの財務省が法人税を22%まで減税すると発表~新規に設立される企業は外資系も含めて15%に減税

須田)そうしたなかで、インドの財務省が9月20日に法人税を減税すると発表しました。これまでインドの法人税は30%だったのですが、これを22%まで引き下げる。しかも2019年4月まで遡って適用するということです。

飯田)遡るというのは珍しいですね。

須田)そして、今年(2019年)10月1日以降に新規で設立された会社で、2023年3月までに生産を開始する企業の法人税率は、15%に軽減する。

飯田)15%。世界でも類をみないほど低いですね。

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トランプ減税をそのまま真似

須田)これは合弁企業、つまりインドの国内企業だけではなく、外資系企業も対象になります。もう1点ポイントになっているのは、税控除を一切しないということです。日本で言うところの租税特別措置、大企業優遇策です。非常にシンプルでわかりやすい法人税制になります。ただ、このインドの減税政策は、アメリカのトランプ減税をそっくりそのまま真似しているのです。

飯田)とにかくシンプルにしてと。

世界経済が悪化するなか、このタイミングで増税するのは日本だけ

須田)いまの世界の流れは、他の国もそうですが、いかに税負担を低くするか、景気浮揚を図るかという方向に流れています。ここで増税するのは日本だけです。

飯田)増税するだけではなくて、軽減税率が複数あり、ポイント還元もあるので、結局は5通りの税率が存在する。

須田)税制の策としては下の下です。シンプルで公平で、わかりやすいことが税制にとって必要なのに、全部が真逆です。

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飯田)軽減税率で線を引くにあたり、そこの裁量で権限が生まれてしまう。

日本で増税が複雑なのは議論を逸らすためか

須田)逆読みすると、わざと複雑にして批判をそちらに集め、増税そのものについて議論させないようにしているのではないでしょうか。

飯田)確かにそうかもしれません。増税そのものの議論、検証が足りないのはそこにあるのかもしれませんね。

須田)今回の消費税増税は、特に中小零細企業にとってかなりの負担増になるはずです。どちらかと言うと、個人がお金を払う際のことばかり議論されていて、そういうところが置き去りにされている。世界が減税の方向へ向かっているのに、このタイミングでやるべきことだったのか。日本だけが取り残されて、沈む可能性がなきにしもあらずだと思います。

飯田)米中の関係も含めて世界経済が減速気味のところを、何とか各国は浮揚させようと頑張っているのに、「空気読めよ、何をやっているんだよ」ということになりますよね。

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会談を前に握手するトランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席=2019年6月29日、大阪市(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

インドの狙いは世界の工場を中国から奪うため

須田)インドの場合はもっと戦略的で、世界の工場の座を中国から奪うということです。これは相当大きなインパクトを持っています。特にインドは、曲がりなりにも政治体制は自由民主主義体制ですから、政治的リスクはない。中国の場合は政治的リスクがとても大きい。だからマーケットから聞こえて来るのは、アップルがどうも生産拠点をインドに移す、その検討を開始したという情報です。まだ噂ですが、出ているのも事実です。

飯田)アップルは現在、中国で生産をしていますが、そのリスクは大きいと言われています。

須田)その動機付けとして、インドの法人税減税が1つ大きく作用するのではないでしょうか。

飯田)法人税減税の話をすると、日本だって消費税を上げて、それを原資に法人税を下げているではないか、戦略的だと言う人もいます。しかし、それにしては法人税も複雑怪奇すぎませんか?

須田)税制はトータルなのです。何か1つだけ「下げた、上げた」で議論するのではなく、トータルでどうなのか。企業の税負担はどうなのか、なぜあの大企業はこれだけしか税金を納めていないのか、という議論を進めるべきだと思いますけれどね。

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飯田)これもサービス業はほとんど租税控除の特別措置がなくて、税金を払っているのに、製造業の大企業はいろいろなところで使っていますよね。経団連企業は。その人たちは「消費税ばんざい」というようなことを言います。フェアではない気がしますよね。

須田)まったくフェアではない。日本の場合、税制のところでは全部真逆に行っています。後々、大きなダメージになるのではないでしょうか。

飯田浩司のOK! Cozy up!

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