「シンプソンズファンはプライドを持っている」 名優・大平透が心を許した「シンプソンズファンクラブ」とオリジナル声優たちの12年間:連載「オタクの幸せ」(3/3 ページ)
【完全版後編】オリジナル声優にとってファンとはどんな存在なのか。
昔のファンは、熱中度は同じだが、或る意味で一過性の風邪引きみたいなものだった。現代は違う!!良識の上に建設的、そしてひいきの引き倒しにならない様、自制心があり、尚且つ、プライドを持っている。声優もただ単に生活のための仕事のみに終わらない。プライドを持ち誰よりも愛情に溢れて、人物を演じ、皆様に喜んで頂く!そのお互いの合致点が「ザ・シンプソンズ」で花開いたと思う。グループ、集団をリードしていくのは大変な事です。私も古狸として、レギュラー陣をある時は叱り、ある時は甘いアメで慰めもてなし……と結構余計なことやってる。アハハハ……。今後末永くおつき合いしましょう。先づは御礼まで。11月14日 大平透
ファンにとって、オリジナル声優にとっての「ザ・シンプソンズ」とは
最後に、シンプソンズファンクラブの皆さんとオリジナル声優の皆さんにとって、「ザ・シンプソンズ」とはどんな存在なのかを聞きました。
ピンクドーナツ:昔は物すごく面白いテレビ番組という存在でしたが、ファン感謝祭をきっかけに現実の世界で友人や声優さん達との出会い奇跡のような出来事をもたらしてくれた、かけがえのない存在です。日本中に同じ趣味の友人が出来て交流が始まったこと、ファン感謝祭をきっかけにシンプソンズ声優さんたちとの交流が深まりテレビや映画だけでなく出演するお芝居やライブを見に行くようになり文化への造詣が深まったことなど人生においてもたくさんの良い経験をさせてもらいました。
現在日本では「ザ・シンプソンズ」をグッズで知っていても、テレビ番組としてのシンプソンズの面白さを知らない人が大勢います。世界中で愛されていて世界最高レベルの吹替版である日本語吹替版シンプソンズを多くの人に見てもらいたいと思います。ぜひ日本語吹替版のテレビ放送という夢が叶いますように。また残念ながら大平透さんは他界されましたが、今でも毎年数回お墓参りに行ってお会いしています。オリジナル声優の皆さんとはこれからもお付き合いがずっと続いていくと思います。
viewboo:幼少期から親しんできたアメリカのアニメへの、良くも悪くも自分の中で固定していた印象を、更新してくれました。放映開始から30年の間愛され、そしてこれからも世界中で支持され続けるシリーズだと思います。またファンクラブを通じて多くの同好の士と、距離や年代、また社会的な位置づけなどとは関係なく、知り合えたのは本当に良かったです。海外ではディズニー+(ディズニープラス)で作品が配信されていますが、国内ではどうなるのか、とても気になっています。オリジナル声優の皆さんにおかれては、高齢の方も増えていますので、くれぐれもお体に気を付けて活動していただければと思います。
ゲッツ:「ザ・シンプソンズ」は見たことのない景色、未体験のことと出会わせてくれました。テレビ番組という枠では収まり切れない宝物のようなものです。ピンチのときもユーモアや柔軟な考えを忘れないことを教えてくれ、初期にバートがよく発していた決め台詞「熱くなるなよ!」(意味:イライラ怒るなよ)というメッセージを胸に日々生活しています。今後は収録済のシーズン1~14のネット配信に加え、オリジナル声優さんも皆さん願っておられる「日本語吹替版の復活」も引き続きお願いしていきたいなと考えています。オリジナル声優の皆さんには、「ザ・シンプソンズ」という作品、そしてご自身の担当キャラクターを愛されているのと同様に、私たちファンにも数々の愛や思い出を与え続けてくださっていることに心から感謝です! 「今後とも全力でみなさんを応援します!!」とお伝えしたいです。
一城みゆ希:パパ(大平さん)のお力は本当に大きかったから、パパ(ホーマー)を演る人は本当に大変だと思いますが、新しい風も取り込みながらまた「ザ・シンプソンズ」の日本語吹替版を復活させたいですね。本当に本当に、また演りたいです!
神代知衣:また「ザ・シンプソンズ」を演じたいと思っていますし、そのときは絶対に「リサ」を演りたいと思っています。今いるメンバーは元気で活躍していますし、皆さん声も全然衰えていません。一度観ていただければファンになってもらえる作品だと思っているので、まずはネット配信だったり、地上波放送だったりで日本語吹替版を知ってもらえるきっかけができればいいなと思います。とにかく、絶対にまたやりたいです……! “演らせてくれなきゃ死んじゃうんだから!”(笑)。
愛情をこめて演じることにプライドを持ってきたオリジナル声優と、ファンであることにプライドを持っているシンプソンズファンクラブ。数奇な出来事をきっかけに出会った両者は現在、ファンと声優という垣根を越え、“スプリングフィールドの住民たち”として、日本語吹き替え版の復活を心から願っています。
連載:オタクの幸せ
この記事は、ねとらぼとYahoo!ニュースによる共同企画記事です。何が自分の幸せか、何をして喜ぶのか。幸せにはさまざまな形があり、周囲と同じものになるとは限りません。人生に悩む人も多い現代社会で、他人とはちょっと違うところに没頭し、我が道を行く「オタク」な人々に話を聞き、豊かな人生の歩き方を探ります。
(Kikka)
関連記事
署名、公開質問状、調査、そしてオリジナル声優復帰へ “映画版の声優が芸能人問題”を乗り越えた「シンプソンズファンクラブ」12年間の記録
【完全版前編】互いの顔も知らず、映画業界への伝手もなかったファンがなぜ奇跡を起こせたのか。絶対やると思った! シンプソンズが「ポケモンGO」ブームを皮肉った動画を公開
公開3日で230万回以上再生されています。シンプソンズが宮崎駿監督をトリビュート ジブリネタ満載のエピソード放送
ネコバスの顔もまさかのシンプソンズ風。「お金をたくさん使う人が偉い訳じゃない」 夜の世界でNo.1になったアイドルファンが欅坂46・渡邉理佐を推す理由
モー娘。・AKB48と王道を推してきたアイドルファンの心を揺さぶった渡邉理佐さんの言葉とは。「自分はゴジラから離れられない運命」 ファンを代表してゴジラに弔辞を読んだ男が語る、“好きでい続けること”の幸せ
ゴジラファンとしての道を切り開いた粕谷さんに“ひとつのことを好きでい続けることの幸せ”についてお話を伺いました。たぶん世界初の“1200キロをロードバイク・90時間で駆ける腐女子”だと思います 『弱ペダ』で変わったあるオタクの人生
「パリ・ブレスト・パリ(走行距離約1200キロ)」を完走した腐女子・PEKOさんにインタビュー
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.