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新型コロナウイルス景気対策~消費税を下げるなど思い切った政策が必要

3.11よりも状況は深刻。

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月4日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。新型コロナウイルスによる世界的な景気減少について解説した。


FRSのあるエクルズ・ビル(Eccles Building)(連邦準備制度-Wikipediaより)

アメリカFRB~政策金利を0.5%引き下げることを決定

アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)は3日に臨時の会合を開き、緊急で政策金利を0.5%引き下げることを決めた。新型コロナウイルスの感染拡大による金融市場の動揺を抑えることが目的である。

飯田)これを受けてダウ平均株価は一時上がったのですが、取引時間中は下げ幅を拡大して、終値は前日と比べて785ドル91セント安い、2万5917ドル41セントで取引を終えました。昨日(3日)はドーンと上げていたので、これで下げたと。

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佐々木)通常0.25%なのが、今回は0.5%という異例の引き下げで、リーマンショック以来です。去年(2019年)の消費増税に関して、安倍総理は「リーマン級がなければ予定通り」と言っていたのですが、これはリーマン級ではないでしょうか。

飯田)そうなりますね。

佐々木)日本国内は酷い状況です。百貨店の2月の販売が前年比の約2桁減で、旅行代理店もそのぐらいらしいです。まだ表立っていませんが、中国の工業生産がダウンしているおかげで、大気汚染がなくなったという話も出ているくらいです。それが日本にどう影響しているかというと、部品などの中間財が来なくなって、今後の輸出に影響が出る可能性が高い。そうすると、何の展望もない状況です。


日経平均株価 新型肺炎感染拡大で世界経済への影響懸念で一時1,000を越える大幅下落~ 取引開始直後、1,000円以上急落した日経平均株価を示す株価ボード=2020年2月25日午前、東京都中央区 写真提供:産経新聞社

3.11のときよりも状況は深刻~消費税を下げるなど思い切った政策が必要

佐々木)3.11と同一視している人も多いのですが、あのときも放射能汚染の危険がありました。一方で震災そのものに関しては、復興予算を放り込んだので復興景気が期待できて、実際に土木建設産業は潤いました。それによって、「これからよくなって行く」という期待がありました。でも今回のコロナウイルスに関しては、いつ収束するのかわかりません。先行きが見えない状況で、ただひたすら落ち込んで行くことしか見えません。ここで政府はどういう手を打つのか。週明けに緊急財政案をまとめて発表すると言っていますが、いちばんよくないのは小出しにすることです。消費はマインドなので、一気に行かないとダメです。いちばんいい方法は、思い切って消費税を5%や0%にすることです。緊急措置法か何かをつくって、年内は消費税を0%にするとか。当然、財務省は財源が足りないと言って来るでしょうが、ここは赤字国債を発行して賄う。それで対応しないと、冷え込むだけではないでしょうか。

飯田)いま安全資産の国債にお金がどんどん逃げるという状況で、日本の10年物国債の利回りがマイナス0.11%くらいです。これを0%近傍で安定させることが日銀の目標だから、市場は国債が足りないと催促しているような状況ですよね。

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佐々木)そうです。赤字国債を発行すると利回りが上がってしまうと言い続けていましたが、実はそうなっていません。

飯田)足元は逆ですよね。

佐々木)ここは頑張って政治決断で、安倍政権が財政出動をして、赤字国債を大発行した方がいいと思います。

飯田)財布に直接供給するようなことは、やっているところはもうやっていますよね。

佐々木)そうですね。

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飯田)香港だったでしょうか?

佐々木)1人14万円を民主化デモに対する手当で、アメとムチのアメということで。

飯田)もともと用意していたのですか?


新型コロナウイルス感染症対策本部で発言する安倍晋三首相(手前)。感染拡大を防止するため、全国すべての小中高校や特別支援学校を3月2日から休校とするよう要請すると表明した=2020年2月27日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社

有効期限を決めた商品券を配るのは有効な方法

佐々木)そうです。日本でもそれを、一時的にはやっていいと思います。毎年やるとベーシックインカムという、ややこしい議論になってしまいます。これも特別措置法で、1人20万円をそのまま渡すと貯金してしまうので、商品券などにして年内しか使えないものを配ると一気に使うため、景気が浮揚します。

飯田)かつて小渕政権では景気に対する緊急対策で、地域振興券という形で配ったりしました。あのときは大批判を浴びましたが。

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佐々木)「ばらまきだ」とすぐ怒るのですが、ばらまきは必要です。ばらまきがネガティブなイメージになっているのは、財務省の陰謀ではないかと個人的には思っています。お金をばらまいて市中に出回るお金を増やすということは、基本的な経済政策なのでやるべきです。

飯田)各々の人がどこに需要があって、どこに使うかわかりませんからね。

佐々木)そうです。1人20万をもらったら、さすがにトイレットペーパーだけでは消費しきれませんので。他のものも買っていただいて、旅行にでも行ってもらえれば景気が浮揚するでしょう。

飯田)結局ばらまきが批判されたから、その後は家電のエコポイントだとか、ピンポイントで「これに使えます」という付与の仕方をしましたが。

佐々木)買い替え需要が期待できる時期もありますが、いまはありません。地デジ化と4Kでテレビの買い替えは終わりましたし、そもそも若い人はテレビを買いません。家電を買い替えるということは、IT化が進んだことでなくなって来ています。スマホで何でもできるようになっているので、スマホ以外の家電製品はみんな買わないのですよ。

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飯田)そうですね。

佐々木)そうなると、ハードウェアで大きいものを買うという期待感はなく、都市部の人は車も買いません。体験型の消費、モノからコトへお金を使ってもらうしかないですが、それこそ不要不急ではないですか。そこを使わせるためには、無理やりヘリコプターマネーをばらまいて使ってもらう必要があります。例えばいま20万円あって、「夏までに使わなければいけない」となると、家のなかの家電製品はすべて揃っているし、ホテルに行って高いごはんでも食べるかという話になります。そういうところではないでしょうか。

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