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最高の友達はビールの精霊? 晩酌中だけ現れる親友との絆を描いた漫画「麦酒姫」(1/2 ページ)

今日はビールを飲みましょう。

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 お酒。喉が焼け付くような現実とセットで流し込むとき、お酒はそれ自体が大人のチェイサーといえるでしょう。つらいことや悲しいことを忘れるために、部屋で1人グラスを傾ける。そこに話を聞いてくれる誰かがいたら、どれだけ救われることか。これはある男性と、ビールの精霊(?)の物語です。

彼女はビールの中から現れます

 主人公の健一くんは、誰かに話を聞いてもらいたいとき、部屋で1人缶ビールを開けます。なぜなら彼が飲むビールからは、小さな女性……「麦酒姫」が姿を現すのです。

 うれしかったこと、楽しかったこと、つらかったこと、悲しかったこと……あらゆる気持ちを分かち合ってきたのでしょう、健一くんにとって麦酒姫は、心を許せる「最高の友達」でした。

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 社会人になった健一くんは、新入社員の歓迎会に呼ばれます。そこで先輩の女性と仲良くなり、なんと初デートにまでこぎ着けました。その後もちょくちょく一緒にお酒を飲むなど、なかなかいい雰囲気で続いている様子。

 ところが、友達以上恋人未満の関係からなかなか進展がありません。煮え切らない態度の健一くんに、麦酒姫は早くくっついてしまえとお説教をかまします。

 先輩の好きなところを尋ねられ、元気でかわいい笑顔を思い出しながら「なんかちょっと……麦酒姫に似てるかもな」とこぼす健一くん。麦酒姫は少し照れながら、ますます語気を強めるのでした。

 この日を皮切りに健一くんは先輩と距離を縮め、とうとう恋人同士になったのです。

 ところが付き合い始めた途端、麦酒姫は急に姿を見せなくなります。大切な友達が姿を消してしまったことに戸惑ったのでしょう、徐々に様子がおかしくなる健一くん。ついにはやけ酒を繰り返し、先輩に迷惑をかけてしまいました。

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 そんな健一くんの前に、麦酒姫は再び姿を現します。再会を喜ぶ健一くんを一喝した後、優しく語り掛ける麦酒姫。「私はお酒の相手はできるけど、雪乃さんのようにお水を渡したりはできない。お酒を楽しく飲める大人になったのなら、どちらが本当に必要なのか分かるはず」――。

 彼女の言葉をビールと一緒に飲み込む健一くん。この日の一杯を最後に、麦酒姫は完全に姿を消したのです。

 それから数年後、健一くんは先輩と結婚し、幸せな家庭を築いていました。夫婦の間には小さな息子が1人。お酒好きが遺伝したのでしょうか、パパが飲んでいる缶ビールをじっと観察しています。まるで「見えない何か」がいるかのように……。

 お酒がつなぐ温かい物語を、ぜひ最後までお楽しみ下さい。

 作者は漫画家の朝陽昇(@asahinoboru888)さん。現代のオタク女性たちが、どのようにお金を使い、対象に愛を注いでいるのかを赤裸々に綴ったエッセイ集のコミカライズ『まんが浪費図鑑』が発売中です。

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 ほか、現在のご活動については朝陽昇さんのnoteにて随時公開されています。

麦酒姫

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